前々回の「MLB地区優勝を目指すに最も標準的かつ理想的なチーム構成を考える」と前回の「オフシーズン開始前にヤンキースの現状をおさらい:2022年版」を踏まえ、ヤンキースの現時点におけるチーム戦力の全体像を把握し、今オフシーズンの補強予想を行います。
目次
セベリーノのオプション行使
本来なら前回の「オフシーズン開始前にヤンキースの現状をおさらい:2022年版」をベースとしてチーム戦力の現状分析をスタート地点に話を進めるはずだったのですが、本記事の投稿がオプション行使期間前に間に合わず、ルイス・セベリーノの球団オプション1年1500万ドル行使が決定してしまいました。
というわけで、チーム戦力の現状について記す前に、セベリーノ残留決定後のペイロール関係を取り上げておきます。
人数 | 総額(ドル) | |
来季年俸確定 (贅沢税対象分) |
7 | 1億3300万 (1億2800万) |
年俸調停(予想) | 13 | 5000万 |
最低年俸 | ? | 720万 |
マイナーリーガー | ? | 250万 |
年俸合計 | — | 1億9400万 |
その他(福利厚生費) | — | 1650万 |
贅沢税対象 (AAV総年俸) |
— | 2億500万 |
年俸制限 | — | 2億3300万 |
超過額 | — | ▲2800万 |
来シーズン約130イニング・2.0WARが見込まれるセベリーノへ1年1500万ドル(バイアウト275万ドルを差し引くと実質1215万ドル)を与えることに異論なし。
また、前回では今オフにおけるヤンキースの補強予算を約5500万ドルと推定しましたが、今回の1年1500万ドルのオプション行使を差し引くと、残りの推定補強予算は約4000万ドルとなります。
ヤンキースにとってオフシーズン開始直後に4000万ドルもの余裕があるのは2018-19年オフ以来5年ぶりのこと。当時DJ・ラメイヒュー獲得など珍しく補強に成功し、2019年シーズンは2010年代におけるベストシーズンとなりましたが、アーロン・ジャッジという巨大な戦力がFA市場流出する今オフは予算額ほどの余裕を感じませんね。
※加えてティム・カストロのリリースも反映
現状のチーム戦力の分析・把握
オフシーズン中の選手補強を考察するにあたって最も需要なのは現状としての総戦力を導き出し、チームのウィークポイントを把握することでしょう。
例年はテキトーにラインナップ表を記載して感覚論で話を進めていたところですが、25歳にもなってそんなお馬鹿なことをやっていたら、私を大切に育ててくれた両親・祖父母に申し訳ないので、今年はある程度ロジカルな方法を採用…つまり成績予測を用いたアプローチを行います。
今回の記事を執筆するにあたって採用した成績予測法(Projection System)は「Marcel the Monkey Forecasting System(以下 Marcel)」。
同システムはみんな大好き(大嫌い?)なTom Tangoが約20年前に開発した成績予測システムで、Tango本人も「猿みたいなバカでも扱える簡単システム😝 ワイみたいな有能セイバーメトリシャンはこんなもの支持しないけどね😤 こんな低次元なものにワイの偉大なる名を紐づけて”Tango System”とか絶対に呼ぶなよ😡 あくまでもアホ共のためにそれっぽいのを作っただけよ😉(”超”意訳)」と評すほど簡易的なメソッド。
ただ、私でも扱えるほど単純で統計学的根拠に欠ける算定方式を用いているにもかかわらず、何故か他の複雑な成績与作システムに匹敵する予測精度を有しており、正しく「Projection System界のOPS」と称すべき代物。
本来ならFanGraphsやBaseball Prospectusに掲載される成績予測システムの値を考え無しに流用すればいいだけの話なのですが、本記事の執筆開始時点でまだ来シーズンの予測が掲載されていなかったので、わざわざ手間をかけて自力による算出を試みた次第です。
ちなみに、日本プロ野球にてDELTAが開発した成績予測システム“D-CAST”もMarcelをチョコっと改良しただけのものなので、当システムのロジックを理解するにはTangoのブログよりDELTAのコラムをチェックする方が👍かもしれません。
