2019年MLBドラフト注目選手:その1(ラッチマン、ヴォーン、ウィット Jr.)

今年のMLBドラフトは約1か月後の6月3日~6月5日に行われます。というわけで今年もドラフト上位指名が予想される選手を取り上げていこうかと。

各サイトの2019年MLBドラフト・プロスペクトランキング



アドリー・ラッチマン

Adley Rutschman
21歳:188㎝・98㎏:右投両打:C:オレゴン大学
予想指名順位:全体1位(ほぼ間違いなし)

各ランキング 順位
ベースボールアメリカ 1
MLB.com 1
Fangraphs 1

今年度のドラフトにおいて頭一つ飛び抜けた存在であり全体1位指名(オリオールズ)はほぼ間違いなし。MLBドラフトにおいてこれほどのキャッチャーは2007年に全体5位指名を受けたマット・ウィータース以来でしょう。

大学1年次は野球とアメフトの両方でプレーし野球での成績は散々でしたが、2018年に打率.408、OPS1.133を記録した上にカレッジ・ワールドシリーズでは30打数17安打(同シリーズ新記録)と大活躍を見せ文句なしでMVPを受賞。昨年の時点でジョーイ・バート(2018年全体2位)に次ぐ大学No.2のキャッチャーと目されていました。

そして、今シーズンはさらに成績を向上させ打率.422、OPS1.374、51四球・26三振を記録。ドラフトNo.1プロスペクトの地位を確立しています。

バットコントロール、選球眼、パワーの全てを高く評価されており、両打ですがどちらの打席でも同じように強打を発揮。内外角どちらも器用に捌きフィールド全体に打ち分けるスキルは圧巻。

昨シーズンはパワー面の成長に疑問符が付けられていましたが、今シーズンは開幕からホームランを連発し評価を覆しています。

また、昨年のアメリカ大学代表チームとしてプレーしたときには打率、出塁率、長打率の全てでチームトップの数字を残し、日米大学野球でも先発出場した4試合で6安打を記録。

もちろんキャッチャーなので鈍足ですが、打撃力と同じように守備力の評価も大学トップクラス。ブロッキング、高校時代に投手として94マイルを計測した強肩、(上の動画でも分かるように)優れたフレーミング、強豪チームのオレゴン大学や代表チームで正捕手としてプレーした経験の全てを兼ね備え、今シーズン開幕前にはベースボールアメリカから大学におけるベスト・ディフェンシブ・キャッチャーに選出されていました。

このように大学トップクラスの打撃力と守備力を有するキャッチャーですが、唯一の不安要素は2017年のケープコッド・リーグ(木製バットを使用する夏季大学リーグ)で散々な結果だったこと。2017年の夏はまだ覚醒前だったとも考えられますが、やはり木製バットへの適応力が疑問符されています。

まあ、それでも全体1位指名は大怪我でもしない限り間違いないでしょう。ちなみに、ドラフト指名後はMLBプロスペクトランキングでも全体15位前後にランクインするだろうと言われています。



アンドリュー・ヴォーン

Andrew Vaughn
21歳:180㎝・97㎏:右投右打:1B:カリフォルニア大学
予想指名順位:2位~4位

各ランキング 順位
ベースボールアメリカ 3
MLB.com 3
Fangraphs 2

2017年にフレッシュマン最優秀選手(フレッシュマンとは大学1年生のことで実質的には大学新人王)に選ばれると、2018年には打率.402、OPS1.350、23本塁打(Pac-12のプログラムタイ記録)を残し大学2年生ながらもゴールデンスパイク賞(アマチュア最優秀選手賞)を受賞。上記のラッチマンを抑え大学No.1バッターと言われています。

【ちなみに、ゴールデンスパイク賞を大学2年生以下が受賞するのは2010年のブライス・ハーパー以来。そのブライス・ハーパーは高校2年生(日本では高校1年生に相当)から飛び級で短期大学に進学し若干17歳でゴールデンスパイク賞を受賞。】

大きなレッグキックと完成されたスイングからプラスのバットコントロールとスイングスピードを誇り、身長こそ低いものの全てに秀てたオールアラウンドなバッター。基本的には速球を得意としていますが選球眼が良いためボール球の変化球には手を出さないとのこと。(反対にスライダーやカーブには脆さを見せるそう。)2018年の大ブレイクも好球好打をより意識するようにアプローチを変えたことが理由の1つだと本人やコーチも語っています。

