オプトアウト権を行使(残り1年1600万ドルを破棄)してFAとなっていたアンソニー・リゾーが、2年3400万ドルの契約に合意し残留を決めました。
また、2年契約終了後の2025年シーズンに球団オプション1年1700万ドルとバイアウト600万ドルが設定されており、贅沢税用AAVは(3400万ドル+600万ドル)/2年=2000万ドルとなります。
Year | Age | Tm | G | PA | H | HR | BB | SO | BA | OBP | SLG | OPS |
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2019 | 29 | CHC | 146 | 613 | 150 | 27 | 71 | 86 | .293 | .405 | .520 | .924 |
2020 | 30 | CHC | 58 | 243 | 45 | 11 | 28 | 38 | .222 | .342 | .414 | .755 |
2021 | 31 | TOT | 141 | 576 | 123 | 22 | 52 | 87 | .248 | .344 | .440 | .783 |
2022 | 32 | NYY | 130 | 548 | 104 | 32 | 58 | 101 | .224 | .338 | .480 | .817 |
2020~2021年はファーストとして物足りない打撃成績に終わっていたリゾーですが、ヤンキースの思惑通り(?)にヤンキー・スタジアムで数字を稼ぎ、キャリアハイとなる32本塁打を記録。ポストシーズンでもハリソン・ベイダーの次ぐ打撃成績を残しました。
しかし、かつてMLB最高級だったファースト守備は着実な衰えを見せており、コロナ感染と背中の故障によって2度のIL入りを喫したことで、出場機会はMLB定着以降ワーストの数字。
結果としてWARなどの貢献度指標は思うように伸びず。年俸1600万ドル分以上の仕事を果たしたとは思いますが、特別コスパが優れていたわけではありませんね。
年度 | wRC+ | OPS | rWAR | fWAR |
2019 | 140 | .924 | 4.2 | 3.8 |
2020 | 103 | .755 | 1.1 | 0.9 |
2021 | 113 | .783 | 1.7 | 2.1 |
2022 | 132 | .817 | 2.3 | 2.4 |
2023 (予測) |
122 | .804 | 2.1 | 2.5 |
2024 (予測) |
119 | .791 | 1.9 | 2.1 |
契約期間は過去2シーズンと同等の成績が見込まれており、この数字はMLBのファースト全体で13~15番手に当たる数字。つまり、現状としてリゾーは至って平均レベル若しくは平均を僅かに上回るファーストと言えるでしょう。
また、2021年のシーズン開幕までIL入り経験が2018年中のたった1度だけであったにもかかわらず、ここ2シーズン連続でIL入りを喫っするなど、大きなウリであった耐久性が劣化の一途を辿っている印象。
ヤンキースは20年以上に渡ってベテランファーストのポンコツ化に悩まされ続けているだけに、今回も胸騒ぎを感じざる負えません。
ただ、打球方向に大きな偏りがあるリゾーにとって、来シーズンから始まるシフト禁止は強い追い風。
ここ3シーズンにおいて.218→.258→.216と低空飛行を続けているBABIPの向上は確実的で、高xwOBA・高バレル率が来シーズン以降は効いてくるはず。
別にそんな奴は補強市場に山ほどいるけど…
2年3400万ドル+球団オプション1年1700万ドル(バイアウト600万ドル)の契約内容は左のファースト/DHが不作の今オフ補強市場において適正価格か少しお得な感じ。
すでにアストロズが獲得へ向けて動き、他チームからも人気を集めることが予想されていた中で、これほど早くリーズナブルな契約を纏め上げてしまったということは、リゾー本人がヤンキースを優先したことは明らか。
昨オフに結んだ前回の2年契約はオプトアウト権が含まれることでヤンキースにとって不利な内容であり、実際にこうやって権利を行使され不利を被ったわけですが、今回は問題ありませんでした。
ただ、この8月に33歳の誕生日を迎えたリゾーの残留によって、2022年シーズンにおいて30球団中最も平均年齢が高かったヤンキース野手陣の高齢化は顕著に。
(ルーキーを除く)野手陣のシーズン毎の年齢を下表にまとめましたが、若手育成に失敗し続けたチームの末路がこれ。次の波(ペラザやボルピ)もコケたらいよいよ終わりだな。
選手名 | 2023 | 2024 | 2025 |
ジョシュ・ドナルドソン | 37 | FA | ー |
DJ・ラメイヒュー | 34 | 35 | 36 |
ジャンカルロ・スタントン | 33 | 34 | 35 |
アーロン・ヒックス | 33 | 34 | 35 |
カイル・ヒガシオカ | 33 | 34 | FA |
アンソニー・リゾー | 33 | 34 | FA |
ホセ・トレビーノ | 30 | 31 | 32 |
ハリソン・ベイダー | 29 | FA | ー |
アイザイア・カイナー=ファレファ | 28 | FA | ー |
グレイバー・トーレス | 26 | 27 | FA |
私は数日前にヤンキースの補強予算を約年俸4000万ドル(AAVベース)と見積もっていましたが、リゾーとの契約によって2000万ドルを消化し残り2000万ドル。
次のムーブはアーロン・ジャッジとの交渉になるでしょうが、AAV3500万ドル前後の超大型契約を見込まれる彼を残留させるには、贅沢税第3ラインの2億7300万ドル付近までAAV総年俸を引き上げるか、グレイバー・トーレス(来季年俸970万ドル見込)やアイザイア・カイナー=ファレファ(来季年俸630万ドル見込)などリゾー再契約による突き出しで余剰要員気味となったArb勢放出による”現実的”なサラリーダンプを行う必要があります。
※そもそもリゾーと再契約したところで他の内野陣の出場機会が食われるだけであり、このままでは上がり目は1勝分(WAR1.0)未満。
人数 | 総額(ドル) | |
来季年俸確定 (贅沢税対象分) |
8 | 1億5000万 (1億4800万) |
年俸調停(予想) | 13 | 5000万 |
最低年俸 | ? | 720万 |
マイナーリーガー | ? | 250万 |
年俸合計 | — | 2億1100万 |
その他(福利厚生費) | — | 1650万 |
贅沢税対象 (AAV総年俸) |
— | 2億2500万 |
年俸制限 | — | 2億3300万 |
超過額 | — | ▲800万 |
個人的には前にも書いたように、リゾーへ大金を叩くよりは(足に不安を抱えた)ラメイヒューを一時的にファーストに据え、トレードデッドラインまで様子を見る方が良かったかと思いますが、それ以上に残留補強って変化が無くてツマらんのよね。
このまま予想通りの置きに行った補強が続くなんて癪に障るから、いっそのこと昨オフのツインズとのトレードのような予想外ムーブかましてくれ。
ジャッジ残留なんて一番ツマらんからな。