そういうわけで、ヤンキース各選手の成績(rWAR使用)をMarcelに落とし込んで来シーズンの予測WARを算出していたのですが、作業終了直前・最速のタイミングでFanGraphsが成績予測システム”Steamer“の予測を載せやがりました。さらに、Baseball ReferencecもMarcelの予測を掲載(ただしスタンダードな指標の予測のみでバリュー系指標は無し)。
こうなると当然Steamerの予測を流用すべきなのでしょうが、これまでの作業をゴミ箱に放り込むのは癪なので、野手陣についてはMarcelの予測値でゴリ押しすることとします。ただ、MarcelはルーキーなどMLB経験が少ないプレーヤーの予測を想定したシステムではないので、オズワルド・カブレラやオズワルド・ペラザ、アンソニー・ボルピはSteamerの予測値やプロスペクトFV→WAR換算値を組み込んでいます。
また、失点率ベースのrWARよりFIPベースのfWARの方が投手の予測において優れているのは明らかで、肝心のSteamerもFIPベースの予測。ですから投手陣に関してはMarcelとSteamerの平均値を用いることとします。もちろんrWARとfWARのスケールは合わせていますよ。
上記の結果として、下表に記している値が今回導き出された予測値。加えて、「MLB地区優勝を目指すに最も標準的かつ理想的なチーム構成を考える」で導き出した理想的な目標値及び予測値との差分も記し、ヤンキースのウィークポイントを捉えやすくしたつもりです。
野手陣
POS | 選手名 | 予測値 | 目標値 WAR |
差 | |
PA | WAR | ||||
C | ホセ・トレビーノ | 380 | 1.5 | 1.6 | -0.1 |
1B | DJ・ラメイヒュー | 540 | 3.0 | 2.7 | +0.3 |
2B | グレイバー・トーレス | 540 | 2.0 | 3.0 | -1.0 |
3B | ジョシュ・ドナルドソン | 530 | 2.5 | 3.4 | -0.9 |
SS | アイザイア・カイナー=ファレファ | 540 | 3.2 | 3.9 | -0.7 |
LF | アーロン・ヒックス | 440 | 1.3 | 2.3 | -1.0 |
CF | ハリソン・ベイダー | 400 | 2.5 | 2.9 | -0.4 |
RF | オズワルド・カブレラ | 540 | 1.6 | 2.9 | -1.3 |
DH | ジャンカルロ・スタントン | 490 | 1.7 | 2.1 | -0.4 |
控え選手 | |||||
C | カイル・ヒガシオカ | 260 | 0.8 | 0.9 | -0.1 |
IF | オズワルド・ペラザ | 320 | 1.3 | 1.2 | +0.1 |
IF | アンソニー・ボルピ | 330 | 1.6 | 1.2 | +0.4 |
OF | エステバン・フロリアル | 240 | 0.1 | ― | +0.1 |
合計5 | 5550 | 23.1 | 30.0 | -6.9 |
捕手
フレーミング得点をWARのパラメーターとして使用しないrWARベースのため、ホセ・トレビーノの予測値が実際の貢献度より過小となってしまっていますが、彼だけでなく控えのカイル・ヒガシオカも目標値と大差なし。
マイナーにはトッププロスペクトのオースティン・ウェルズも控えていることを考えると、今ポジションにリソースを割くのは愚策でしょう。
アンソニー・リゾーがFAとなったことで現状としてGG賞UT部門を獲得したDJ・ラメイヒューがファースト固定に。ちなみに。ファースト固定を想定して予測値からポジション補正値差分を差し引いているので、単純な予測値はもっと上です。
また、高DRSによってrWARを荒稼ぎしたアイザイア・カイナー=ファレファやジョシュ・ドナルドソンの予測は課題である可能性が高く、反対にDRSがポンコツのグレイバー・トーレスは過小評価されているかもしれません。実際にトーレスはSteamerの予測でチーム野手トップ(fWAR 3.3)でした。
とは言え、内野のレギュラー4人+控え2人の予測打席数及びWAR合計値は私の予測が2800打席・13.6WAR、Steamerが2710打席・12.5WAR。打席数の差を踏まえれば、大した誤差ではないかと思いますし、rWARとfWARの是非について語り始めればキリがないから…。
