ヤンキースの2023年MLBドラフト1巡目指名候補:その2


2023年MLBドラフトにおけるヤンキースの1巡目指名候補について(Bryce Eldridge、Thomas White、George Lombard Jr.)
2023年シーズン開幕時点におけるニューヨーク・ヤンキースのプロスペクト(有望株)ランキングTOP50を作成

Chase Davis欲しい…。



サミュエル・スタフラ

Samuel Stafura:2004年11月生:183㎝・85㎏
右投右打:ショート:ニューヨーク州

ドラフト候補生ランキング
メディア 順位
Baseball America 39位
MLB.com 86位
FanGraphs
ESPN 50位
Prospect Live 92位
Mason MacRae 28位
Joe Doyle
55位
The Athletic 47位

ヤンキースタジアムから車で45分離れた地元エリア出身、走攻守揃ったショート、インゲームパフォーマーであることからアンソニー・ボルピと比較されていて、実際にヤンキースは前回取り上げた3人と同じく彼にウェイトを置いている模様。(と言うか、現時点の1巡目指名最有力候補)

今シーズンの活躍と評価上昇が現段階ではプロスペクトランキングに十分反映されておらず、上表順位も前回の3人と比べ見劣りしますが、1巡目指名の可能性十分な存在。

当然ながら本格的に彼を狙っているのは全体26位指名権を持つヤンキースだけでなく、先日行われた所属高校リーグのレギュラーシーズン最終戦ではアストロズ(全体28位指名権保有)のダナ・ブラウンGMが直々に現地観戦へ訪れたとのこと。

加えてロイヤルズ(全体8位指名権保有)の名前も挙がっていますが、流石に8位もの高順位に値するプレーヤーとは考えられないので、2巡目(全体44位)の指名候補と考えているのでしょうね。

クレムソン大学にコミット。

Hit Power Run Arm Field
45 45 60 55 50

今シーズンは24試合に出場し44安打・10本塁打・OPS 1.860・27盗塁(1盗塁死)を記録し三振に至ってはゼロ。所属リーグはレベルが高いと言えず、別に上記成績がドラフト上位候補生として圧倒的な数字というわけではありませんが、昨年秋のPG WWBA WCでも5割近く打っていたようなので、インゲームパフォーマーと評するに値するプレーヤーかと。

昨年まで左足のエフォートが不十分でインサイドアウト気味だったコンパクトスイングは、ブライアン・ドージャーを彷彿させプルサイドにパワーを発揮する豪快なスイングに。

昨年まではギャップヒッターとの評が多数を占めていたかと思いますが、パワーツールの評価も伸びているように感じます。

優れた60ヤード走タイム(6.48秒)とスプリントタイムを計測するスピードはプラスツール。

送球においても肩力・精度共に平均を上回っていて、堅実なハンドリングも相まりプロレベルでもショートに留まることができる素材だと考えられています。


チェイス・デイビス

Chase Davis:2001年12月生:185㎝・98㎏
右投左打:レフト:アリゾナ大学3年生

ドラフト候補生ランキング
メディア 順位
Baseball America 28位
MLB.com 39位
FanGraphs
ESPN 36位
Prospect Live 24位
Mason MacRae 4位
Joe Doyle
21位
The Athletic 35位

高校時代は最高級のバットスピードと強肩を武器に2巡目クラスの評価を受けるも、強豪アリゾナ大学進学の意志が強く2020年短縮ドラフトで指名されず。オースティン・ウェルズと入れ替わる形で同大学野球部に入部。

大学1年目は短縮ドラフト指名漏れ組がレギュラーの座に居座ったため出場機会が削られたものの、2年目にレフトのポジションを掴むと同年ドラフトにてアスレチックスから全体19位指名を受けたチームメイトのダニエル・スーザックに勝るとも劣らないバッティングを披露。

さらに、チームの柱となった今シーズンはアプローチ面に成長を見せ、P12カンファレンスNo.1の打撃成績を記録。もちろん打者有利の本拠地に助けられていたことは否めませんが、強豪校相手にも強打を披露しています。

Register Batting
Year Age Tm Lg G PA H 2B HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2021 19 Arizona P12 27 35 7 3 0 0 5 12 .233 .343 .400 .743
2022 20 Arizona P12 63 290 68 13 18 4 48 66 .289 .414 .583 .997
2023 21 Arizona P12 53 260 76 16 20 0 40 39 .367 .492 .754 1.246

インゲームでのハードヒッティング、高度なゾーン内アプローチ、強靭な肉体、高い身体能力、左打ちなどヤンキースがドラフト候補生に求めるチェックボックスを多数満たしていてますが、大学球界の上位指名候補で最もホットな存在の1人として評価も急上昇中。

この勢いならばヤンキースの全体26位までに残らない可能性が高く、例えば野手の指名が見込まれ外野の長期デプスが弱いブルージェイズ(全体20位指名権保有)がフィットするのでは。10位台で消える可能性も十分。

