オフシーズン開始前にヤンキースの現状をおさらい(2018年オフ)
昨年はオフシーズン前に書いたんですけど、今年はメンドーでほったらかしにしてたらでコールと契約合意しちゃいました。ただ、コール入団というヤンキースの将来を大きく左右する超ビッグディールを行ったわけですから、現状のヤンキースの各種選手契約と経営状況をおさらいしておこうかと思います。
40人ロースター
(赤字は来季の26人ロースター候補)
投手
アルバート・アブレイユ
チャンス・アダムス
ザック・ブリットン
ルイス・セッサ
ゲリット・コール
アロルディス・チャップマン
デイビー・ガルシア
ルイス・ジル
ドミンゴ・ヘルマン(DVによる出場停止)
チャド・グリーン
ベン・ヘラー
ジョナサン・ホルダー
トミー・ケインリー
マイケル・キング
ブルックス・クリスク
ジョナサン・ロアイシガ
ルイス・メディーナ
ジョーダン・モンゴメリー
ニック・ネルソン
アダム・オッタビーノ
ジェームズ・パクストン
ルイス・セベリーノ
田中将大
スティーブン・タープリー
ミゲル・ヤホレ
捕手
カイル・ヒガシオカ
ゲーリー・サンチェス
内野手
ミゲル・アンドゥハー
タイロ・エストラーダ
マイク・フォード
DJ・ラメイヒュー
グレイバー・トレース
ジオ・アーシェラ
ルーク・ボイト
タイラー・ウェイド
外野手
エステバン・フロリアル
クリント・フレイジャー
アーロン・ヒックス
アーロン・ジャッジ
ジャンカルロ・スタントン
マイク・トークマン
ブレット・ガードナー
今オフFA選手
ブレット・ガードナー(再契約済)
ディディ・グレゴリウス(PHIに移籍)
アロルディス・チャップマン(再契約済)
デリン・ベタンセス
エドウィン・エンカーナシオン
キャメロン・メイビン
オースティン・ロマイン(DETに移籍)
人数 | 総額(ドル) | |
来季年俸確定 | 11 | 2億750万 |
(贅沢税対象分) | (10) | (1億9100万) |
年俸調停(予想) | 9 | 3400万 |
最低年俸 | 7 | 400万 |
マイナーリーガー | ? | 250万 |
その他(選手年金) | — | 1500万 |
合計 | 2億4550万 | |
(贅沢税対象) | (2億5900万) | |
年俸制限 | 2億800万 | |
超過額 | 5200万 |
(ジャコビー・エルズベリーを含む)
(ブレット・ガードナーを反映)
贅沢税ルールの解説
AAVについて
MLBの年俸制限(贅沢税)の対象となるのは総年俸ではなく各選手のAAV(ボーナスも含め契約総額を契約年数で割った値)の合計+選手年金への掛金(全球団一律の1500万ドル)。これは多額の契約金や出来払い高による年俸制限を防ぐため。
例えば田中将大の来季年俸は2300万ドルですが、AAVは契約総額1億5500万ドル÷契約年数7年=2214万ドルとなります。
もっと極端な例を出すと、契約金3000万ドル+年俸1000万ドル×5年の選手がいれば、AAVは(3000万+1000万×5)÷5年=1800万ドルに、さらに出来払い高はその年のAAVに加算。
贅沢税の計算方法
超過額 | 1年目 | 2年連続 | 3年以上連続 |
2000万ドル以下 | 20% | 30% | 50% |
2000~4000万 | 32% | 42% | 62% |
4000万ドル超 | 62.5% | 75% | 95% |
贅沢税ルールでは年俸制限超過額に一定の倍率をかけた額を支払うわけですが、上表のように現在の贅沢税ルールにおいては、年俸制限の2000万ドル超過するごとに異なる倍率がかけられます。また、贅沢税超過1年目、2年目、3年目以上ごとにその倍率は上昇。加えて、4000万ドル以上の超過となると贅沢税だけでなく、翌年のドラフト指名権最高順位がマイナス10位となるペナルティも追加されます。(例えば全体28位指名権を持っていればそれが全体38位指名権となる。)
計算例)レッドソックス
2017年に年俸制限をクリアしたレッドソックスですが、2018年は年俸制限を4250万ドル超過。よって2018年のレッドソックスの贅沢税は、
2000万ドル× 20%=400万
+2000万ドル× 32%=640万
+ 250万ドル×62.5%=155万
合計=1195万ドル
さらに、2019年は3580万ドル超過したので贅沢税は、
2000万ドル× 30%=600万
+1580万ドル× 42%=665万
合計=1265万ドル
コール獲得により来シーズンのヤンキースの贅沢税対象となる総年俸は年俸調停対象選手の契約予想額も含めて約2億4650万ドル。これは2位のヒューストン・アストロズを2000万ドル以上も上回るMLBトップの数字。(ちなみに2019年シーズンはMLB全体3位となる2億3400万ドル。2019年の年俸制限は2億600万ドルに設定されていたので超過額約2800万ドルの約600万ドルの贅沢税を支払うことに。)
