ヤンキースが6年1億6200万ドルでカルロス・ロドンを獲得🙄

今年のオフシーズンは残留(復帰)だらけでツマらない🥱 ギャンブルムーブはウェルカムだ🤗」などとホザいていたら、キャッシュマンのアホンダラが今オフ最大級のギャンブル「カルロス・ロドン獲得」を敢行。

契約内容は契約金500万ドル、2023シーズン年俸2200万ドル、2024~28年シーズン年俸2700万ドルの総額6年1億6200万ドル(年平均2700万ドル)で、全チームトレード拒否条項込み。

左投手としてはデビッド・プライスの7年2億1700万ドルに次ぐFA史上歴代2位の契約規模であり、ヤンキースと1億ドル以上の大型契約を結ぶ投手はCC・サバシア、田中将大、ゲリット・コールに続き4人目となります。



通算成績

Standard Pitching
Year Age Tm ERA G IP BB SO ERA+ FIP WHIP H9 HR9 BB9 SO9 SO/W
2015 22 CHW 3.75 26 139.1 71 139 104 3.87 1.443 8.4 0.7 4.6 9.0 1.96
2016 23 CHW 4.04 28 165.0 54 168 100 4.01 1.394 9.6 1.3 2.9 9.2 3.11
2017 24 CHW 4.15 12 69.1 31 76 104 4.69 1.370 8.3 1.6 4.0 9.9 2.45
2018 25 CHW 4.18 20 120.2 55 90 102 4.95 1.260 7.2 1.1 4.1 6.7 1.64
2019 26 CHW 5.19 7 34.2 17 46 89 3.62 1.442 8.6 1.0 4.4 11.9 2.71
2020 27 CHW 8.22 4 7.2 3 6 56 4.89 1.565 10.6 1.2 3.5 7.0 2.00
2021 28 CHW 2.37 24 132.2 36 185 185 2.65 0.957 6.2 0.9 2.4 12.6 5.14
2022 29 SFG 2.88 31 178.0 52 237 140 2.25 1.028 6.6 0.6 2.6 12.0 4.56
8 Yr 8 Yr 8 Yr 3.60 152 847.1 319 947 115 3.59 1.239 7.8 1.0 3.4 10.1 2.97

オフシーズンの動向

(2021年アメリカンリーグにおいて4番目、2022年ナショナルリーグにおいて3番目に優れた成績を残したカルロス・ロドンの実力について今更触れるつもりは無いので省略。)

1週間前に書いたように、オフシーズン開始前は年平均2500万~3000万ドルの5年契約が見込まれていたものの、FA市場の急激な高騰に従ってロドン陣営も7年・2億ドル級の大型契約を要求

争奪戦においてはヤンキースの他に古巣ジャイアンツ、コレアが流出したツインズ、カージナルス、ブルージェイズ(バシット契約前)などの名前が挙がっており、その中でヤンキースはロドン希望の7年契約に対し4~5年の短期的な契約を検討しているとの話でした。

現時点ではヤンキース以外の球団が具体的なオファーを行ったとの報道は無く、ロドン争奪戦が本当に熱を帯びたものであったのかは不明ですが、個人的には本人の希望に近い7年・2億ドル前後の大型契約を手にするだろう考えていたため、契約内容(6年1億6200万ドル)を知った際のファーストインプレッションは「意外と安いな🤔」

ロドン本人も7年契約を希望する傍らでヤンキースに好意を持っていたとの噂もありますが、この契約規模で収まった理由が、思いのほか争奪戦が盛り上がらなかっただけなのか、それとも本人がヤンキース移籍を優先してディスカウントを受け入れたのか気になるところ。

スぺ体質について

次にロドンを語る上で絶対に欠かせないツぺ体質についてですが、MLB昇格後の目を見張るような故障歴を下表にまとめてみました。

ロドンの輝かしき故障歴

部位 故障 月日 離脱期間
左手首 捻挫 16年7月 2ヶ月
上腕二頭筋 炎症 17年4月 3ヶ月
左肩 炎症
(手術)
17年9月 9ヶ月
(翌6月復帰)
左肘 炎症 19年5月 シーズン終了
左肩 張り 20年8月 2ヶ月
左肩 倦怠感 21年8月 2週
不明 不明 22年10月 シーズン終了

元はと言えばロドンはノースカロライナ大学1年目に圧倒的なパフォーマンスを残し、2年後(2014年)のドラフト全体1指名コンセンサス候補と見做されるだけでなく、大学野球史上最高の左投手の一人として2010年代のマーク・プライアースティーブン・ストラスバーグになり得た存在。