表を見てもらえば分かることですが、結局のところラメイヒューを無理やり置いたファースト以外は全てウィークポイント。トッププロスペクト2人が占めるベンチ枠は良好な予測が出ているもののルーキーなのて所詮は信頼度が低く、彼らをレギュラーに昇格させたとしても運良くアップサイドへ振れない限り現レギュラー陣を超えることはありません。
(DRSが本当にIKFの守備力を正しく評価できているのであれば…)
先日の記者会見にてキャッシュマンGMは内野手の放出(契約期間が残り1年のIKF?)を匂わせていましたが、良くも悪くも飛び抜けたウィークポイントがなく予算が限られる現状況において、中堅どころを補強したことろで上がり目は少なく、カルロス・コレアを始めとする大型内野手補強を行わない限り…①”ファースト補強 → ラメイヒューをUTに → プロスペクト1人放出”、②”IKFのDRSを信用せず放出 → ペラザをレギュラー昇格”、③”ファースト補強 → IKFのDRSを信用せず放出 → ペラザをレギュラー昇格”…の上表3パターンが現実的。
”ドナルドソンをサラリーダンプ → IKFを本職のサードにコンバート → 大型ショート獲得”といった意見も目にしましたが、世間が考えるほどサラリーダンプって実現性高くないよと。
どっちみち内野は補強がマストのポジションではないわな。
間違いなくチーム最大のウィークポイントは外野陣。
アーロン・ジャッジという名の巨大戦力が抜け、残るは規定打席到達経験無しのハリソン・ベイダー、故障の連続に加え衰えが顕著なアーロン・ヒックス、本来は内野が本職のオズワルド・カブレラ。
さらに、地蔵と化したジャンカルロ・スタントンの外野起用は期待薄で、控えの選手達もリプレイスメントレベル。
別にペラザやボルピのようなMLB定着目前のトッププロスペクトが控えているわけでもなく、実際に目標値との乖離6.6WARのうち約65%を外野陣が占めています。
ただ、反対に言えば両翼どちらかの補強を行い、期待される成績こそ低いものの両打で使い勝手の良いヒックスを控えに回せば、控えのエステバン・フロリアルをそのままレギュラー級に置換する形になるわけで、短期的にコスパの優れた補強となり得ます。あくまでも短期的に…。
投手陣
POS | 選手名 | 予測値 | 目標値 WAR |
差 | |
IP | WAR | ||||
SP | ゲリット・コール | 188 | 3.9 | 4.9 | -1.0 |
SP | ネスター・コルテス | 160 | 2.9 | 3.7 | -0.8 |
SP | フランキー・モンタス | 159 | 2.0 | 2.9 | -0.9 |
SP | ルイス・セベリーノ | 131 | 2.0 | 1.8 | +0.2 |
SP | ドミンゴ・ハーマン | 126 | 1.0 | 0.8 | +0.2 |
SP | クラーク・シュミット | 105 | 0.7 | ― | +0.7 |
RP | クレイ・ホームズ | 64 | 0.9 | 1.7 | -0.8 |
RP | マイケル・キング | 58 | 0.8 | 1.4 | -0.6 |
RP | ジョナサン・ロアイシガ | 62 | 0.7 | 1.0 | -0.3 |
RP | ワンディ・ペラルタ | 61 | 0.5 | 0.8 | -0.3 |
RP | ルーカス・リットキー | 58 | 0.5 | 0.8 | -0.3 |
RP | ロン・マリナチオ | 59 | 0.3 | 0.6 | -0.3 |
RP | ルー・トリビーノ | 61 | 0.3 | 0.4 | -0.1 |
RP | グレッグ・ワイサート | 55 | 0.0 | 0.2 | -0.2 |
RP | アルバート・アブレイユ | 53 | 0.0 | ― | ― |
合計 | 1346 | 16.5 | 21.0 | -4.5 |
一見心許ない先発ローテに見えますが、実はWAR2.0前後以上が見込まれる先発投手を4人も抱えているチームはヤンキースも含めて5チーム程度しかおらず、平均超のバックエンド(クラーク・シュミット)も確保。
