レイ・ブラック ~ 元104マイル投手の28歳ルーキー

かつてマイナーリーグで最速104マイル(約167㎞)を計測した元世界最速右腕のレイ・ブラックをご存知でしょうか。実はこの選手、あまり話題になっていませんが今シーズンの7月にSFでプロ入り8年目&28歳にしてMLBデビューを果たしています。

ということで今回はレイ・ブラックのユニークな経歴とエンターテイメント性バツグンのピッチングを紹介したいと思います。


レイ・ブラック

1990年6月26日生(28歳)/196㎝・102㎏/右投右打/ペンシルバニア州/2011年度ドラフト7巡目(全体237位)/サンフランシスコ・ジャイアンツ所属

Baseball Reference
Fangraphs
Baseball Cube
MiLb.com


高校最終学年で肘を怪我したためにトミー・ジョン手術を受け、ピッツバーグ大学に進学しますが1年目の出場は無し。2年生からリリーフとして復帰すると2年&3年生(2010&2011年)の2シーズンで合計30試合、36.2イニング、防御率11.05、WHIP2.45、奪三振率11.8、四球率10.1というあまりにも醜い成績を残しましたが、剛速球が評価され2011年MLBドラフトにおいてジャイアンツに7巡目という好順位で指名されます。

契約金約22万ドルで契約しますがすぐに右肩の関節唇を損傷し2012年~2013年を全休。プロデビューを果たしたのは2014年の4月でしたが、上のように奪三振率18.1を記録し一躍チーム内のプロスペクトランキングにランクイン。

しかし、2015年~2016年は高い奪三振率をキープしたものの度重なる故障と制球難(2年連続で四球率9.0以上)に苦しみ評価が下落。ただ、2015年11月アリゾナ秋季リーグと2016年4月AAの試合で当時の右投手歴代2位の記録である104マイルを計測し話題になりました。(1位はジョエル・ズマヤの104.8マイル)

それでも順調には行かず2016年9月には右肘の骨棘により2017年の8月まで離脱。2018年になってやっとまともな成績を残し6月にMLBデビューを果たしました。

MLBでは今日まで12試合、11.2イニングで防御率3.86、奪三振率11.6、四球率3.9、被打率.105というそこそこの成績を残しています。ちなみに5失点していますがこれはタイラー・ホワイト(HOU)に2ラン、マット・カーペンター(STL)に3ランを打たれたため、この2試合を除いた10試合では1本もヒットを打たれていません。



平均球速(フォーシーム):97.8マイル:MLB全体6位

最高球速(フォーシーム):100.9マイル:MLB全体6位

平均スピンレイト(フォーシーム):2638rpm:MLB全体3位

平均スピンレイト(スライダー):3163rpm:MLB全体2位


上のように球の質だけならMLB全体で見てもトップクラス。ただ、制球難に加えてリリースポイントがバラバラ(一つ目の動画と下の画像を見れば一目瞭然です)のためにMLBデビューを果たした今でも才能が開花したとは言えません。また、すでに28になってしまったためもう104マイルのフォーシームは投げられなさそうですね。