ドリュー・ソープ:ヤンキース・2巡目指名(2022年MLBドラフト)


2022年度MLBドラフトにて全体25位指名権(1巡目)を持つニューヨーク・ヤンキースが指名したヴァンダービルト大学の外野手スペンサー・ジョーンズ(Spencer Jones)について

本日行われた2022年度MLBドラフト初日において2巡目・全体61位指名権を持つニューヨーク・ヤンキースはカルポリー大学の先発右腕ドリュー・ソープ(Drew Thorpe)を指名。


ドリュー・ソープ

Drew Thorpe
21歳9か月(2000年10月生):194cm・86kg
右投先発:カリフォルニア・ポリテクニック州立
大学(3年生)

ドラフト候補生ランキング
メディア 順位
Baseball America 62位
MLB.com 61位
FanGraphs 22位
The Athletic 79位
ESPN 60位
Prospect Live 115位
Mason MacRae 77位

ユタ州の田舎セントジョージ市で生まれ育ち、高校時代は二刀流として活躍する中で7回21奪三振無四球ノーヒッター(味方のエラー1個)も達成。ユタ州屈指のピッチャーと評されオールステートチームの常連だったようですが、所詮は質が低く層も薄いユタ州で上位に入っていただけ。全国的には評価されておらず、2019年ドラフトにおいても指名を受けることはありませんでした。

しかし、NCAA1部の中堅カンファレンス(Big West カンファレンス)に所属するカリフォルニア・ポリテクニック州立大学(通称カルポリー大)の野球部コーチの目に留まり同大学へ進学。

Register Pitching
Year Age Tm Lg Lev ERA G GS IP H HR BB SO WHIP BB9 SO9 SO/W
2020 19 Cal Poly BigW NCAA 3.21 4 4 28.0 27 0 7 31 1.214 2.3 10.0 4.43
2021 20 Cal Poly BigW NCAA 3.79 16 15 90.1 78 4 38 104 1.284 3.8 10.4 2.74
2021 20 Yarmouth-Dennis CCBL Smr 0.90 2 2 10.0 8 1 3 9 1.100 2.7 8.1 3.00
2022 21 Cal Poly BigW NCAA 2.32 15 15 104.2 65 5 25 149 0.860 2.1 12.8 5.96

コロナにより開幕1ヶ月程度でシーズン終了となったものの1年目から先発ローテ入りを果たし、初のフルシーズンとなった2年目にはチームのエースとして君臨。NCAAシーズン終了後に参加したケープコッド・リーグでも好投を披露。

そして、今シーズンは更に数字を伸ばしカンファレンスで断トツNo.1の成績を記録。特に被wOBA.175はカンファレンスだけでなくNCAA1部全体でもトップであり、149奪三振も全体22位指名のクーパー・ジャーピーに次ぐ数字。安定感も素晴らしく5失点以上を喫した登板は皆無で、シーズン初登板以外の全登板において6イニング以上を投げています。

もちろんBig West カンファレンスにて強豪校と対戦することなく残した成績ですから、ジャーピーのように1巡目指名候補となることはありませんでしたが、それでも2~3巡目での指名が期待される存在に。

結果として2巡目・全体61指名権を持つヤンキースが指名を行ったわけですが、1巡目の超リスキーなスペンサー・ジョーンズとは対照的な堅実なるピックとなりましたね。


FB SL CB CH Cmd
40/45 40/45 60/60 55/65
FB/be FB/vel SL/vel CB/vel CH/vel
95~96 89~91 83~84 82~83

ルーカス・ジオリットを彷彿とさせる特徴的なアームアクションのエフォートレスな投球フォームは非常に再現性が高く、一部のエバリュエイターからは”今ドラフトクラス最高のコマンドの持ち主”と称されるピッチャー。

ドラフト後にYouTubeなどで登板映像を確認しましたが確かに各球種のコマンドは見事で、彼以上のコマンドの持ち主はヤンキース傘下いないのでは?

制球力が優秀な代わりに球威は大きく平均を下回っており、ツーシームの平均球速は90マイル前後。80マイル台前半のスイーパーに近いスライダーはフリンジレベルでしたが、昨年の夏から秋にかけて改良が加えられ今では平均レベルの評価を受ける第2の決め球に。

そして、横変化量が大きな決め球のチェンジアップはコマンドと並ぶ彼のベストツールであり、大学球界最高級と称されダブルプラス評価を受けることがあるほど。(個人的にはプラスレベルだと思うけど。)

ちなみに、チェンジアップの空振り率は53%、スライダーの空振り率は58%とのことで、左右関係なく空振りを奪っているようです。

雑感

非常にフロアーが高く良くも悪くも置きに行った堅実な指名。プロ入り後は即戦力としてスピーディーなクラスアップが期待されますが、ここ数年大学生投手の魔改造に何度も成功しているヤンキースの手に掛かれば大化けする可能性も。

1巡目に超リスキーなスペンサー・ジョーンズを指名しているだけに、ソープでリスク分散が行われた印象ですが、この流れは昨年のトレイ・スウィーニーブレンダン・ベック指名とソックリ。

恐らくソープはボーナスロット未満での契約が可能でしょうから、昨年のブロック・セルヴィッジ3巡目指名のようなに明日の3巡目以降でアンダーピックを狙う可能性も

ちなみに、ヤンキースが熱心にスカウトを行っていたとされるタイラー・ロックリアーが直前の全体58位にてマリナーズから指名を受けており、もしヤンキースの指名順位まで残っていればロックリアーの方をピックしていたのではないでしょうか。

映像集