そして2020年の年俸制限は2億800万ドル。この時点で約3850万ドルを超過しており、2年連続での超過となるので贅沢税は約1380万ドルに。
さらに40人ロースターを見ても分かるように、投手陣に関してはコールの獲得によりジョーダン・モンゴメリーやジョナサン・ロアイシガ、マイク・キング、投手No.1プロスペクトであるデイビー・ガルシアなどをリリーフに回すことが可能になったためデリン・ベタンセスの穴を埋めることが容易になったためにこれ以上の補強は必要ないかもしれませんが、野手陣に関してはアーロン・ヒックスのトミー・ジョン手術によりセンターの補強が必要不可欠。
そのためコールの獲得後、ブレット・ガードナーとの再契約が””間近”だと盛んに報道されていて、1000万ドル近い年俸での契約はほぼ確定的。加えてオースティン・ロマインもFAとなっており代わりの控え候補であるカイル・ヒガシオカはケガが多くバッティングにムラがあるため、堅実なベテランをもう一人雇っておきたいところ。つまり現時点では年俸制限超過額はほぼ間違いなく4000万ドルを超え、贅沢税増加だけでなくドラフト指名順位後退のリスクも侵さなければなりません。
そのため噂されているのがミゲル・アンドゥハーやクリント・フレイジャー、その他プロスペクトとの抱き合わせによるJA・ハップの放出。ハップはAAVが1700万ドルなので放出に成功すればシーズン途中の補強資金にも余裕が生まれることでしょう。(それでも現実的に見てデリン・ベタンセスとの再契約やディディ・グレゴリウスの後釜獲得は厳しいですが。)
さらに、2021年以降に目を向けると来シーズン終了後に田中将大の2300万ドル(贅沢税対象分:2214万ドル)、ジャコビー・エルズベリーの2114万ドル(贅沢税対象分:2186万ドル)、JA・ハップの1700万ドルなどの高年俸選手がFAとなり合計6000万ドルが浮く予定。ただ、主力のDJライメイヒューとジェームズ・パクストンも併せてFAとなるだけでなくグレイバー・トーレス、ミゲル・アンドゥハー、ルーク・ボイト、ドミンゴ・ヘルマンが年俸調停対象に。また、今オフから年俸調停対象となるアーロン・ジャッジ(予想額:2019年・600万→1300万)とゲーリー・サンチェス(500万→900万)の年俸上昇にも備える必要が。
つまり2014年オフなどに結んだ大型契約の終了とアーロン・ジャッジを始めとする若手選手の年俸上昇が重ねるというわけで、田中やエルズベリーの代わりに大物選手を獲得する余裕が生まれるというわけではありません。
【追記】
本記事の執筆中にガードナーとの再契約(1年1250万ドル)が決定してしまいました。
これによりヤンキースの来季推定総年俸(贅沢税対象分)は約2億5900万となり、年俸制限を5200万ドルも超過している状態に。(現時点での贅沢税は2340万ドル!+ドラフト指名順位後退)
JA・ハップの放出に成功しても超過額は3500万ドルですから、その他の控え捕手や内野手の整備・シーズン中の適材適所の補強の必要性も考えれば4000万ドルラインを超えてしまうことはまず間違いなし。
↓次のページはヤンキースの経営状況について
コメント
2009年以降のAロッドの衰えやスキャンダル+若手の伸び悩みなどのチーム低迷が観客動員数に響いた感じですね。昔から思った事でボストン、ドジャース、セントルイスと比べるとヤンキースのドラフト下手は改善して欲しいですね。2000年代に入って、ガードナーとジャッジの2人位しかチームの主力になってないのは如何なものかと(ヒューズ、チェンバレン、ケネディの育成失敗は痛かった)コールに関してはサバシアみたいに最初の5年位活躍してくれればと思ってます。只、バーネットみたいにはなってほしくない(金額が金額なので)
ロバートソンとベタンセスを忘れていました。ケネディはダイヤモンバックスで最多勝を取り、マランソンもセーブ王になったりしてますので、決してドラフト下手という事ではないと思いますが、若手の育成力には問題があると思います。バードも育成に失敗しましたし…左の強打者がいないですが、フォードは使えばマットカーペンターみたいな打撃成績を残せると思いますし、ショートも打撃は無視してホルダーを抜擢すれば良いと思いますが、どう思いますか?
いや普通にドラフトは下手だと思いますよ
ウェイド、ジャッジ、ガードナー、
フォードの1~4番打線難しいですか?
ボイトよりフォードの方が見ていて
楽しいしフォロースイングが決まって
います。
どうせスタントンが怪我するので、ボイト&フォードの同時起用が可能になりますよ。