Hit Power Run Arm Field
45 60 50 65 50

豪快なレフトスイングはありとあらゆる人間からカルロス・ゴンザレスと比較され、115.6マイルのMAX EVと109マイル前後の90th EVは共に大学球界トップクラス。

2年連続でChase%が20%を下回るなど選球眼に優れ、加えて昨シーズンから今シーズンにかけてコンタクト率が10%以上も向上。結果として今シーズンはK/BBを大きく改善させ四球数>奪三振を達成しています。

ただ、過去2年間に参加したサマーリーグではリーグ平均と大差ない成績に終わっていて、木製バットへの適応力を疑わざる負えません。

スピードは平均以上と評されるも、盗塁数や高校時代のスプリントタイムを見る限り平均レベルと考えるのが妥当か。

アリゾナ大学ではレフトを守っていますが、高校時代ショーケースの外野送球テストにて99マイルを計測したプラス~ダブルプラスの強肩を考えると、ゴンザレスと同様にライトでのプレーも期待したいところ。


ノーラン・シャヌエル

Nolan Schanuel:2002年2月生:193㎝・95㎏
右投左打:ファースト:フロリダ・アトランティック大学3年生

ドラフト候補生ランキング
メディア 順位
Baseball America 29位
MLB.com 39位
FanGraphs
ESPN 32位
Prospect Live 31位
Mason MacRae 34位
Joe Doyle
30位
The Athletic 18位

NCAA1部では中堅のカンファレンスUSAにて断トツの打撃成績を残す今クラス上位指名候補の色物枠。

高校時代はドラフト2日目で指名を獲得するであろうレベルのプロスペクトだったものの、2020年短縮ドラフトにて指名漏れ。

彼クラスであれば強豪校の進学も可能だったかと思われますが、ホームタウンから10マイル程度離れた位置にあるフロリダ・アトランティック大学へ進学。

カンファレンスUSAは不釣り合いだったのか1年目から3年連続でチームNo.1の打撃成績を残し、今年に至ってはカンファレンス史に残る規格外の数字。強豪校との数少ない対戦機会で結果を残している点も注目に値します。

守備バリューの制限と中堅カンファレンス所属のプロファイルを差し引いて1巡目後半~1巡目補完ラウンドでの指名が有力的。

最近のヤンキースは2021年にトレイ・スウィーニーを1巡目、2022年にドリュー・ソープを2巡目でピックし、特に2022年に至ってはその2巡目でタイラー・ロックリアを狙うなど、トップティア圏外のカンファレンスに所属するプレーヤーを臆することなく指名するチーム。

しかしながら、ヤンキースは兼ねてから守備バリューが低い野手の上位指名を避ける傾向にあり、キャッチャー守備が危うかったオースティン・ウェルズですら特殊例と言っても過言ではないほど。プロ入り後もファーストでプレーするハメになるであろうシャヌエルはスカウティングのレーダー外かもしれません。

とは言え、チェイス・デイビスと同様に今ディケイドのヤンキースが好むツールを多く兼ねそなえたプロスペクトであることも確か。

Register Batting
Year Age Tm Lg G PA H 2B HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2021 19 Florida Atlantic CUSA 55 244 68 11 11 6 28 21 .343 .444 .576 1.020
2022 20 Florida Atlantic CUSA 58 277 83 17 16 11 39 22 .369 .477 .658 1.134
2023 21 Florida Atlantic CUSA 59 289 88 18 19 14 71 14 .447 .615 .868 1.483

タフィ・ローズを彷彿させる左のスイングは1巡目指名候補の中で最もエレクトリック。

豪快なスイングから放たれるハードヒットは平均EVが94マイルを超え、平均OPS.800強のカンファレンスにて3シーズン連続でOPS1.000超。今シーズンに至ってはスロースタートを切ったにもかかわらず1.500近い数字を残し、K/BBも天文学的数字の領域へ。

これほどのK/BBを残したバッターは近年のNCAAに存在せず、相対的評価が困難な状況。

ただ、昨年参加したケープコッドリーグでもリーグ屈指のK/BBを残していることから、パワーだけでなくアプローチ面もハイレベルなバッターと考えて構わないはず。

Hit Power Run Arm Field
40 60 45 55 50

少しぽっちゃりした体型と不恰好なランニングフォームが悪影響を及ぼしているのか鈍足の烙印を押される機会が多いものの、高校時代のスプリントタイムは平均以上の数字で、盗塁数もカンファレンスにてトップ10前後。

所属大学ではファーストに固定されてしまっているものの、そもそも高校時代は外野メイン。毎年のサマーリーグにおいても外野起用を受ける機会が多く、平均以上のアームとフリンジレベルのスピードから、コーナーOFへコンバート可能との声も多数。ファースト守備は○との評。