今回の記事では映画史に残る興行成績を叩き出しているマーベル・シネマティック・ユニバースの第22作目「アベンジャーズ/エンドゲーム」を取り上げたいと思います。
北米興行収入(初週週末)
月日(曜日) | 興収収入(ドル) |
4月25日夜(木) | 6000万 |
4月26日(金) | 9700万 |
4月27日(土) | 1億900万 |
4月28日(日) | 9000万 |
合計 | 3億5700万 |
公開の前日の時点で約8000の上映(スクリーン)がチケット完売となり、チケットの高額転売が大きな問題に。
その結果上のように木曜夜のプレビューだけで約6000万ドルを稼ぎ出し、金土日の3日連続で9000万ドル以上。最終的に初週週末の北米興行収入は3億5700万ドル(398億円)となっおり、(インフレは考慮していませんが)下の表のように2位の「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の全記録を39%も上回る断トツの数字。前作の「インフィニティー・ウォー」の公開から1年、「キャプテン・マーベル」の公開から1ヶ月半しか経ってないことも頭に入れておくべきですね。
インフレを考えても今後15年~20年間はこの記録が抜かれることはないでしょう。そもそもMCUがこの記録を叩き出すのに通算11年&22作品もの長い年月がかかっていますからね。
北米初週週末興行収入歴代記録 | |
作品名 | 興行収入(ドル) |
エンドゲーム | 3億5700万 |
インフィニティ・ウォー | 2億5800万 |
スター・ウォーズ/フォースの覚醒 | 2億4700万 |
スター・ウォーズ/最後のジェダイ | 2億2000万 |
ジュラシック・ワールド | 2億900万 |
さて、ここからは「アベンジャーズ/エンドゲーム」の最終的な北米興行収入がいくらになるかという話。
アベンジャーズ・シリーズにおいて初週週末興収が最終興収を占める割合は33.3%(アベンジャーズ)、41.7%(エイジ・オブ・ウルトロン)、38.0%(インフィニティー・ウォー)で推移。(公開時期はどの作品もほぼ同時期)
真ん中を取って「エンドゲーム」の初週週末興収÷最終興収が37.5%になるとすれば最終興収の予測値は9億5200万ドル(約1060億円)に。北米興行収入の歴代最高記録は「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の9億3700万ドルですから、「エンドゲーム」がその記録を塗り替えるということになります。
しかし、「エンドゲーム」の今現在におけるフィーバーっぷりは歴史上類を観ない異次元なもので、通常の興行収入のを適用してもいいのかは疑問。推移予想ばかりはアメリカ本国の専門家ですら難しいんじゃないでしょうか。
北米興行収入歴代記録 | |
作品名 | 興行収入(ドル) |
スター・ウォーズ/フォースの覚醒 | 9億3400万 |
アバター | 7億5000万 |
ブラック・パンサー | 7億 |
インフィニティー・ウォー | 6億7900万 |
ジュラシック・ワールド | 6億5200万 |
本作品は歴代ヒーロー映画の中でも傑作「ダークナイト」に次ぐ高評価を受けており通常の作品よりもロングランが期待できるかもしれませんし、公開序盤で客足が殺到しすぎたせいで2週目以降が思ったより伸びない両方の可能性が考えられます。また、やっぱり3時間10分という上映時間が大きく足を引っ張る可能性も。
加えて、「名探偵ピカチュウ」が5月10日に公開予定(日本では1週間早く5月3日の公開)で子供客をごっそり奪われる可能性も。子供向け作品であるはずの「名探偵ピカチュウ」が「エンドゲーム」と客層が大きく被っているとは言えませんが、日本と同じようにアメリカでも子供向け作品はたいていの場合保護者が同席するので「エンドゲーム」にとっては少なからず障壁に。昨年の「インフィニティー・ウォー」公開時は次の大作である「デッドプール2」は「名探偵ピカチュウ」よりも1週間遅い「インフィニティー・ウォー」よりも3週間後の公開だったのでそれほどの障壁にはなりませんでした。
「エンドゲーム」と客層が丸被りしそうな大作で最も公開日が早いのは「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」(5月31日公開)となります。
とりあえず「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の歴代最高記録を「エンドゲーム」が塗り替える可能性は半々といったところでしょうか。
ちなみに、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」は公開が年末の12月18日だっということもあり、クリスマス&ニューイヤーの長期休暇によって興行収入が初週週末後も大きく伸びました。
全世界興行収入(4月28日まで)
国名 | 興行収入(ドル) |
中国 | 3億3300万 |
イギリス | 5400万 |
韓国 | 4700万 |
メキシコ | 3300万 |
オーストラリア | 3100万 |
ドイツ | 2700万 |
インド | 2700万 |
ブラジル | 2600万 |
フランス | 2400万 |
合計(北米外) | 8億6700万 |
上の表は「エンドゲーム」の興行収入国別Top10と北米外における興行収入の合計。
アメリカにおいてと同じように「エンドゲーム」は各国の興行収入を続々と塗り替えており、ヨーロッパやアジア、オセアニア、南アメリカと地域や言語に関係なく驚異的な数字を残しています。ただし、日本ではヒーロー映画の中だけなら最大のヒット作となりそうですが「名探偵コナン」シリーズには遠く及びません。MCUが海外ほど日本では浸透しきっていないことが分かります。さすが「ガラパゴス国家」。
また、アメリカに並ぶ勢いで映画市場が成長している中国では今年すでに「流浪地球(The Wandering Earth)」という映画が6億9400万ドルを稼いでおり、この記録を「エンドゲーム」が抜けるかは微妙。ちなみに、中国の歴代最高記録は2017年に公開された「戦狼 ウルフ・オブ・ウォー」の8億5400万ドル。
上表のように4月28日(土曜日)までの北米外興行収入は約8億6700万ドル(965億円)。北米興行収入も含めた全世界興行収入は12億2200万ドル(1358億円)に昇り、「アイアンマン3」や「キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー」を追い抜きすでに歴代17位にランクインしています。
現在の北米興行収入÷全世界興行収入は約29%。これまで「アベンジャーズ」シリーズにおいて北米興行収入÷全世界興行収入は41.0%(アベンジャーズ)、32.7%(エイジ・オブ・ウルトロン)、33.1%(インフィニティー・ウォー)と推移しています。1作目だけ割合が高いのは、まだMCUが全世界で今ほどの地位を確立していなかった2012年公開だったことが理由でしょう。よって「エンドゲーム」は「エイジ・オブ・ウルトロン」や「インフィニティー・ウォー」と同じように北米外興行収入が北米外興行収入のちょうど2倍ぐらいとなりそう。
全世界興行収入歴代記録 | |
作品名 | 興行収入(ドル) |
アバター | 27億8800万 |
タイタニック | 21億8800万 |
スター・ウォーズ/フォースの覚醒 | 20億6800万 |
インフィニティー・ウォー | 20億4800万 |
ジュラシック・ワールド | 16億7200万 |
よって「エンドゲーム」の北米興行収入が9億~9億5000万ドル程度となると、単純計算で全世界興行収入は27億~28億5000万(3000億~3170億円)になるはず。
アバターは3Dブームを巻き起こし異例のロングランを記録した結果大記録を樹立したわけですが、今回の「エンドゲーム」がこの記録を塗り替えられる確率は北米興行収入と同じように半々といえるでしょう。