2020年MLBドラフト上位指名候補:高校生投手

10か月後に行われる2020年度MLBドラフトの上位指名候補&注目選手を取り上げていこうかと。

今回はその中でも高校生投手について。

すでに2020年度ドラフトのプロスペクト・ランキングを発表しているベースボールアメリカ(BA)とFangraphsの順位を載せていますが、ベースボールアメリカは大学生と高校生で分けて発表しています。

2020年MLBドラフト上位指名候補:大学生野手

2020年MLBドラフト上位指名候補:大学生投手

2020年MLBドラフト上位指名候補:高校生野手



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ミック・アベル

Mick Abel
18歳:195㎝・82㎏:右投右打:RHP:オレゴン州
予想指名順位:全体1位~5位

各ランキング 順位
BA(高校生) 3
Fangraphs 4

次に紹介するジャレッド・ケリーと並び高校生No.1クラス及び全体1指名候補の一人として評価されている高校生右腕。

今回のU-18ワールドカップにおけるアメリカ代表チームにももちろん選ばれており、まだ本戦での出場経験はありませんがエキシビションマッチでは台湾代表相手に5回3失点(自責点は0)を記録。本戦ではスペイン代表相手に4回2失点の中途半端な投球を披露。

高校の公式戦における成績は57.1回、防御率1.34、90奪三振、33被安打、19四球。

まだまだ成長の余地を残す長身瘦躯の理想的な体格。

右腕及び右肘を一塁側に大きく引っ張り下半身のツッパリと共にテコの原理で球速を生み出すオーバースロー・ファームは故障リスクが低いとは言えませんが、最速97マイル・常時93~95マイルの速球は威力十分。球速だけでなくナチュラルなシンクを見せる辺りも厄介。

速球は本人が意図しているというよりも勝手に変化しているような感じでコマンドに苦労している模様。(そういう意味で””ナチュラルなシンク”と表記)

今後、体重を増やし下半身の完成度が高まれば上半身の負担も減り、コマンドの向上や故障リスクの低下にもつながるはずです。

変化球はスラーブとチェンジアップの2種類。決め球は80マイル台中盤を計測するスラーブでプラスピッチのポテンシャル。90マイル近くを計測するチェンジアップはコマンドこそ悪いものの時折見せる理想的な変化には高いポテンシャルを感じます。

この選手の魅力は何と言っても伸びしろなので、来年春の成長次第では全体1指名候補最有力選手となっても驚きではありませんね。



ジャレッド・ケリー

Jared Kelly
17歳:188㎝・91㎏:右投右打:RHP:テキサス州
予想指名順位:全体1位~5位

各ランキング 順位
BA(高校生) 1
Fangraphs 10

ノーラン・ライアンの出生地であるテキサス州レフュージオのレフュージオ高校に通う高校生最速投手。先ほども述べたようにミック・アベルに並ぶトッププロスペクトです。

U-18のアメリカ代表チームには選ばれていませんが、ショーケースなどでは好成績を残しているようです。

テキサス州名物のガッシリ体形。アベルとは対照的に17歳ながらも体格は完成されており、投球フォームから投じられるフォーシームは最速99マイル・常時95マイル前後を計測。変化に乏しく棒球だと評されていますが高校生の中では最速クラスの球速を誇るプラスピッチです。ただ、試合後半になるとスタミナ不足のためか球速が低下するとのこと。

変化球は80マイル台中盤のスライダーと同じく80マイル台中盤のチェンジアップ。より評価が高いのはチェンジアップでスライダーは平均レベル。

リリースポイントが安定せずコマンドとコントロールは良いと言えませんが、ハマればストライクゾーンに各球種を集めることが出来るようですね。

やはりアベルと比べて大きく劣る点は体格面に成長の余地が少ないこと。高校が完成されている高校生の剛腕投手は外れることが多く最近はドラフトにおいて敬遠されることも多いですが、ケリーには来シーズンに100マイルを計測してドラフトを盛り上げてほしいところです。



ネイト・サビーノ

Nate Savino
17歳:191㎝・88㎏:左投左打:LHP:ヴァージニア州
予想指名順位:全体10位~15位

各ランキング 順位
BA(高校生) 4
Fangraphs 15

高校生No.1左腕。

今シーズンは35イニングで防御率0.60、71奪三振、9与四球、被安打17を記録。

高校1年生時からここまで身長が約20㎝伸びると同時に、最高球速も10マイル上昇。

大きな腕の振りの独特なスリークォーターから投げ込まれるツーシームは最速97マイルを計測。普段は90マイル台前半に落ち着いているようですが、パーフェクト・ゲーム・オール・アメリカン・クラシック(Perfect Game All American Classic:高校生の全米オールスターゲーム)では90マイル台中盤を連発していました。

決め球のスライダーは70マイル台後半と球速に欠けるものの横への変化量はプラスピッチクラス。第2の変化球であるチェンジアップはまだまだであるものの、このスライダーだけでもリリーフとしてなら十分にやっていけるはず。

U-18のアメリカ代表に選ばれていましたが故障により不参加に。



ジャレッド・ジョーンズ

Jared Jones
17歳:188㎝・78㎏:右投右打:RHP/3B:カリフォルニア州
予想指名順位:全体25位~40位

各ランキング 順位
BA(高校生) 18
Fangraphs 22

上の3人と比べるとプロスペクトとしての評価は劣るものの、個人的に好きな選手なので取り上げました。

高校3年間での通算成績は163.1イニング、防御率0.90、227奪三振、72与四球、被打率.153。

ウォーカー・ビューラーを彷彿とさせる体への負担のリスクが高い投球フォームを懸念されているものの、最速99マイル・常時93~95マイルを計測するなどフォーシームの威力は抜群。

80マイル台前半のスラーブ(パワー・カーブ?)はプラスピッチとの評価を受けることもある決め球で投球割合も高。第2の変化球であるチェンジアップは90マイル近くを計測しているようです。

ただし、上述成績の四球の多さからも分かるようにコマンドとコントロールは未熟。加えてフォーシーム投球時とスラーブ投球時の腕の振り&リリースポイントが大きく異なっている点は改善が必要不可欠でしょう。(スラーブ投球時は大きく腕が下がりスリークォーター気味となる)

打者としても評価されている二刀流。

パワーとスピードは平均以上のポテンシャルを秘めており、外野送球では最速100マイルを計測するなどもちろん強肩は高校生トップクラス。