トリスタン・ヴィーリン:ヤンキース・3巡目指名(2022年MLBドラフト)


2022年シーズン前半戦終了時点におけるニューヨーク・ヤンキースのプロスペクト(有望株)ランキングTOP100を作成

2022年MLBドラフトにてヤンキースが3巡目(全体100位)で指名した大学生右腕トリスタン・ヴィーリンについて。


トリスタン・ヴィーリン

Trystan Vrieling
21歳9か月(2000年10月生):193cm・90kg
右投先発:ゴンザガ
大学(3年生)

ドラフト候補生ランキング
メディア 順位
Baseball America 104位
MLB.com 71位
FanGraphs 74位
ESPN 154位
Prospect Live 97位

高校時代は二刀流としてプレーするもどっちつかずで評価が低くドラフトでピックされるような選手ではありませんでしたが、地元ワシントン州の強豪ゴンザガ大学へ進学。

同大学では2年目までリリーフをメインに起用され、2年目シーズン後半戦にはクローザー→先発投手と順調にステップアップ。

そして開幕ローテーション入りを果たした今シーズンは初登板で8失点を喫するも、その後は支配的なピッチングを続け一躍ドラフト上位指名候補となりました。

ただ、それでもシーズン終盤戦は毎試合のように炎上を見せており、ドラフト直前になって評価が再び落ち込んだのも事実。

Register Pitching
Year Age Tm ERA G GS IP H HR BB SO WHIP BB9 SO9 SO/W
2020 19 Gonzaga 1.08 5 0 8.1 7 0 8 5 1.800 8.6 5.4 0.63
2021 20 Gonzaga 3.88 22 2 48.2 43 3 19 66 1.274 3.5 12.2 3.47
2022 21 Gonzaga 4.91 15 15 80.2 75 6 46 107 1.500 5.1 11.9 2.33
Coll Coll Coll 4.31 42 17 137.2 125 9 73 178 1.438 4.8 11.6 2.44

結果としてはヤンキースが評価通りの順位で指名し、ボーナスロットと同額となる61万1140ドルで契約。その後はFCLに割り当てられるも登板はありませんでした。

上位指名の先発投手を1年目は温存する育成方針をヤンキースは最近採用しているようなので、プレデビューは来年に持ち越しとなりそうですね。

(現地でもファミリーネームの発音がブリーリン、ヴィーリン、フリーリン、フィーリンと統一されておらず、今回の記事ではヴィーリンを採用していますが、正直なところ表記が正しい自信はありません。)


FB SL CB CH Cmd
45/50 40/45 40/45 35/40 30/40
FB/be FB/vel SL/vel CB/vel CH/vel
96~97 92~93 83~88 79~81 85~87

クセのないスタンダードかつスムーズなスリークォーターから投げ込まれるフォーシームは最速96~97マイルを計測するも常時は90マイル台前半とのこと。映像を見る限りでは横変化量が小さくスピン効率が高そうな印象で、体格とフォームに恵まれているだけにプロ入り後は更なる球速アップも期待。

変化球は代表的な3球種全てを投げるようですが、その中でも2500rpm以上を計測するスライダーがベストピッチ。85マイル弱のスウィーピングするスライダーと85マイル強のカットボール気味のスライダーを使い分けており、80マイル前後を計測しているカーブも前者のスライダーと同じピッチかもしれません。

残りのチェンジアップは試合でほとんど使っておらずスライダー&カーブと比べると明らかに劣るよう。

スタミナが豊富で試合後半も球速を維持できりとの評価も目にしましたが、コマンドとコントロールはダメダメ。そもそも今シーズンは後半戦に死球が大幅増加していたこともあり、本当に先発投手としてのスタミナを持ち合わせているのかも疑問。

とは言え、前述したように投球フォームはクセがなくスタンダードかつスムーズなため、再現性を向上させるためのハードルは低そうで、アップサイドは3巡目指名として十分かと。

雑感

昨年2020年のドラフトでは体格に優れ球威向上が見込まれる大学生投手を青田買いしたヤンキースですが、今年もその方向性が変わることはなく、ヴィーリン指名も正しくそのチーム方針の表れ。

ただ、個人的にはトラッキングデータを重視しているエバリュエーターからの評価が低かった点は気になります。