実際に先発ローテの合計予測WARは12.5と目標値14.1から大きな乖離もなく。内野陣と同様に中途半端な補強を行ったところで上がり目が小さなポジションとなっています。
そもそも既にセベリーノ残留という名の補強を行ってるからね。
リリーフ陣
2022年シーズンはリーグ上位の好成績を残したリリーフ陣ですが、後半戦に大きくパフォーマンスを落とした上に、本来ならリリーフエースになり得るスコット・エフロスがトミー・ジョン手術で2023年全休に。
もちろんセベリーノの残留による突き出しでクラーク・シュミットをリリーフ起用することができますが、それでも先発陣と比べて劣っていることは確かです。
というわけで、ある程度のリソースをリリーフ補強に割いてほしいところですが、ロベルト・スアレスの5年4600万ドルを見ると、ここ数年元気がなかったのリリーフ市場も今オフは高騰しそうな予感。
チーム全体の戦力
最後は野手陣と投手陣を合わせたトータルの戦力についてですが、両陣営の予測WARを合計すると23.1+16.5=39.6WAR。
WARにおいては「全選手がリプレイスメントレベルのチーム=シーズン47.6勝(勝率.294)」と設定されているため、理論上ヤンキースのチーム予測成績は87勝・勝率.537(47.6+39.6=87.2≒87)となります。これは2022年シーズンにおいてMLB全体11位・AL6位・AL東地区3位に当たる数字。
つまり、この予測成績をスタート地点として推定4000万ドルの補強予算と選手層MLB平均レベルの傘下プロスペクトを用いて補強を行い、地区優勝ないしポストシーズン出場を目指す必要があるというわけです。
ちなみに、Steamerの予測では85.2勝・勝率.526(同システム内にてMLB全体9位・AL5位・AL東地区3位)となっており、予測勝数に2勝分の違いがあれど順位予測に大きな差はありません。
ちなみに、rWARにおいて野手と投手の比率は59:41。ヤンキースの予測は同比率58:42となっていますから、個々のポジションに穴こそあれど、投打全体のバランスはバッチリかと思います。
ポジション | 予測WAR | 目標WAR | 差分 |
捕手陣 | 2.3 | 2.5 | -0.2 |
内野陣 | 13.6 | 15.5 | -1.9 |
外野陣(+DH) | 7.2 | 12.0 | -4.8 |
先発陣 | 12.5 | 14.1 | -1.6 |
リリーフ陣 | 4.0 | 6.9 | -2.9 |
合計 | 39.6 | 51.0 | -11.4 |
WAR→勝敗換算 = 87勝 75敗(勝率.537) |
補強予想(というより願望)
ここまでに導き出した推定補強予算約4000万ドルとチーム全体戦力を下敷きに、今オフシーズンのヤンキース補強予想を行います。(予想というよりは自分の願望を都合よく書き連ねただけ)
今オフ最大の争点になるであろうアーロン・ジャッジの去就を軸に2パターン実施。
パターン1:ジャッジ残留
まずは、アーロン・ジャッジにオールインするパターン。
ナルシストなので契約額は自らの予想を流用して9年・3億1500万ドル(年平均3500万ドル)と仮定します。
今ムーブにより推定補強予算4000万ドルのうち9割近くを消費することになりますが、2023年予測WARが6.7のジャッジを残留させると共にヒックスを控えに回すだけで、最大のウィークポイントである外野陣が反対に最大のストロングポイントに変貌。
こうなると残りのリソース割くべきポイントはリリーフ陣。また、来シーズンはシフト禁止によってBIPが少ない(奪三振率が高い)ピッチャーのバリューが上がるはずなので、その点に着目してタイガースのジョー・ヒメネス(来季予測年俸250万ドル、予測WAR0.4、保有期間残り1年)とFA市場のトレバー・メイ(予測契約1年200万ドル、予測WAR0.3)をピックアップ。
てかリリーフ補強なんてオプション多過ぎて予想しようがないわ。こんな中途半端な奴らの頭数揃えて意味あるのかも分かんねぇし。
ポジション | 予測WAR | 目標WAR | 差分 |
捕手陣 | 2.3 | 2.5 | -0.2 |
内野陣 | 13.6 | 15.5 | -1.9 |
外野陣(+DH) | 13.2 | 12.0 | +1.2 |
先発陣 | 12.5 | 14.1 | -1.6 |
