2019年MLBドラフト注目選手:その6(ラトリッジ、ラングリアーズ、マイズナー)


ここまでで取り上げたプロスペクト

2019年MLBドラフト注目選手:その1(ラッチマン、ヴォーン、ウィット Jr.)

2019年MLBドラフト注目選手:その2(エイブラムス、グリーン、キャロル)

2019年MLBドラフト注目選手:その3(ビショップ、ブレデイ、ロドロ)

2019年MLBドラフト注目選手:その4(ストット、マノア、マローン)

2019年MLBドラフト注目選手:その5(アラン、ユング、トンンプソン)

その1
アドリー・ラッチマン
アンドリュー・ヴォーン
ボビー・ウィットJr.

その2
C.J・エイブラムス
ライリー・グリーン
コービン・キャロル

その3
ハンター・ビショップ
JJ・ブレデイ
ニック・ロドロ

その4
ブライソン・ストット
アレック・マノア
ブレナン・マローン

その5
マシュー・アラン
ジョシュ・ユング
ザック・トンプソン


各サイトの2019年MLBドラフト・プロスペクトランキング




ジャクソン・ラトリッジ

Jackson Rutledge
20歳:203㎝・118㎏:右投右打:RHP:サン・ジャッキント短大
予想指名順位:12位~20位

各ランキング 順位
ベースボールアメリカ 14
MLB.com 13
Fangraphs 22

21世紀における短期大学所属投手のドラフト最高順位指名記録更新が期待される剛腕。(21世紀における短期大学所属投手のドラフト最高順位指名記録は2015年フィル・ビックフォードの全体18位指名《ジャイアンツが指名》。)

高校時代から評価されていた投手でベースボールアメリカによる2017年のMLBドラフトプロスペクトランキングでは183位にランクイン。5巡目前後での指名も狙えましたが大学進学の意志が強くドラフトでは指名を受けずにアーカンソー大学へ進学。

2018年は新入生としてリリーフを中心に起用されましたが四球が多く全体的な投球内容は✖。股関節唇の断裂によりレギュラーシーズンを1ヶ月残しシーズン終了。プレーオフでのプレーも叶わず。

夏に怪我から復帰すると野球トレーニング専門プログラム(Premier Pitching Performance)において最近流行りのRapsodo(ラプソード)を使った最新式の練習を行いピッチングに大きな修正を加え、アーカンソー大学から現在所属するテキサスのサン・ジャッキント短大へ転校。

そして今シーズンは短期大学リーグ(NJCAA)において12先発・77.2回で防御率0.93・奪三振率14.3(123奪三振)、四球率3.2(28四球)・被本塁打1本・被打率.148・WHIP0.86という圧倒的な成績を残し、短期大学生投手としてはアメリカ野球史に残るクラスの評価を受けています。

アーカンソー大学のような通常の4年制大学の選手は3年生の終盤(6月)にドラフト指名を受けることになりますが、サン・ジャッキント短大のような2年生の短期大学の選手は2年生(最終学年)の終盤、つまり通常の4年制大学の選手より1年早くドラフト指名を受けます。

アレック・マノアと並ぶ今ドラフト上位指名候補最大クラスの巨漢と超が付くほどのショートアームから投じられるフォーシームは最速99~101マイル・平均95マイル前後を計測するプラスピッチ。恐らく今ドラフトクラスの中では高校生のダニエル・エスピーノ(その7で紹介予定)と並ぶ最速の投手。高校最終学年時(2年前)は90マイル台前半程度だったそうなのでこの2年間で5~8マイル程度高速化したわけですね。

昨年夏のトレーニング前は上記のフォーシームとスラーブ、チェンジアップを投げていましたが、Rapsodoを用いて変化球の回転&変化についての見識を大きく深めるとスラーブをスライダーとカーブの二つに分割。変化球を2種類から3種類に増やしました。

中でも最も高い評価を受けているのは80マイル台後半のプラスピッチの高速スライダー。カーブは80マイル前後を計測し平均以上のポテンシャルを秘めますが、チェンジアップはあまり試合で使っておらずイマイチな模様。

弱点はコマンド&コントロール。昨シーズンはアーカンソー大学において15.2回で11四球を喫するなど制球難に苦しんでおり、好成績を残している今シーズンも四球率は3.2といい数字とは言えません。

また、過去の股関節の怪我に巨漢であることによるコンディションへの将来的な不安、そして剛速球投手にもかかわらずショートアームであることから故障面・耐久性に疑問符が付けられています。


シェイ・ラングリアーズ

Shea Langeliers
21歳:183㎝・86㎏:右投右打:C:ベイラー大
予想指名順位:8位~20位

各ランキング 順位
ベースボールアメリカ 9
MLB.com 11
Fangraphs 17

2016年MLBドラフトにおいて34巡目でブルージェイズから指名を受けるもベイラー大に進学。1年目から(ケープコッド・リーグも含めて)好成績を残しこの時点で将来の1巡目指名候補と目されていました。