しかし、同大学の酷使と背中の故障によって2年目以降は球速低下を見せ、肝心の2014年ドラフトでは全体16位まで指名順位を落とすなどアマチュア時代から曰く付きのプレーヤー。

本格的にスぺ体質が現れたのはプロ入り後フルシーズン2年目の2016年からのことであり、それ以降は6シーズン・レギュラーシーズン期間約1000日のうち約400日を故障者リスト上で過ごす有様。

つまりレギュラーシーズンの出場割合は約60%で、1シーズン=30先発&180イニングと仮定し単純計算を行うと、契約期間6年間でたった110先発&650イニングしか見込めないということになります。

また、今シーズン序盤は98~99マイルを連発しアベレージが96マイルを上回っていたものの、シーズンが進むに連れ球速は下落を続け終盤には94マイル台まで低下。

そもそも今シーズンに限らずキャリア通してシーズン途中の球速低下が酷いピッチャーで、先発投手としての力量配分がなっておらず、それが故障に繋がっている可能性も。

これまでポストシーズン登板経験がたった2度だけ。しかも、その2登板両方で炎上している彼ですが、ヤンキースでプレーする上ではポストシーズンでのパフォーマンスも極めて重要。

現在のスタイルではポストシーズンで思うようなパフォーマンスを残せないことは目に見えており、ここら辺はヤンキースが是正する必要があるはずで、ゲリット・コールの方は残り契約なんて知ったこっちゃないと言わんばかりに酷使を行っているヤンキースが、彼と正反対のロドンに対しどういった起用法を行うか悪い意味で注目です。

キャリア通算 月間別球速

4月 5月 6月 7月 8月 9月
93.9 95.2 95.0 94.5 93.8 93.9

昔々、ヤンキースで大不良債権となったスぺ体質の先発左腕がおりまして...46年ぶりに二の轍を踏むのもこれまた一興。

契約内容の是非

今年8月下旬時点におけるZiPSの予測によると、2023年~2027年の5年間におけるロドンの予測WARは18.4。6年目の2028年の数字はありませんが、ZiPSの予測傾向を踏まえると恐らく2.6~2.8程度となるはずで、契約期間6年間に見込まれる予測WARは約21WARと考えられます。

ただ、(これはZiPSの開発者であるDan Szymborskiも認めていることですが)基本的にZiPSを始めとする予測システムは出場試合数の予測に際し最近の結果を重視し、その代わりにもっと過去の故障歴(欠場歴)を過小評価する傾向があります。そもそも次シーズンの成績を予測するためのシステムですから、目的が異なる長期予測において齟齬が生じるのは当然の話ですが…

まあ、長期予測の是非についてアレコレ考えてもキリが無いので、取り敢えず21WAR予測を鵜呑みにして話を進めます。

今オフシーズンの1億ドル超大型契約について下表に契約総額、ZiPSの契約期間予測WAR、WAR単価(=契約総額÷予測WAR)を下表にまとめてみました。

ベストオファーを蹴ったジャッジターナーについて、彼らの市場価値が実契約額とイコールであるとは言えないので、()内にベストオファーの場合の値も記しています。

ブランドン・ニモはデータ無し。

今オフFA大型契約との比較

選手名 契約総額
(百万ドル)
予測WAR
(ZiPS)
WAR単価
(百万ドル)
アーロン・ジャッジ 360
(400)
35.5 10.1
(11.3)
 カルロス・コレア 350 41.7 8.4
トレイ・ターナー 300
(342)
30.3 9.9
(11.3)
ザンダー・ボガーツ 280 31.2 9.0
ジェイコブ・デグロム 185 14.3 12.9
エドウィン・ディアス 102 9.2 11.1
カルロス・ロドン 162 21.0 8.1

表を見ると今オフのFA市場においてはWAR単価1000万ドル強で取り引きされている分かるかと思いますが、その中でもロドンのWAR単価は最安。基本的にWAR単価は投手>野手になることが多いのですが、デグロムディアスと異なりロドンだけ反対の傾向を示していますね。

(もちろんアメリカ経済のインフレが進み高金利政策が行わている中で、6年契約と10年以上の長期契約のWAR単価を単純比較するのは危険だと認識しています。)

また、先述のZiPSの予測では契約期間6年間で約820イニングを投げると見込まれているのですが、前章では彼の過年度出場割合約60%を6シーズンに換算すると約650イニングになると書きました。

820イニング=21WARを650イニングに換算すると約16.6WAR...