リリーフ陣 | 4.7 | 6.9 | -2.2 |
合計 | 46.3 | 51.0 | -4.7 |
WAR→勝敗換算 = 94勝 68敗(勝率.580) |
ジャッジとリリーフ陣2人の補強後のチーム予測WARが上記の通り。(補強によるデプス調整はチャンとやってます)
レベルが高いAL東地区において地区優勝を勝ち取れるか微妙ですが、ポストシーズン進出は固い陣容が仕上がりました。
このように短期においてジャッジ残留は有用なオプションでしょう。
しかしながら、長期的視点に立つと話は変わります。
それはジャッジが3億ドルという大金に見合わない選手だからではありません。実際にZiPSの長期予測においては今後9年間に35.5WARを稼ぐとの結果が出ており、これは金銭に換算すると3億ドル前後となります。つまり、客観的に見ればジャッジ×3億ドルの費用対効果は決して悪くありません。
理由はもちろんアイツが2027年までDHに居座る予定だから。
そもそも私は偏見の塊のような人間なので巨体のジャッジが外野手として長続きするとは全く思っていません。巨体の外野手に超大型長期契約を与えればどうなるかは唯一の前例であるアイツが証明していていますし、実際にMLBの歴史上ファースト以外で31歳シーズン以降における通算WARが6.1を超えた選手はたった3人しか存在しません。
もちろんアイツが今後5年間リリースされることなくヤンキースで契約を終える可能性は低いでしょうし、アイツのリリースまでジャッジが外野手としてプレー出来る可能性も十分ですが、やはりジャッジと長期契約を結ぶにあたってDHというリスクヘッジは必要不可欠に感じます。
そもそも今の時代にDHを固定することなど時代遅れで、主力の休養やエマージェンシー用としてフレキシブルに活用するのがトレンド。DHを固定(しかも今後5年間も!)しちゃってる時点で負けですよ。
パターン2:ジャッジ退団
次はアーロン・ジャッジの引き留めに失敗した(or 意図的に行わなかった)パターン。
更に中堅補強に留めるパターンとジャッジの代替として他の大物FAプレーヤーを獲得するパターンに細別化。
パターン2-1:適材適所の中堅補強
まずは先述の通りジャッジ流出により穴となったライト(またはレフト)を埋めなくてはなりません。
今オフは昨オフ程でないにしても例年と比べれば外野市場が豊作。その中でコストパフォーマンスが高そうな外野手を探したところ、①マイケル・コンフォートと②ミッチ・ハニガーが目に留まりました。さらに、トレード市場からはツインズの③マックス・ケプラーとパイレーツの④ブライアン・レイノルズを獲得候補として挙げたいと思います。
吉田正尚も候補になり得る存在ですが、DHかのリスクと昨オフにおける鈴木誠也の高騰っぷりを見せつけられるとチョットね…
①マイケル・コンフォート(予測WAR1.9)
昨オフに代理人のボラスが立ち回りを間違えた結果、高い要求に沿う契約が得られないまま肩を故障し無所属のまま開幕を迎え、8月にはにはアストロズから2年3000万ドルの契約をオファーされるも拒否してシーズン全休となりました。
2年3000万ドル(実質2023年=1年1500万ドル)を拒否したとはいえ、恐らく同じように1500万ドル程度の単年契約となるはずで、セベリーノのオプション行使のようにギャンブルに値する金額かと。
②ミッチ・ハニガー(予測WAR1.7)
実力者ではあるものの耐久性に乏しく、見込まれる契約内容も3年3000万ドル強と控えめ。
被シフト時と通常時の成績差が非常に大きなプレーヤーなのでシフト禁止の恩恵が期待され、少々スぺったところで契約額分の仕事をする可能性は高いと思います。
③マックス・ケプラー(予測WAR2.1)
平均レベルの打撃成績とGG賞級のライト守備を誇り、2023年に850万ドル・2024年にチームオプション1000万ドルとリーズナブルな契約を残す優良株。
ツインズは今オフにバイヤーとなる可能性が高いチームですが、外野に若手が揃う中でケプラーのサラリーダンプを行う可能性は十分。
また、平均レベルの打撃成績と書きましたが、xwOBAはここ4年間ほぼ変わりなく優秀であり、パフォーマンスの中身自体はシーズン36本塁打を記録した2019年のキャリアハイからさほど劣化していない印象。環境が変われば例年以上の数字を期待できるのでは?
