昨年に「ヤンキースの2022年シーズン入場料収入と過年度記録について」と題し、ヤンキー・スタジアムの入場料収入について記しましたが、2023年シーズンを反映してアップデートを行います。
2023年シーズン入場料収入
SporticoやCrain’s New York Businessらビジネスメディアによると、2023年レギュラーシーズンにおけるヤンキー・スタジアム開催のNYY戦入場料収入(チケット売上:通常席とスイート席の合計)は$279.2M。
この数字は2022年レギュラーシーズンの入場料収入$284Mから微減となるわけですが、同年はポストシーズン(ALDS+ALCS)のホーム主催ゲーム5試合で$61Mを稼ぎ出しており、シーズン全体で比較すると$61Mもの大幅ダウン。
当然ながら依然として入場料収入世界No.1の地位を保持していますが、もしNBAのGSWが低迷していなければ、初めて追い抜かされていたのではないでしょうか。
入場料収入の年次推移
NYYは新球場の建設及び運営に係りニューヨーク市に対し入場料収入を報告する義務があり、情報公開制度を用いることで第3者もその報告書を入手することができます。
そのため、情報公開制度を利用した現地メディアを通してヤンキー・スタジアムの入場料収入は筒抜け状態。
また、2008年にNew York Daily NewsがNYYのファイナンシャルレポートやFan Cost Indexをソースに2000~2007年の入場料収入を報道。
それらの値をまとめた結果が下記グラフ及び表となります。
ただ、New York Daily Newsの報道内ではポストシーズンを含む値であるかは明記されておらず、他メディアの報道等と照らし合わせると含まれていない模様。2000~2007年の期間中は毎年ポストシーズンへ進出しているため、2008年以降と比較するに当たって注意が必要です。
加えて、ポストシーズンではWCの50%、LDSの第1~3戦及びLCS・WSの第1~4戦の60%の入場料収入が選手分配金にプールされるため、チームの取り分は額面から大きく減額となります。
年度 | 入場料収入 (百万ドル) |
入場者数 (万人) |
2023 | 279 | 327 |
2022 | 345 | 314 |
2021 | 192 | 196 |
2020 | ―― | ―― |
2019 | 336 | 330 |
2018 | 304 | 348 |
2017 | 319 | 315 |
2016 | 231 | 306 |
2015 | 277 | 319 |
2014 | 284 | 340 |
2013 | 295 | 328 |
2012 | 353 | 354 |
2011 | 377 | 365 |
2010 | 384 | 377 |
2009 | 397 | 372 |
2008 | 267 | 430 |
2007 | 188 | 427 |
2006 | 156 | 425 |
2005 | 144 | 409 |
2004 | 123 | 378 |
2003 | 109 | 347 |
2002 | 102 | 347 |
2001 | 98 | 326 |
2000 | 84 | 306 |
※⓪青字は旧球場(前球場)、赤字は新球場(現球場)
※①2000~2007年はニューヨーク・デイリーニュースの報道がソース
※②2000~2007年はポストシーズンを含むか不明(恐らく含んでいない)
※③2008年以降はヤンキースがニューヨーク市に報告した値
※④2020年は無観客開催
LADとSDPに次ぐMLB第3位の入場者数(実際の現地入場者数ではなく、正確にはチケット売り上げ枚数)を稼ぎ足したものの、ポストシーズンを逃したことで収入自体は2010年代中盤のプチ暗黒期並みの水準に。
ただ、これまで当ブログでは口を酸っぱくして述べてきたように、インフレ社会のアメリカにおいて過年度との直接比較は意味がありません。
というわけで、お次はインフレ調整後の入場収入について。
インフレ調整後の入場料収入
Consumer Price Index(消費者物価指数)をベースする標準的なインフレ調整によって、各年度の入場料収入を2023年に換算した結果が、下記グラフ及び表となります。
結論から言うと、無観客開催となった2020年、そしてシーズン途中まで動員制限が行われた2021年を除き、実質的に2023年シーズンの入場料収入は新球場開場以来ワーストの数字。
開場初年度の2009年と比べ半分未満という酷い有様で、もしお隣のNYMがポンコツでなければ…。
無能フロントの新陳代謝を行わず、このまま拙劣なチーム運営を続けるならば、GSWはおろかLADにも追い抜かされることでしょう。
年度 | 入場料収入 (百万ドル) |
インフレ補正後 (百万ドル) |
2023 | 279 | 279 |
2022 | 345 | 357 |
2021 | 192 | 215 |
2020 | – | – |
2019 | 336 | 398 |
2018 | 304 | 367 |
2017 | 319 | 394 |
2016 | 231 | 292 |
2015 | 277 | 354 |
2014 | 284 | 363 |
2013 | 295 | 384 |
2012 | 353 | 466 |
2011 | 377 | 508 |
2010 | 384 | 533 |
2009 | 397 | 561 |
2008 | 267 | 376 |
2007 | 188 | 275 |
2006 | 156 | 234 |
2005 | 144 | 223 |
2004 | 123 | 197 |
2003 | 109 | 179 |
2002 | 102 | 172 |
2001 | 98 | 168 |
2000 | 84 | 148 |