昨シーズンのトレードデッドラインにてヤンキースに加入し、シーズン後FAとなるもオフ開始当初から残留を熱望していたアンソニー・リゾーが、2年3200万ドルの契約に合意し残留を決めました。
今シーズンと来シーズン共に年俸は1600万ドル。2024年以降のオプション等はありませんが、リゾーには今シーズン終了後のオプトアウト権が保証されているようです。
Year | Age | Tm | G | PA | H | HR | BB | SO | BA | OBP | SLG | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2018 | 28 | CHC | 153 | 665 | 160 | 25 | 70 | 80 | .283 | .376 | .470 | .846 |
2019 | 29 | CHC | 146 | 613 | 150 | 27 | 71 | 86 | .293 | .405 | .520 | .924 |
2020 | 30 | CHC | 58 | 243 | 45 | 11 | 28 | 38 | .222 | .342 | .414 | .755 |
2021 | 31 | TOT | 141 | 576 | 123 | 22 | 52 | 87 | .248 | .344 | .440 | .783 |
2021 | 31 | CHC | 92 | 376 | 80 | 14 | 36 | 59 | .248 | .346 | .446 | .792 |
2021 | 31 | NYY | 49 | 200 | 43 | 8 | 16 | 28 | .249 | .340 | .428 | .768 |
MLBでも屈指の耐久性と安定感がウリの選手であるはずですが、2020年シーズンから背中の故障に悩まされ続け、ファーストでもトップクラスだった打撃成績は下降。さらに、2021年シーズンは守備においてもキャリアワーストの数字を記録。
結果として最悪のタイミングでFAとなってしまい、契約年数2~3年&年平均1500万ドル程度のミドルクラス契約が見込まれていました。
年度 | wRC+ | OPS | rWAR | fWAR |
2018 | 126 | .846 | 3.1 | 2.9 |
2019 | 140 | .924 | 4.2 | 3.9 |
2020 | 102 | .755 | 1.1 | 1.0 |
2021 | 112 | .783 | 1.7 | 1.6 |
ただ、新労使協定によって今シーズンからNLにDH制度が導入され、さらに来シーズンのシフト禁止ルール導入が有力的となったことで、プルヒッターの一塁手であるリゾーのバリューは自ずと上昇。
そういった中で2年3200万ドルは額面だけであればいたって適正価格、寧ろ安めなはずですが、1年目(今シーズン)終了後のオプトアウト権が含まれていることでヤンキースにとってリスキーな契約に。
先述の通り耐久性と安定感がバツグンのリゾーが極端な低成績を残し不良債権化する可能性は低いものの、2シーズン連続でOPS.700台を残したファーストにこの条件はパット見で過剰に思えます。
年度 | wOBA | xwOBA | BABIP |
2018 | .359 | .367 | .287 |
2019 | .390 | .388 | .306 |
2020 | .326 | .355 | .218 |
2021 | .339 | .347 | .258 |
とは言え、2020~21年シーズンの打撃成績低迷は、StatcastデータやBABIPの値を見る限り不運の影響も多大だったはず。
各成績予測システムでもwRC+120~130、OPS.810~.830程度が見込まれており、ファーストとして平均超の打撃成績を残す可能性は大。
また、2020~21年シーズンにおいて飛距離97.5~114mの引張方向の打球(飛距離320~375フィート、他の球場ではフライアウトやフェン直になるもののヤンキー・スタジアムではスタンドインする可能性が高い打球。)を最も多く放った左打者がリゾー。
先月の記事で「ヤンキースはアナリティクスにより特殊な形状のヤンキー・スタジアムに適した左打者を抽出しているはずだ」と書きましたが、昨シーズンのヤンキース在籍期間が短期間だったため真価を発揮できなかっただけで、リゾーが正しく”ヤンキー・スタジアムに適した左打者”である可能性も十分です。
ちなみに、カブス時代はヤンキー・スタジアムと対照的にライトフィールドが広いリグレー・フィールドを大得意(通算ホームOPS.896、アウェイOPS.805)としていたようですね。
ジョシュ・ドナルドソンとアイザイア・カイナー=ファレファのトレード獲得により、すでに半過剰要員となっていたグレイバー・トーレスとルーク・ボイト。
今回のリゾー獲得によりポジションが完全に被るボイトは開幕までの放出が確実となっただけでなく、総年俸が2億5000万ドル程度まで膨れ上がったため、トーレスの放出やプロスペクトを絡ませたサラリーダンプ(チャップマンやヒックス等)の可能性も。
まあ、そもそもボイトは腐っても2020年シーズンHR王。昨シーズンも故障に苦しみ低成績に終わったとはいえリゾーを上回るxwOBA.360を残しており、500万ドル強というリーズナブルな年俸に加え、前回のトレードによりスぺ体質であるボイト故障時の強力なバックアップ体制が整った中で、わざわざ大金を叩いてリゾーにアップグレードする必要があったのかは疑問です。
ヤンキースの今後の動きについてですが、取り敢えずボイトの放出は既定路線。
さらに、内野のレギュラー陣はドナルドソンを除き耐久性の高い選手が揃っており、グレイバー・トーレスを遊ばせておくのは些か勿体ない。
もちろんカイナー=ファレファをユーティリティとして起用する手もありますが、個人的にはトーレスも今オフ中に売り払ってしまい内野の控え選手枠をオズワルド・ペラザやオズワルド・カブレラなどMLB間近のプロスペクトに確保してほしいところ。
トレースもボイトもそれぞれ引取り手は容易に見つかるはずですが、この2人をセットでトレードするならば、フェルナンデス・タティス Jr.やジェイク・クローネンワースの故障によって内野のデプスに暗雲が立ち込めているだけでなく、DH制導入への補強対応が間に合っていないパドレス相手がベストかと。
Yankees and A’s have been talking, according to sources familiar with the situation. A’s have two of most coveted pitchers on the market in Sean Manaea and Frankie Montas.