今シーズンは開幕から絶好調で2試合連続マルチHRを記録するなど昨シーズンを超える成績も期待されましたが、1ヶ月ほど前から三振が大幅増加するなど打撃成績が下降気味なのは気になるところ。シーズンが進むにつれて対戦相手のレベルが上がるためOPSなどが下落していくのは仕方がないことですが、昨シーズンはここまで三振が増えることはありませんでした。

また、ラッチマンとは反対にケープコッド・リーグでは好成績を残しており、2018年には14試合で5本塁打を放ちました。

投手として最速92マイルを計測した肩は平均以上。守備では高校時代はショート、1年生の秋にはサードを守っていましたが最終的にファーストへコンバート。鈍足のためポジションはすでにファーストだけに限定されていますが、ファーストの守備力は平均以上の評価を受けています。

当然ファーストしかポジションの選択肢が無いのはMLBドラフトの歴史を見ても大きなマイナスポイント。最後に純粋な大学生一塁手が全体10位内で指名されたのは2008年のヨンダー・アロンゾ(全体7位)。高校生でも2008年以降ではエリック・ホズマー(全体3位)とペイビン・スミス(全体7位)しかいません。また、全体5位以内で指名を受けたのも1996年のトラビス・リー(全体2位、全体1位はクリス・ベンソン)が最後。ヴォーンは全体2位か3位での指名が有力視されていますが場合によっては・・・。



ボビー・ウィット Jr.

Bobby Witt Jr.
19歳:185㎝・82㎏:右投右打:SS:コリービル・ヘリテイジ高
予想指名順位:2位~5位

各ランキング 順位
ベースボールアメリカ 2
MLB.com 2
Fangraphs 3

MLB.comの2019年MLBドラフト高校生プロスペクトTop10:2018年8月発表

上記の記事でも軽く取り上げましたが、全高校生でNo.1の評価を受けているのがこのウィット。剛腕投手として16シーズンMLBでプレーしたボビー・ウィットの息子であり中学生時代から高い評価を受け続けてきた稀有な高校生プロスペクトで、パーフェクトゲームの2018年度MVPだけでなく昨年のU-18アメリカ代表チームではチームの柱としてチームMVPも受賞。MLBオールスターゲームの余興の1つである高校生HRダービーでは約70秒で8本塁打(金属バットを使用)を放ち優勝するなど全国&インターナショナルクラスで活躍しています。

1年ほど前までは全体1位指名の最有力候補でしたが、後に記す大きな弱点により評価が少し下落。

また、今シーズンの高校野球ではここまで31試合・打率.510・OPS1.704・13本塁打・9三振・19四球を記録。

血統からも身体能力の高さは折り紙付き。スイングスピード&パワーは全米の高校生打者の中でもトップクラスであり打球初速度はコンスタントに100マイル以上を計測。芯でボールを捉え長打にする技術も高く評価されており、高校生ながら木製バットでも長打力を発揮しています。

しかし、昨年から空振りが多くバットコントロールに大きな疑問符が付けられており、とりわけ左わきが大きく開くバッティングフォームが懸念されている現況。さらにアグレッシブな早打ちで選球眼にも不安が。

バットコントロールに問題のある高校生打者がこれほど上位の評価を受けることは滅多にありませんが・・・。

投手として最速93マイルを計測している強肩(内野送球では92マイルを計測)と60ヤードダッシュでプラスの6.40秒を記録した俊足を持ち合わせ、ショート守備の評価は高校生の中でもトップクラス。MaxPreps.comによると31試合でエラーはたった1個。守備率は驚異の.988を記録しているよう。

プロ入り後も純粋なショートストップとしてプレーできると予想されており、バットコントロール以外の全てで秀でた4ツールプレーヤーだと言われています。また、父親が元MLBプレーヤーということで恵まれた環境で育ったおかげか学力も高くGPAは3.90。野球IQの心配もなさそう。

ただ、バットコントロール&選球眼だけでなく早生まれですでに19歳であることもマイナスポイント。

今年の全体2位指名権を持つロイヤルズは昨年のドラフトで指名した上位11人が全員大学生だっため今年も大学生のアンドリュー・ヴォーンを指名するのではないかと予想されてきましたが、最近になってロイヤルズはボビー・ウィット Jr.を指名するとの噂が。

バットコントロールに問題のある高校生野手は事前の予想よりも低い順位まで残ることが多々ありますけどね。