今週末はMLBのビジネス面に関する小ネタ記事を書いていこうと思います。
昨年のワールドシリーズ期間中、記者会見にてロブ・マンフレッドは「2022年におけるMLB全体のリーグ総収益は110億ドル弱に達するだろうと」と発言しました。
リーグ総収益は2019年に107億ドルを記録したものの、コロナによるシーズン短縮及び無観客開催により2020年はその3分の1まで下落。2021年もシーズン序盤の観客動員制限等が足を引っ張りリーグ総収益が100億ドルを下回るなど依然としてコロナの影響を受けていましたが、3年ぶりに無制限での開催となった2022年は史上最高収益を達成したわけです。
ただ、当ブログの記事で何度も書いているように、日本と異なり貨幣価値が止め処無く変化するアメリカにおいて額面の直接比較するのは御法度。
よって、消費者物価指数を用いて各年度のリーグ総収益を2022年時点の貨幣価値へ換算し(インフレ補正を行い)、その結果を下記のグラフと表にまとめました。
※グラフにういては2020年の標本(総収益約37億ドル、インフレ補正後42億ドル)を便宜上除きました。
年度 | 総収益 (億ドル) |
インフレ補正後 (億ドル) |
1995 | 14 | 27 |
1996 | 18 | 34 |
1997 | 21 | 39 |
1998 | 25 | 45 |
1999 | 28 | 49 |
2000 | 34 | 58 |
2001 | 36 | 60 |
2002 | 37 | 61 |
2003 | 39 | 62 |
2004 | 45 | 70 |
2005 | 50 | 75 |
2006 | 56 | 82 |
2007 | 61 | 87 |
2008 | 65 | 89 |
2009 | 66 | 91 |
2010 | 70 | 94 |
2011 | 70 | 92 |
2012 | 75 | 96 |
2013 | 80 | 101 |
2014 | 90 | 112 |
2015 | 95 | 118 |
2016 | 98 | 120 |
2017 | 100 | 120 |
2018 | 103 | 121 |
2019 | 107 | 123 |
2020 | 37 | 42 |
2021 | 96 | 104 |
2022 | 110 | 110 |
グラフと表を見てもらえば、額面上で史上最高収益を達成した2022年も実質的にはコロナ過前と比べ劣ったパフォーマンスに終わっていて、MLB市場が完全復活を遂げたとは言えないことが分かるでしょう。ただでさえ2022年は新全国放映権契約のスタートやプレーオフ拡大など追い風要素が多かったはずなのに…
また、(2020~2021年を除き)額面上のリーグ総収益は右肩上がりを続けているものの、実際は2015年頃から頭打ち状態。ちなみに、MLBと異なりNFLやNBAの収益増加率はバッチリとインフレ率を上回っています。
もちろん、2022年収益はあくまでもマンフレッドのコメントがソースとなっているため、そもそも信憑性に欠けること、そして(放映権契約を初めとして)収益構造の複雑化が進む現MLBにおいて、過年度との直接比較を行うのが宜しくない事を理解した上で本記事を書いています。
以上で下記過去記事の焼き増しは終了。
コメント
NBAに収益が追いつかれるのも時間の問題ですかね?
2025年からNBAは放映権契約が新契約に切り替わり、放映権ビジネスが不調のMLBを尻目に権料が爆増する予定なので、そのタイミングにMLBを抜き去るのではないでしょうか。
MLBは32球団へエクスパンションしない限り、NBAの成長にはついていけないでしょうね。
NBAにだって32球団エクスパンションやドラフト制度変更でNCAAを喰らう手もありますが…。
なぜ32球団に増えると成長するんですか?
国内新規市場開拓ってことです。