今回の記事では選手個別に取り上げるほどではないものの、各クラスにて好成績を残しているリリーフ投手のプロスペクトたちを取り上げます。
ロン・マリナチオ
26歳/188cm・92㎏/RHP/AA
2017年ドラフト19巡目(全体572位)
2017年にNCAA1部カンファレンスのCAA(コロニアル・アスレチック・アソシエーション)にて最優秀防御率のタイトルを獲得するなど活躍を見せ、同年のドラフト19巡目にてヤンキースが指名。
高校最終学年のシーズン終盤に肘の靭帯を断裂しトミー・ジョン手術を受けていますが、ヤンキース傘下加入後も小さな故障に苦しみ、2018年シーズン及び2019年シーズンは30イニング強の登板に終わっていました。
しかしながら、コロナ休止中にトレーニングを積み球速を上昇させると今季は開幕をAAで迎え、ここまでのイニング数はチームのリリーフ投手の中で最多となっています。
FB | SL | CH | Cmd |
45 | 55 | 40 | 35 |
球速 | 球速 | 球速 | 球速 |
92~93 | 81~83 | 82~84 | ー |
コロナ休止中に平均球速が2~3マイル上昇し現在は最速90マイル台後半、平均93マイル程度を計測。80マイル台前半の変化が大きなスライダーは平均以上のクオリティで、高い空振り率を誇ります。
ただ、左打者に対して使用頻度が高いチェンジアップは時折平均超のナスティーな変化を見せますが一貫性に欠け、コンスタントに球速が遅いだけの棒球となり痛打を浴びることもしばしば。
フォームの再現性が低いために上記の3球種ともコマンドが悪く毎試合のようにコマンドに苦しんでいますが、それでも球自体のクオリティが高いためかヤンキース傘下No.1の空振りストライク率を記録していて、ストライクを奪う能力=コントロールは上々。フォームを安定させコマンドをこれ以上磨くことができれば、AAA以上の階級でも高い三振率を残すことができるはず。
トレバー・レーン
27歳/180cm・83㎏/LHP/AAA
2016年ドラフト10巡目(全体308位)
NCAAの弱小リーグにてリリーフとして活躍し2016年ドラフト10巡目指名でヤンキース傘下入り。プロ入り後は一度も先発を経験することなくリリーフとして安定した成績の残し、1年に1階級のペースで昇級を続け今年とうとうAAA定着を果たしました。
また、今年はオリンピック米国代表の予選大会メンバーにも選出され、その予選ではドミニカ戦で登板(1失点と内容はイマイチ)。また、本大会のメンバーには選ばれず。
FB | SL | Cmd |
40 | 50 | 45 |
球速 | 球速 | ー |
92~93 | 78~80 | ー |
球種は90マイル台前半のフォーシームと80マイル弱のスライダーのみ。フォーシームよりもスライダーの方が優れ、スピンレイトは時に3000rpmを超えることも。(一応チェンジアップを投げることはできますが、試合で使用するこのは稀。)
上記のピッチ自体のクオリティによってではなく腕の振りがバッターから隠れるスリークォーターのピッチングフォームが厄介なおかげで好成績を残していることは明らかで、パッと見は典型的な左キラーに見えますが対左右で投球内容に大差は無し。
AAAで平均以上の好成績を残しているとはいえ、AAAAプレーヤー以上になれるとは思えません。
グレッグ・ワイセルト
26歳/188cm・97㎏/RHP/AAA
2016年ドラフト18巡目(全体548位)
NCAA1部の弱小カンファレンス”アトランティック・10・カンファレンス”にて全体的な投球内容はイマイチだったもののカンファレンス3位の奪三振率を残し、2016年ドラフト下位指名にてヤンキース傘下に加入。
大学時代は先発とリリーフの両方で起用を受けましたが、ヤンキース傘下では1年目からリリーフに専念。制球難に苦しみ抜けた成績の残すことはありませんでしたが、今季はAAで開幕を迎えると快投を続けAAA昇格を果たしています。
FB | SL | CH | Cmd |
45 | 60 | 35 | 40 |
球速 | 球速 | 球速 | 球速 |
93 | 82~83 | 85~86 | ー |
ワイセルトのベストツールはまず間違いなくスライダー。アマチュア時代からこのスライダーを長らく決め球としてきましたが、2019年にMLB最高級のスライダーを投げるチャズ・ローの握りをSNS上で見かけそれを模倣するとクオリティはさらに向上。今ではヤンキース傘下No.1のスライダーと評されることさえあります。
ただ、平均93マイル前後のツーシームは急速に欠けるものの変化量が大きく、第2の変化球のチェンジアップもコンスタントにソリッドな変化を見せますが、コマンドに欠けるためプラスピッチのスライダーとは異なり甘いコースに入ると痛打。
結果としてスライダーの投球割合が過半数を超えるスライダー・ボーラーに。