2020年アカデミー賞:有力&注目作品 その1

8月になったので今年もこの時期から来年2020年のアカデミー賞作品&注目作品を取り上げていこうと思います。

各部門の予想は9月から開始予定。


The Irishman
アイリッシュマン

公開日:9月27日(ニューヨーク映画祭)、一般配信は未定(秋予定)
配給:Netflix
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシ、ハーベイ・カイテル

あらすじ:
マフィアお抱えの殺し屋フランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)を主人公に第2次世界大戦後のマフィア社会と伝説のジミー・ホッファ暗殺事件を描く。

マフィア映画の代名詞であるスコセッシの最新作。今回は伝説的なマフィアの殺し屋フランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)をメインキャラクターに据え、有名なジミー・ホッファ(アル・パチーノ)を絡めたストーリーになるそう。

難航したキャスティング、配給会社の交代、膨れ上がった製作費(約2億ドル!!)など多くの問題を抱えている作品ですが、先日公開されたばかりの予告編からは傑作のにおいがプンプン。

(ILMの最新CG技術により30歳若返った)ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシの黄金トリオには演技賞での複数ノミネートを期待したいところ。

最大の不安要素はFoxなどのに強い映画会社配給ではなくNetflixの配信作品となることでしょう。加えて、スコセッシがアカデミー賞に弱いことも忘れてはいけません。


ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

公開日:5月21日(カンヌ映画祭)、7月26日(一般公開)
配給:ソニー・ピクチャーズ
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー

あらすじ:(公式より)

リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は人気のピークを過ぎたTV俳優。映画スター転身の道を目指し焦る日々が続いていた。そんなリックを支えるクリフ・ブース(ブラッド・ピット)は彼に雇われた付き人でスタントマン、そして親友でもある。目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くことに精神をすり減らしているリックとは対照的に、いつも自分らしさを失わないクリフ。パーフェクトな友情で結ばれた二人だったが、時代は大きな転換期を迎えようとしていた。そんなある日、リックの隣に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と新進の女優シャロン・テート(マーゴット・ロビー)夫妻が越してくる。今まさに最高の輝きを放つ二人。この明暗こそハリウッド。リックは再び俳優としての光明を求め、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演する決意をするが―。
そして、1969年8月9日-それぞれの人生を巻き込み映画史を塗り替える【事件】は起こる。

連戦連勝中のタランティーノの新作。すでに公開済みでありカンヌ映画祭、アメリカの批評家、一般の観客に賞賛されている注目作品。

ウディ・アレン以来史上二人目となるタランティーノによる3度目の脚本賞受賞(フランシス・フォード・コッポラは脚本賞で1回、脚色賞で2回)が期待されますが、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピット(とマーゴット・ロビー)の演技も非常に高い評価を受けておりアイリッシュマンと共に演技賞の複数ノミネートが有力的。とりわけブラピの演技はキャリアベストクラスとの評価もありますが、今のところどちらが主演or助演でノミネートされることになるかは微妙。

ただ、7月公開は大きなマイナスポイントであり、よっぽどのことでもない限りこの時期公開の作品が作品賞や監督賞を受賞することはありません。また、ソニーは映画芸術科学アカデミー(アカデミー賞投票者)に対する上映会でオーバーブッキングなどをやらかした模様。


1917

公開日:12月25日(一般公開)
配給:ユニバーサル
監督:サム・メンデス
出演:コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ、マーク・ストロング

あらすじ:
1917年・第1次世界大戦においてイギリス軍前線で二人の若手兵士に不可能に近いミッションが授けられる。

サム・メンデスの監督&脚本作品で第1次世界大戦を描いた戦争映画。公開時期からも分かるように(他にも物議をかもしたCatsがあるものの)恐らくユニバーサルのエース作品。

サム・メンデス監督ということでもちろん撮影監督はロジャー・ディーキンス。予告編からも映像の質の高さが分かります。

ただ、本格的な戦闘を描いた戦争映画が作品賞を受賞したのは1987年のプラトーンが最後。


The Goldfinch
ゴールドフィンチ

公開日:9月(トロント国際映画祭)、9月13日(一般公開)
配給:アマゾン・スタジオ
監督:ジョン・クローリー
出演:アンセル・エルゴート、ジェフリー・ライト、ニコール・キッドマン

あらすじ:
メトロポリタン美術館の爆弾テロにより母親を亡くし孤児となった少年の成長期を描いた大ベストセラーの実写版。

ピチュリツァー賞を受賞し大ベストセラーとなった2010年代を代表する同名の傑作小説が「ブルックリン」を手掛けたクローリー監督により実写化。

原作小説の評価が高いだけにストーリー&脚本面での不安要素はなく、クローリーと撮影監督のロジャー・ディーキンスがどのような化学反応を起こすか楽しみ。

数ヶ月ほど前まではこの作品が2020年アカデミー賞の最有力作品だと思っていたのですが、公開日が9月と微妙な時期に・・・。アマゾン配給であることも✖


Ford v. Ferrari
フォード vs フェラーリ

公開日:9月(トロント国際映画祭)、11月15日(一般公開)
配給:20世紀フォックス
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:マット・デイモン、クリスチャン・ベイル、カトリーナ・バルフ、ジョン・バーンサル

あらすじ:(公式より)
ル・マンでの勝利という、フォード・モーター社の使命を受けたカー・エンジニアのキャロル・シェルビー(マット・デイモン)。常勝チームのフェラーリに勝つためには、フェラーリを超える新しい車の開発、優秀なドライバーが必要だった。彼は、破天荒なイギリス人レーサー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)に目をつける。限られた資金・時間の中、シェルビーとマイルズは、力を合わせて立ちはだかる数々の乗り越え、いよいよ1966年のル・マン24時間耐久レースで長年絶対王者として君臨しているエンツォ・フェラーリ率いるフェラーリ社に挑戦することになる。

前出演作の「バイス」でブクブクに太っていたクリスチャン・ベイルがまたもやガリガリになって変なベクトルで注目されている作品ですが、アカデミー賞に強いフォックスのエース作品(のはず)。

ただ、予告編を見る限りはアカデミー賞向け作品というよりもエンターテイメント作品といった感じ。