ヤンキースの2022年MLBドラフト1巡目指名候補:その2

2022年のMLBドラフトにおけるヤンキースの指名候補を取り上げます。

気付けばアンドゥハーが5番を打っていました。もう終わりですね。



スターリン・トンプソン

Sterlin Thompson:2001年6月:193㎝・83㎏
右投左打:ライト/セカンド:フロリダ大

メディア 順位
Baseball America 52位
MLB.com 36位
Prospect Live 30位
ESPN 27位
The Athletic 10位

高校最終年度に急激な成長を見せ6~7巡目程度の評価を受けていましたが、2020年ドラフトが5巡目まで短縮されてしまったことで指名を受けることはなく地元の強豪フロリダ大学に進学。

2021年シーズンから早速フレッシュマン・オール=カンファレス・チームに選ばれるほどの活躍を見せ、夏場のサマーリーグでもリーグ1・2位を争う好成績を記録。

そして、今シーズンは大学2年目にして大ブレイクを果たし評価も急上昇。アーリーエントリーの権利を有していますが、今ドラフトでのプロ入りは間違いありません。

Register Batting
Year Age Tm G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2021 20 Florida 55 212 55 5 2 21 45 .301 .396 .470 .866
2022 21 Florida 55 255 75 10 8 33 37 .357 .451 .576 1.027
Coll Coll Coll 110 467 130 15 10 54 82 .331 .426 .527 .953

2年生と言うこともあり完成度よりポテンシャルの高さを評価されているハイシーリングなバッター。

相当なファストボール・ヒッターのようですが、持ち前のパワーを試合では十分発揮できていないとのことで、今年はシーズンが進むに連れて打撃フォームを大きく変更中。体格面にも未だ成長の余地を残しており、打撃フォームと体格が完成すれば...。

走塁は平気未満、送球は平均超と評されており、今シーズンはライトに加えセカンドでもプレーしていますが、プロ入り後にライトで落ち着く可能性が高いと思われます。


ブレイド・ティドウェル

Blade Tidwell:2001年6月:193㎝・93㎏
右投先発:テネシー大

メディア 順位
Baseball America
MLB.com 46位
Prospect Live 25位
ESPN 46位
The Athletic 32位

高校時代に最速97マイルを計測しポテンシャルを高く評価されていた素材型。

地元の全米最強テネシー大学に進学すると1年目から先発ローテの一員として活躍しチームトップの防御率を記録。さらに、オフシーズンも球速上昇を見せ、シーズン開幕前にはアーリーエントリーとして参加する2022年クラスの1巡目指名有力候補と見なされるようになりました。

しかしながら、肩の故障により開幕から欠場となり復帰は3月の最終戦。復帰後は期待以上のハイクオリティな投球を見せ再び評価は上昇を続けていますが、球数制限により5イニング以上投げた試合はここまで無し。

故障と制限さえなければ全体10位以内で指名を受けても驚きではありませんが、テネシー大学の今後のトリートメントによって指名順位は変動しそう。

Register Pitching
Year Age Tm ERA G GS IP H HR BB SO WHIP BB9 SO9 SO/W
2021 20 Tennessee 3.74 18 18 98.2 84 12 34 90 1.196 3.1 8.2 2.65
2022 21 Tennessee 2.63 10 6 24.0 18 2 8 38 1.083 3.0 14.3 4.75
All All All 3.52 28 24 122.2 102 14 42 128 1.174 3.1 9.4 3.05

最速99マイル・常時95マイル以上のフォーシームは回転軸の傾きが小さくホップのあるプラスピッチ。80マイル台前半のスライダーもプラスと評され、チェンジアップも急速に欠けるものの変化量が大きな平均超のピッチ。

カーブとコマンドが未熟ではあるものの、先発投手として理想的な上記3ピッチを兼ね備えており、アームアクションも打者から見にくく再現性も👍

(はっきり言って、再び故障でもしない限りヤンキースの指名順位まで残っていないでしょうな。)


ジャド・フェビアン

Jud Fabian:2000年9月:188㎝・86㎏
右投右打:センター:フロリダ大

メディア 順位
Baseball America 34位
MLB.com 29位
Prospect Live 82位
ESPN 20位
The Athletic 39位

全米屈指の高校生外野手として飛び級で地元の強豪フロリダ大学に入学。1年目の低成績、2年目のシーズン短縮後も変わらず評価は高く、アーリーエントリー制度のおかげで指名対象となった2021年ドラフトにおいては、シーズン開幕前に全体1ケタ順位指名も期待されるほど。

