2022年MLBドラフトにてヤンキースが4巡目(全体130位)で指名した大学生外野手アンソニー・ホール(Anthony Hall)について。
アンソニー・ホール
Anthony Hall
21歳7か月(2001年2月生):188cm・90kg:左投左打
ライト/レフト:オレゴン大学(3年生)
選手ページ:MiLB公式・Baseball Reference・FanGraphs
ドラフト候補生ランキング | |
メディア | 順位 |
Baseball America | 136位 |
MLB.com | 144位 |
FanGraphs | ー |
ESPN | 237位 |
Prospect Live | 127位 |
Mason MacRae | 213位 |
Tieran Alexander | 69位 |
ドン・ラーセン、デビッド・ウェルズと2人の完全試合達成者を輩出するなどヤンキースとの縁が深いサンディエゴのポイント・ローマ高校出身。
2013年のU-12野球世界大会にアメリカ代表メンバーとして出場するなど早い段階から頭角を現していたようですが、その後は地元紙も含めてほとんどメディアに取り上げられておらず、ドラフト上指名選手では珍しく伸び悩んでしまったよう。
実際に高校時代の成績を確認したところ、最終学年を迎えるまでは才能を全く感じさせない悲惨な数字が並んでおり、更には2017年夏にトミー・ジョン手術を受け高校3年生シーズンを全休しています。
ただ、最終学年(2019年)では人が変わったかのような好成績を残しており、ハイレベルなPAC-12カンファレンスに属するオレゴン大学にリクルートされたことからも、同年中に評価が急上昇したことが伺えますね。
Year | Age | Tm | Lev | G | PA | H | 2B | HR | SB | BB | SO | BA | OBP | SLG | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | 19 | Oregon | NCAA | 14 | 52 | 11 | 1 | 1 | 0 | 5 | 12 | .250 | .346 | .432 | .778 |
2021 | 20 | Oregon | NCAA | 50 | 184 | 48 | 11 | 6 | 3 | 13 | 40 | .286 | .342 | .470 | .813 |
2022 | 21 | Oregon | NCAA | 60 | 259 | 75 | 17 | 14 | 4 | 24 | 43 | .333 | .402 | .640 | 1.042 |
Coll | Coll | Coll | College | 124 | 495 | 134 | 29 | 21 | 7 | 42 | 95 | .307 | .374 | .554 | .928 |
同大学では短縮されて2020年シーズン、カンファレンス平均級の成績を残した2021年シーズンを経て今年ブレイク。
本拠地が打者不利にも拘わらずカンファレンス第5位となるOPS1.042を残し、プレーオフを含むシーズン最終盤の強豪校との対戦でも好成績を記録。
しかしながら、8月のFCLにおけるプロデビュー戦で大怪我(詳細は不明)を負いシーズン終了。本来ならスペンサー・ジョーンズと共にLow-Aでプレーしているはずですが、真価発揮は来シーズンまでお預けに。
(高校時代の肘の故障が再発したわけではないことを祈りたい。)
Anthony Hall of @OregonBaseball ranks No. 85 on our BA 200. Here’s his home run from this weekend. pic.twitter.com/NDcjLLG3Dd
— Josh Norris (@jnorris427) April 25, 2022
打撃 | パワー | 走塁 | 送球 | 守備 |
20/40 | 50/55 | 45/45 | 50/50 | 30/45 |
マックス・ケプラーとカイル・シュワーバーを彷彿させる豪快なアッパースイングにより打球スピードと弾道を両立。NCAAだけでなく2021年夏のケープコッド・リーグでも好成績を残していることから、木製バットへの適応力も特に問題ないかと。
ただ、NCAAシーズンにおける打球初速度最速は110.9マイルに達したものの、6月のMLBドラフトコンバインで計測した打球飛距離やスイングスピードは大したことありませんでした。
とは言え、高ISO系成績からパワー面に目が行きがちですが、最大の魅力はパワーではなく選球眼で、実際にボール球スイング率(シーズン途中時点)は16%と非常に優秀。ストライクゾーン率のコンタクト率も92.1%と高く、打撃アプローチのポテンシャルは相当かと。
また、大学球界屈指のファストボール・ヒッターであり、驚くことにハイレベルなPac-12カンファレンスでプレーしたにもかかわらず、ストライクゾーン内に投じられた93マイル以上のピッチに対したったの一度も空振りを許さず。
これだけのレアな打撃スキルを兼ね備えながらもイマイチなK/BBを残しているということは、それだけ早打ちと変化球へのコンタクトが酷いというわけで、プロ入り後はアプローチ面の抜本的改良が必要でしょうが、それに成功すればプラス~ダブルプラス級の選球眼と平均超のパワーを併せ持つハイバリューなバッターへと変貌することでしょう。
OH MY @Anthony_Hall_ 😱
📺 Pac-12 Network
📱 https://t.co/7bHMYBaCI8#Pac12BSB | @OregonBaseball pic.twitter.com/AdTqvv7oOW— Pac-12 Network (@Pac12Network) May 25, 2022
2020~2021年はセンターで起用を受けていたものの、今シーズンはチームメイトの俊足外野手が台頭したためライトへコンバート。スピードや送球がいたって平均レベルであることを踏まえると、プロで再びセンターに復帰できるとは考えられません。
スペンサー・ジョーンズの時と同様に下記のランキング作成者2人にはお世話になりました。