ジョージ・ロンバード Jr.:ヤンキース・1巡目指名(2023年MLBドラフト)


2023年MLBドラフトにおけるヤンキースの1巡目指名候補について(Bryce Eldridge、Thomas White、George Lombard Jr.)

本日行われた2023年度MLBドラフト初日において1巡目・全体26位指名権を持つニューヨーク・ヤンキースはフロリダ州ガリバー・プレップ校の内野手ジョージ・ロンバード Jr.George Lombard Jr.)を指名。

長らく地元ニューヨークで活躍するサミュエル・スタフラの指名が確実視されていましたが、よりバッティングに優れ守備走塁で劣る高校生野手をピックした形に。

取り敢えず「ヤンキースの2023年MLBドラフト1巡目指名候補」で取り上げたプロスペクトで良かったわ。

過去の1巡目指名選手

年度 順位 選手名 PO HS/CO
2022 25 スペンサー・ジョーンズ OF 大学
2021 20 トレイ・スウィーニー SS 大学
2020 28 オースティン・ウェルズ C 大学
2019 30 アンソニー・ボルピ SS 高校
38 T.J・シッケマ LHP 大学
2018 23 アンソニー・シーグラー C 高校

ちなみに、カルロス・ロドンとのFA契約によるペナルティによって今年は2巡目&5巡目指名権が無し。

Kiley McDanielが興味深い提案を行っていましたが、よっぽどのことがない限り今ドラフトの勝ち組には成り得ません。


ジョージ・ロンバード Jr.

George Lombard Jr.45 FV
18歳2か月(2005年6月生):190cm/86kg
右投右打:
ショート:ヴァンダービルト大学コミット
フロリダ州マイアミ市ガリバー・プレップ校(4年生)

ドラフト候補生ランキング
メディア 順位
Baseball America 31位
MLB.com 31位
FanGraphs 22位
ESPN 27位
Prospect Live 28位
Joe Doyle
31位
The Athletic 34位

元メジャーリーガーかつ現在DETのベンチコーチを務めるジョージ・ロンバード Sr.を父に持つ2世プロスペクト。

2世の上位指名候補では珍しくリトルリーグ~中学生時代にスタンドアウトした存在ではなかったようですが、昨年夏のショーケースや秋冬のビッグイベントにて大きな成長を見せ、今シーズンも地元リーグ他で引き続き力強いパフォーマンスを残したことにより、一躍ドラフト上位指名候補に。

一般的なプロスペクト評価通り1巡目後半~CBA辺りでピックを受けるだろうと大方見込まれていました。

Season AB H 2B HR BB K BA OBP SLG OPS
2020 15 1 0 0 1 4 .067 .125 .067 .192
2021 60 22 7 2 5 12 .367 .415 .583 .998
2022 86 30 5 9 22 18 .349 .486 .767 1.253
2023 90 43 14 6 24 13 .478 .583 .855 1.439

スタフラと共に早い段階からヤンキースとのリンクが取り沙汰されており、トーマス・ホワイトディロン・ヘッドと並ぶスタフラの有力な対抗馬と考えられていただけに、ヤンカスからすればサプライズ感の薄いピック。

2巡目指名権を持たずボーナスプールのやり繰りが難しいヤンキースにとって高校生指名は本来リスキーなはずですが、ロンバード側が高いボーナスを要求しているとの噂もなくヴァンダービルドへのコミットは弱い模様。

そもそもあれほど早い段階から注力していたんですから、契約締結に至らない可能性は非常に低いでしょうね。


Hit Power Run Arm Field
45 55 60 50 45

現役時代にアスレチックなトッププロスペクトとして見做されていたシニア譲りの身体能力、そしてシニア以上の恵まれた体格を兼ね備え、18歳2ヶ月という年齢も大きな魅力。

下半身の粘りが弱く左腕がルーズとなるメカニクスは改善の必要性があるかと思いますが、ショートスイングのノーステップ打法から優れたEVを残す辺りはポテンシャルを感じさせます。

また、三振が決して少なくないバッターではありますが、昨年秋のWWBAでは速球に対するZ-Con%とChase%において褒められるような数字を残せなかったものの、ブレーキングボールに対する同スタッツは優秀だった模様で、変化球に脆いというわけではなさそう。

とは言え、理想的なVBAによりバレルゾーンで捉えるスイングではなく、Raw PowerがGame Powerへ届かず高GB%に苦しむような気が…。

60ヤード走にて6.53秒を計測するスピードはプラス級。2021年は7.16秒だったことから急速に脚力が伸びたと考えられますが、将来的なビルドアップを考慮すると55/60グレードで迷いました。

また、ショート守備に関して、肩の強さは平均以上”と評されるものの、その他ツールがプロレベルで通用するかは意見が分かれており、大柄な体格も踏まえセカンドやサードだけでなく外野両翼へのコンバートを予想する声も。

ヤンキースの2023年MLBドラフト1巡目指名候補:その1」でも記した態度が悪いとの噂は真相不明。


ジョージ・ロンバード Jr.の1巡目指名は....

雑感

大学生野手重視からアンソニー・ボルピ以来の高校生野手指名へシフトしたわけですが、体格と身体能力に恵まれシーリングが高いバッティング・ファーストのプロスペクトをピックする路線は変わらず。

契約金も恐らくスロットバリュー通りの数字となるはずで、3巡目以降では再び大学生投手をかき集めるのではないでしょうか。

そもそも歴史に残る今年の大豊作ドラフトで2巡目指名権を失っている時点で負けですよ。

(3巡目以降も踏まえて後日追記します)