しかし、2年目(2018年)はキャッチャー守備で圧倒的なパフォーマンスを見せNCAAのゴールドグラブ賞も受賞したものの、バッティングでは大スランプに陥りイマイチな成績(58試合・打率.252・OPS.847・35四球・44三振)を残しました。(ラングリアーズに率いられたベイラー大学はカンファレンス優勝。)ただ、夏に大学野球のアメリカ代表に選ばれると(アドリー・ラッチマンの存在により出場機会は限られたものの)8試合で打率.346・長打率.500の好成績を記録。

今シーズンの開幕前(1月ごろ)には昨シーズンの不振にもかかわらずベースボールアメリカのドラフト候補生プロスペクトランキングで第6位、MLB.comのランキングで第4位にランクインするなどアドリー・ラッチマンに次ぐ全米第2の捕手&全体10位内指名候補と目されていました。

今シーズンは開幕3試合目で左手の有鉤骨を骨折し約3週間離脱(3週間という復帰は通常よりも早めで恐らく復帰後は完治していないままプレー)。復帰後も調子は戻らず低成績が続いていましたが4月に入り大きく好転。4月は15試合中9試合でマルチヒットを記録し5本塁打を放っています。

大学のレギュラーシーズンにおける成績にもかかわらずバッティングの評価は高く、キャッチャーながらもバットコントロールとパワーをバランスよく兼ね備えた欠点の少ない打者に成長すると期待されています。全体的にはプルヒッターとのこと。

上の動画でも分かるように実際にバッティングフォームも無駄な動きが少なくシンプルで穴が少なそうですね。木製バットでパワーを発揮していたことも好印象。

多くのメディアやスカウトから(ラッチマンを抑え)今ドラフトにおけるNo.1ディフェンシブ・キャッチャーと評されており、将来のMLBゴールドグラブ賞候補と評する人も。

MLB.comから70評価(ラッチマンは60.Fangraphsではラングリアーズは60評価でラッチマンは65)を受けるほどの強肩と正確な送球力の持ち主。今シーズンの盗塁阻止率は52.3%ですが、昨シーズンは68.8%という驚異的な数字を残しています。また、今シーズンの4月中は1度も盗塁を許していません(盗塁阻止は3回)。二塁送球タイムについては練習においては1.7秒台、試合中では1.8秒台を計測しているとのこと。

もちろん送球だけでなくリード、ブロッキング、フットワーク、ハンドワークも満遍なく高評価を受けていて、キャッチャーのわりには足も遅くはないようです。


カメロン・マイズナー

Kameron Misner
21歳:193㎝・97㎏:左投左打:C:ミズーリ大
予想指名順位:18位~25位

各ランキング 順位
ベースボールアメリカ 21
MLB.com 19
Fangraphs 27

高校時代はミズーリ州の高校生外野手で最も高い評価を受け2016年MLBドラフトの33巡目でロイヤルズの指名を受けたものの地元の強豪ミズーリ大学に進学。

1年目から活躍を見せ夏季リーグでは木製バットでも好パフォーマンスを披露。2年目になると34試合で打率.360・OPS1.073・4本塁打・32四球(26三振)・13盗塁を記録し全米トップクラスの外野手へと成長しました。ただ、4月の中旬に自打球により右足を骨折。シーズン最後の6週間を逃しています。

一時期はベースボールアメリカのドラフト候補生プロスペクトランキングで第6位にランクインするなど大学生野手として(その3で紹介した)ハンター・ビショップやJJ・ブレデイ以上の評価を受けていましたが、今シーズンは47試合で打率.298・OPS.986・10本塁打・50四球(48三振)・17盗塁と昨シーズンから成績を落とし評価も下落しています。

恵まれた体格と身体能力から圧倒的な腰の回転速度とバットスピードを誇り、生粋のパワーだけならここまで紹介してきたドラフト候補生の中でもNo.1。バレルで捉えることが出来れば火を噴くようなスピードで打球が放たれます。

しかし、ジョーイ・ギャロを彷彿とさせるバッティングフォームの持ち主でスイングに柔軟性が無くバットコントロールはイマイチ。とりわけ今シーズンは三振が増え打率が低迷していることはドラフト候補生として大きく懸念されるところ。さらにバットの軌道はフラット(というかもしろダウン気味)でラインドライブが多く、スイングスピードのわりに長打が少ないのもこれが理由の一つ。

ただ、三振は多いものの四球も多く選球眼の評価は悪くありません。

スピードと肩の強さは平均以上の評価を受けており、1年目はレフト、2年目はセンターとファースト、そして今年はセンターでプレー。プロレベルでもセンターに留まることは厳しいかもしれませんが、ライトを平均以上に守ることが出来るだろうと予想されています。

加えて、今シーズンは17盗塁を決め盗塁死はたった1回。ホームランを放つスキルさえ身に着ければプロレベルでも(打率は低いとしても)30本塁打&20盗塁程度を期待できるかも。