しかし、三振を連発するなど上位指名候補としては余りにも未熟なアプローチを披露し評価が急落。レッドソックスの2巡目(全体40位)指名では満足することなく大学残留を決めました。

そして、改めて全体1ケタ順位指名候補として迎えた今シーズンは成績こそ上昇したもののスカウトを唸らせるほどの数字ではなく、またもや2巡目にスリップしそうな雰囲気。

Register Batting
Year Age Tm G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2019 18 Florida 56 207 39 7 7 28 45 .232 .353 .411 .764
2020 19 Florida 17 81 20 5 2 13 18 .294 .407 .603 1.010
2021 20 Florida 59 269 56 20 6 40 79 .249 .364 .560 .924
2022 21 Florida 58 273 51 21 9 56 60 .246 .415 .609 1.024
Coll Coll Coll 190 830 166 53 24 137 202 .249 .383 .542 .925

NCAAで打率.250未満は危険水準であり、今シーズン改善を見せたとは言ってもコンタクト率や三振率も△。

ただ、2シーズン連続で20本塁打をクリアするなどパワーはプラスツールで、選球眼指標や打球のクオリティも◎。木製バット使用のサマーリーグでも好成績を残しています。

また、センター守備は上位指名候補最高級と評されるほどで走塁も平均超とのこと。

ヤンキースが素材型野手を好むとは思えませんが、上記のような経緯もありボーナスプール未満で契約に漕ぎ着けられる可能性が高く、他巡目でのオーバースロットを見越して指名するべき選手かもしれませんね。


クーパー・ジャーピー

Cooper Hjerpe:2001年3月:191㎝・91㎏
左投先発:オレゴン州立大

メディア 順位
Baseball America 48位
MLB.com 34位
Prospect Live 25位
ESPN 20位
The Athletic 62位

ダスティン・ペドロイアを輩出したカリフォルニア州ウッドランド高校にて最終年度に10登板・44回・防御率1.43・13被安打・105奪三振・20与四球を残し、Perfect Gameの全米高校生ランキングにおいてジャスト500位にランクイン。

オレゴン州立大では2年目の昨年から先発ローテに加わると、シーズン中盤までは快投を見せたにもかかわらずシーズン終盤に大きくパフォーマンスを落とし中途半端な成績に。

ただ、今シーズンは一貫として支配的なピッチングを披露しており、パックー12・カンファレンス投手三冠王に輝く可能性も。

上記のランキングでは順位が分かれていますが、もちろん現在も評価上昇中であり、ドラフト時には1巡目指名が有力視されていることでしょう。

Register Pitching
Year Tm ERA G GS IP H HR BB SO WHIP BB9 SO9 SO/W
2020 Oregon State 5.25 6 0 12.0 7 0 7 16 1.167 5.3 12.0 2.29
2021 Oregon State 4.21 17 16 77.0 63 6 27 98 1.169 3.2 11.5 3.63
2022 Oregon State 2.33 15 15 89.0 62 3 18 140 0.899 1.8 14.2 7.78
All All 3.34 38 31 178.0 132 9 52 254 1.034 2.6 12.8 4.88

サイドスローに近いスリークォータースロットの独特な投球フォームはクリス・セールジョシュ・ヘイダーと比較されていますが、アームアクションはヘイダーのようにクリーンではなく、どちらかと言えばセールに似たリスキーなフォーム。今後、故障リスクへの懸念が一生付いて回るでしょうが、打者にとっては厄介極まりないことでしょう。

フォーシームは常時90~92マイル・2200rpm程度と大したことないものの、投球フォームのおかげで体感速度は数マイル上のはず。

昨シーズンまで長年決め球であった80~82マイル・2200rpmのチェンジアップは空振り率が高いだけでなく、シンカーのような動きを見せゴロを誘発することもできるバリューピッチ。

さらに、今シーズンは第2の変化球であったスライダーの改善に成功。平均77~79マイル・2600rpmの同球は球速に欠けるもの横方向に大きな変化を見せており、チェンジアップ以上のプラスピッチと評されています。

また、再現性が低そうな投球フォームにかかわらずコマンドも優秀であり、上記の3球種を理想的なコースにコンスタントに投げ込むだけでなく、一貫した攻めのピッチングスタイルにより◎のストライク率と与四球率を記録。プロレベルでも先発投手として期待のハイフロアーなピッチャーですね。。

ちなみに、カリフォルニア州出身のクセにヤンキースファン。