— Robert Murray (@ByRobertMurray) March 16, 2022
Yankees are among the teams talking to the A’s about star young pitchers Sean Manaea and Frankie Montas @ByRobertMurray on it
— Jon Heyman (@JonHeyman) March 16, 2022
さらに、ファイヤーセールを行うアスレチックスとのトレード交渉も進んでいるとのことですが、アスレチックスが年俸500万ドル超のトーレスやボイトを必要とするとは考えられず、こちらは「プロスペクト主体のパッケージ ⇔ 先発投手等」のトレードになるでしょうね。
また、上記の2人の放出やチャップマンやヒックス等のサラリーダンプ、ブレット・ガードナーとの再契約は別として主たる補強がひと段落したことにより、ジャッジとの契約延長交渉が本格的に始動するとの予測が。
次のニュースはヤンキースの今後5~10年間を決定づけるようなビッグニュースとなるかもしれません。
チーム年俸表
人数 | 総額(ドル) | |
来季年俸確定 (贅沢税対象分) |
12 | 1億7600万 (1億6600万) |
年俸調停(予想) | 13 | 6450万 |
最低年俸 | ? | 300万 |
マイナーリーガー | ? | 225万 |
年俸合計 | — | 2億4600万 |
その他(福利厚生費) | — | 1600万 |
贅沢税対象 | — | 2億5200万 |
年俸制限 | — | 2億3000万 |
超過額 | — | 2200万 |
アクティブ・ロースター
野手
1:2B:DJ・ラメイヒュー
2:RF:アーロン・ジャッジ
3:3B:ジョシュ・ドナルドソン
4:DH:ジャンカルロ・スタントン
5:1B:アンソニー・リゾー
6:LF:ジョーイ・ギャロ
7:CF:アーロン・ヒックス
8:SS:アイザイア・カイナー=ファレファ
9: C :カイル・ヒガシオカ
ベンチ
C :ベン・ロートベット
1B:ルーク・ボイト
UT:グレイバー・トーレス
OF:ティム・ロカストロ
投手
先発
1:ゲリット・コール
2:ジョーダン・モンゴメリー
3:ジェイムソン・タイロン
4:ドミンゴ・ハーマン
5:ネスター・コルテス Jr.
リリーフ
1:アロルディス・チャップマン
2:ジョナサン・ロアイシガ
3:チャド・グリーン
4:クレイ・ホームズ
5:ルーカス・リットキー
6:ルイス・セベリーノ
7:マイケル・キング
8:ジョエリー・ロドリゲス
40人ロースター
※青字は年保調停対象選手の予想年俸
投手(24人)
選手名 | 今季年俸 (万ドル) |
FA予定 |
ゲリット・コール | 3600 | 2028 |
アロルディス・チャップマン | 1600 | 2022 |
ザック・ブリットン (60日DL入り) |
1400 | 2022 |
ルイス・セベリーノ | 1150 | 2022 |
ジョーダン・モンゴメリー | 480 | 2023 |
ジェイムソン・タイロン | 470 | 2022 |
チャド・グリーン | 410 | 2022 |
ジョエリー・ロドリゲス | 200 | 2022 |
ドミンゴ・ハーマン | 175 | 2024 |
ジョナサン・ロアイシガ | 170 | 2024 |
ワンディ・ペラルタ | 170 | 2023 |
クレイ・ホームズ | 100 | 2024 |
ルーカス・リットキー | 90 | 2024 |
ネスター・コルテス Jr. | Min | 2025 |
マイケル・キング | Min | 2025 |
アルバート・アブレイユ | Min | 2026 |
クレーク・シュミット | Min | 2026 |
デイビー・ガルシア | Min | 2026 |
ルイス・ヒル | Min | - |
スティーブン・ライディングス | - | - |
ロン・マリナチオ | - | - |
JP・シアーズ | - | - |
ルイス・メディーナ | - | - |
ヨエンドリス・ゴメス | - | - |
捕手(2人)
選手名 | 今季年俸 (万ドル) |
FA予定 |
カイル・ヒガシオカ | 125 | 2024 |
ベン・ロートベット | Min | 2027 |
内野手(9人)
選手名 | 今季年俸 (万ドル) |
FA予定 |
ジョシュ・ドナルドソン | 2300 | 2023 |
アンソニー・リゾー | 1600 | 2023 |
DJ・ラメイヒュー | 1500 | 2026 |
グレイバー・トーレス | 590 | 2024 |
ルーク・ボイト | 540 | 2025 |
アイザイア・カイナー=ファレファ | 490 | 2023 |
ミゲル・アンドゥハー | 170 | 2024 |
オズワルド・カブレラ | - | - |
オズワルド・ペラザ | - | - |
外野手(7人)
選手名 | 今季年俸 (万ドル) |
FA予定 |
ジャンカルロ・スタントン | 2900 | 2026 |
アーロン・ジャッジ | 1710 | 2023 |
アーロン・ヒックス | 1080 | 2024 |
ジョーイ・ギャロ | 1020 | 2022 |
ティム・ロカストロ | Min | 2024 |
エステバン・フロリアル | Min | 2026 |
エバーソン・ペレイラ | - | - |
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ボイドが活躍したのか