つまり、今後6年間ロドンが過去6年間と同様のペースで故障し欠場したとしても、見込まれるWAR単価は今オフ市場の相場通りというわけです。

”20代時の故障”と”30代時の故障”について、復帰後のパフォーマンスに与える影響が同様とは考え難く、出場割合約60%を用いるのは余りにも単純過ぎますが、上記太字を踏まえると契約内容が過剰とまでは言い難いかと思います。

ただ、高年齢選手と長期契約を数多く抱え長期的チームバランスが非常に悪いヤンキースに見合う補強だったかは疑問。マジでキャッシュマンの4年契約が終わる頃には地獄を目の当たりにするハメになりそう。

以下、後日追記

本記事の投稿後にFanGraohasが改めてロドンの長期予測を公表していたので、その内容について追記しておきます。

新予測における契約期間6年間の予測WARは17.8WAR。この短期間でZiPSに手が加えられた模様で、約3WARも下方修正されてしまいました。

ただそれでも依然としてWAR単価は910万ドルと安価

選手名 契約総額
(百万ドル)
予測WAR
(ZiPS)
WAR単価
(百万ドル)
カルロス・ロドン 162 17.8 9.1

新予測では約880イニングを投げる見込みとなっており、880イニング=17.8WARを650イニングに換算すると約13.1WARWAR単価は約1240万ドルとなります。

やはり以前のような頻度でスぺってしまうと費用対効果の見込みはよろしくありませんね。

ただ、別の予測システム(Steamer)ではより楽観的な予測が出ています。

以上、追記終了


カルロス・ロドンとの契約は...
ヤンキースにとってベストだった大型契約は...

※デグロムは州所得税が安いレンジャーズと契約したため、5年1億8500万ドル契約におけるデグロム本人の手取り額へマッチするために、ヤンキースは約2億ドルをオファーする必要がある。


ペイロールについて

ロドンとの契約によりヤンキースの総年俸は約2億7500万ドル、AAV総年俸は2億9300万ドル弱へ到達。

2023年贅沢税ルールではAAV総年俸が2億3300万ドル、2億5300万ドル、2億7300万ドル、2億9300万ドルをオーバーする度に贅沢税率が上がる仕組みとなっており、2億7300万ドルのラインに至っては翌年のドラフト1巡目指名権が10ランクも後退。

つまり、ここからよっぽどのサラリーダンプでも行わない限りヤンキースは贅沢税を支払うだけでなく、ドラフトでもペナルティを受けることになります。

次回の記事でロドン獲得後のヤンキースの戦力分析と現状把握を行うつもりなので、今日はここまで。

  人数 総額(ドル)
来季年俸確定
(贅沢税対象分)
11 2億1800万
(2億1700万)
年俸調停(予想) 13 5000万
最低年俸 ? 720万
年俸合計 2億7500万
マイナーリーガー ? 250万
その他(福利厚生費) 1650万
贅沢税対象
(AAV総年俸)
2億9300万
年俸制限 2億3300万
超過額 6000万

コメント

  1. カーペンターが好きなんや! より:

    野手の補強はもうなさそうですかね?内外野も頭数は揃ってますし(カブレラをレフトあたりにぶち込んで)夏のトレード補強で何とかする動きになりそうかしら?

    • 管理人 より:

      BenintendiがCWSと5yr75mで契約しましたが、NYYも彼に4yr64mをオファーしたとの噂(ソースは微妙)があって、本当なら補強はまだ終わっていないことになりますね。
      また、サラリーダンプ(DonaldsonとHicks放出)にも依然として取り組んでいるようですが、彼らに興味を示すチームは皆無の模様です。

    • ヤンキーベア より:

      相変わらずの右打者偏重打線(ジャッジ、スタントン、ラメイヒュー、トーレス、ドナルドソン)ですから、左打者の獲得はまだ必要かと。リゾとヒックスでは、ヤンキースタジアムでの闘いを考えたら、ヴェニテンディや吉田を獲れなかった今では、トレードで補強するくらい?FAで残る中なら便利屋のプロファーくらいか?

  2. 無名 より:

    アリゾナからガレンと粋の良い外野期待してましたが、駄目でした残念。

    • 管理人 より:

      ARIのトレード候補に挙がっている若手外野陣は地雷っぽいのが多かったので、彼らを獲るぐらいならCabreraでギャンブルする方がマシだと思ってました。