④ブライアン・レイノルズ(予測WAR3.2)
兼ねてからヤンキースの補強候補に挙げらている存在で、本職はセンターですが2022年シーズンの拙守を踏まえると、両翼へのコンバートも選択肢の1つかと。
来シーズン年俸は675万ドルと安く保有期間も3年。
ただ、上記の3人と比べると獲得へのハードル(対価)は高く、それならブランドン・ニモの方が現実的かもしれません。
ここまで4つのオプションを挙げましたが、個人的な本命は③マックス・ケプラー獲得。
必要な対価はルール5ドラフト対象前の45FVと40FVのプロスペクト1人づつかなと(取り敢えずウィル・ウォーレン+リチャード・フィッツを想定)。
こうなると次にリソース割くべきポイントはリリーフ陣とファーストかと思い、両ポジションをまとめて補強するに適したトレード相手を探してみたのですが...いました!ダイヤモンドバックスです!
狙うはクリスチャン・ウォーカー(来季予測年俸730万ドル、予測WAR2.6、保有期間残り2年)とジョー・マンティプリー(来季最低年俸、予測WAR0.5、保有期間残り4年)。対価はこちらも45+FVと40FVのプロスペクト1人づつを想定(トレイ・スウィーニー+40FV)。
もちろんファースト補強において最も可能性が高いのは左のアンソニー・リゾー再契約ですが、こういうことなんだよね。
また、このオプションはパターン1のジャッジ残留後にも流用可能です。
(ここに来て気付いたけど、よくよく考えたら足に故障を抱えているラメイヒューをファーストに据えて、必要ならトレードデッドラインで追加補強する形の方がええわ。ファーストなんて補強したら内野ダブつくし。メンドクサイからこのまま推し進めるけど。)
これでラメイヒューがファースト固定から解放されるため、本来ならIKFやトーレス辺りを売り飛ばしたいところですが、これ以上予想するのが面倒なのでアンソニー・ボルピがシーズン中盤に昇格するまで or AAAでコケた場合の繋ぎとして残しておくことにします。記事前半の内容は完全無視。
この時点で予算は残り2500万ドル。使い道は山ほどありますけど、疲れたので手を抜いてカルロス・ロドン獲得にしましょう。予想契約額は5年1億3500万ドル(年平均2700万ドル)、予測WARは4.7です。ここでも記事前半の内容は完全無視。
ポジション | 予測WAR | 目標WAR | 差分 |
捕手陣 | 2.3 | 2.5 | -0.2 |
内野陣 | 14.2 | 15.5 | -1.3 |
外野陣(+DH) | 8.7 | 12.0 | -3.3 |
先発陣 | 15.8 | 14.1 | +1.7 |
リリーフ陣 | 5.3 | 6.9 | -1.6 |
合計 | 46.3 | 51.0 | -4.7 |
WAR→勝敗換算 = 94勝 68敗(勝率.580) |
上記メンバー補強+デプス調整後のチーム予測WARは上記の通り。
ジャッジ残留パターンと来シーズン成績の期待値は全く一緒ですが、投手陣は元々プロスペクト層が薄いところを更に削って主力級の頭数を揃え、野手陣はプロスペクト層が反対に厚いので主力級に長期契約を与えずルーキー勢やプロスペクトとのバッティングを控えたイメージです。
最後に手を抜いて二遊間に手を付けずロドン獲得で帳尻を合わせてしまいましたが、IKFやトーレス、クラーク・シュミット辺りを駒にローテ中盤級の先発投手や勝ちパのリリーバー獲得 or プロスペクト補充を目指すのもいいですね。
パターン2-2:大型内野手獲得
9年前の2013年オフ、ロビンソン・カノーがFAとなった際にヤンキースは何を行いましたか?そうです!ジャコビー・エルベリー獲得です!
というわけで、ジャッジが流出する場合に代替として今FA市場の目玉級プレーヤーを獲得する可能性もあるのでは?と考え、カルロス・コレアを獲得するパターンにも触れておきます。
コレア(予測WAR4.9)の予想契約額は8年2億4000万ドル(年平均3000万ドル)+オプトアウト権としますが、これで残り予算1000万ドルと内野の余剰要員(IKF、トーレス、ペラザ、ボルピ)が生まれます。
まずペラザをトレード要員としてシュミットと40~45FVのプロスペクト1人もセットでパブロ・ロペス(来季予測年俸560万ドル、予測WAR3.0、保有期間残り2年)に再チャレンジ。
さらに、ユーティリティ性が高くリーズナブルであるため引き取り手が容易に見つりそうなIKFを放出し600万ドル強を浮かせ、残り予算は約1000万ドル強。
そして、パターン2-1と同様にマックス・ケプラーを獲得し、パターン1で名を挙げたような中堅リリーバーを補強する形にしましょう。
ポジション | 予測WAR | 目標WAR | 差分 |
捕手陣 | 2.3 | 2.5 | -0.2 |
内野陣 | 14.0 | 15.5 | -1.5 |
外野陣(+DH) | 8.7 | 12.0 | -3.3 |
先発陣 | 14.2 | 14.1 | +0.1 |
リリーフ陣 | 4.8 | 6.9 | -2.1 |
合計 | 44.0 | 51.0 | -7.0 |
WAR→勝敗換算 = 92勝 70敗(勝率.568) |
上記メンバー補強+デプス調整後のチーム予測WARは上記の通り。
予測値が高いIKFを放出したためチーム全体成績こそ思いのほか伸びませんが、個人的にはジャッジ残留よりこちらの方が好み。
と言うのも、先述したようにジャッジ残留で大きな足枷といなっているのはアイツの存在×DH化のリスク。しかし、コレアのような本職ショートのプレーヤーはコンバート時の流用性が高いためDH化のリスクが圧倒的に低く、内野プロスペクトの充実を差し引いてもヤンキースのチーム状況によりマッチしているかと思います。
何にせよ大型契約嫌いだからパターン2-1がいいけど。
最後に
ポストシーズン出場枠が増えたおかげでコンテンダーが増え、選手補強の選択肢(特に特にトレード市場において)が減ったことを改めてヒシヒシと感じた次第。
スタインブレナーとキャッシュマンが馬鹿をやらかさない限り、ポストシーズン進出争いに絡むことは容易でしょうが、地区優勝の本命になり得るかは微妙。
どうせオフシーズン序盤でジャッジの残留を決めてしまって、選択肢の限られたツマラナイ補強が待っているのではないでしょうか。
また、スタントンやドナルドソン、ヒックスのサラリーダンプを求める声も多く目にしますが、先述したようにサラリーダンプは生半可なものではありません。彼らクラスの不良債権のサラリーダンプに成功した例が過去幾つありますか?と。
そもそもサラリーダンプを行うにあたり、それ相応の対価も支払うことになるんだから、成功したところで大したプラスにはならないでしょうよ。
コメント
「爆発力は圧巻で守備が上手く人気があるが、ムラがあり怪我が多い大型の外野手」2人と3億ドル規模の超大型契約を結ぶなんてあまりに馬鹿げてるしリスクなので、ジャッジはさよならで良い気がしますがね。
レジー・ジャクソンとボビー・マーサーを抱えながらもデーブ・ウィンフィールドに特攻したヤンキースを信じろ!!
パブロロペスはトーレスと1.1ならまだしも、トッププロスペクト(ドミンゲス、ペラザ)つけてまで取りに行く選手じゃない気がします…
ロペスとトーレスの市場価値を幾らだと見積もってるかは知らんけど、トレード市場にまともな先発投手なんてコイツぐらいしかいないからね。ペラザの現実的な使い道なんてコイツとレイノルズ以外にあるか?
サラリーダンプが難しいというご意見、その通りだなと思いました。ヤンキースで成功した例はChase Headleyぐらいじゃないでしょうか。
これまでトレードで、どれだけYankeesが得したのか損したのか気になったので、管理人さんが満足した大損こいたと感じたトレードランキングみたいな記事を見てみたいと感じました
当時のHeadleyはWAR2.0弱が見込まれるうえに、1年13Mしか残っていなかったですからね。ファンが考えるほどの不良債権ではなく、サラリーダンプも比較的容易でした。
十中八九のトレードは自分が叩いた場合に結果として成功、自分が褒めちぎった場合に結果として失敗に終わっています。自らの無能さに触れたくないので、トレード振り返りなんて嫌です。
素晴らしい内容。ス○ッガーでうんこみたいな記事書いてるやつは見習ってほしい。
ツイッタラーが記事書いてんだっけ?