アンソニー・ボルピ
Anthony Volpe
2001年4月28日/180cm・88㎏/右投右打/ニュージャージー州出身
2019年ドラフト1巡目(全体30位:契約金274万300ドル)
ヒッティング : 30/60
パワー : 35/55
ラン : 45/55
アーム : 40/50
フィールディング : 30/55
総合 : 35/60
ヤンキースタジアムからたった約数㎞離れたニューヨーク市マンハッタンのセントラルパーク周辺でヤンキースファンとして生まれ育ち、医師として勤める父親の転勤により10歳でニューヨーク郊外のニュージャージー州ウォッチャングへ移住。
生後半年で初めてバットを握り、2歳でウィッフルボールをプレーするなど早熟だったボルピはリトルリーガーとして早々と頭角を現し、2013年にはU-12野球ワールドカップのアメリカ代表に選出されると10試合で.500/.464/.577・エラー無しの活躍を見せ同代表の初優勝に貢献。さらに、2016年のU-15野球ワールドカップも引き続きアメリカ代表として9試合に出場しチームNo.1の好成績(.419/.484/.577・8盗塁・エラー1個)を残しましたが、チーム自体は銅メダルに終わっています。
(2018年にはU-18のアメリカ代表にも選ばれていますが、U-18ワールドカップが奇数年の隔年開催であるため出場は叶わず。)
当然ながら肝心の高校野球でも全米トップクラスのプレーヤーとして名を馳せ、デルバートン高校(全米トップ10に入る名門進学校)では後に大学生No.1投手となるジャック・ライターと共に全米最強タッグを組み州大会優勝の原動力に。さらに、コミットメント先の大学もライターと同じくヴァンダービルド大学でした。
高校シーズン記録(記録漏れ有)
年度 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 |
2016 | 7 | 7 | 6 | 0 | 1 | 4 |
2017 | 10 | 30 | 15 | 1 | 4 | 4 |
2018 | 19 | 56 | 27 | 1 | 6 | 10 |
2019 | 29 | 88 | 40 | 8 | 36 | 1 |
高校野球、アメリカ代表戦、ショーケース、NHSIなどにおけるハイレベルなパフォーマンスと高いフロアーを評価され2019年MLBドラフトでは全体30~50位クラスに位置付けられていましたが、ヴァンダービルト大学へのコミットメントを破棄させるためには300万ドル以上の契約金が必要と噂され、ライターと同様に指名を避けられる懸念も。
ただ、実際には全体30位指名権を保有していたヤンキースが指名を行い、ボーナススロット236万5500ドルを超える274万300ドルで契約を締結。晴れた幼少期からの憧れだったヤンキース組織の一員となりました。
Year | Age | Tm | Lev | G | PA | H | 2B | HR | SB | CS | BB | SO | BA | OBP | SLG | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2019 | 18 | Pulaski | Rk | 34 | 150 | 26 | 7 | 2 | 6 | 1 | 23 | 38 | .215 | .349 | .355 | .704 |
2021 | 20 | 2 Teams | A+-A | 109 | 513 | 121 | 35 | 27 | 33 | 9 | 78 | 101 | .294 | .423 | .604 | 1.027 |
2021 | 20 | Hudson Valley | A+ | 55 | 256 | 61 | 17 | 15 | 12 | 4 | 27 | 58 | .286 | .391 | .587 | .977 |
2021 | 20 | Tampa | A | 54 | 257 | 60 | 18 | 12 | 21 | 5 | 51 | 43 | .302 | .455 | .623 | 1.078 |
All | All | All | 143 | 663 | 147 | 42 | 29 | 39 | 10 | 101 | 139 | .276 | .406 | .548 | .954 |
契約後はルーキークラスのアパラチアンリーグに配属され、早生まれのため年上の選手を相手にプレーすることとなりましたが、リーグ平均レベルの中途半端な打撃成績に終わりショート守備でも未熟さを露呈。シーズン終了後は各媒体のヤンキース組織内プロスペクト・ランキングにて10~20位にランクインすることとなりますが、ドラ1としてインパクトに欠ける1年目だったことは確かでしょう。
フルシーズン1年目となるはずだった翌2020年はコロナによりマイナリーグが中止となったため、夏の間はデルバートンに戻りジャック・ライターを含む元チームメイトと自主トレーニングを実施。さらに、8月~翌2021年2月までは週5でニューヨーク近辺のトレーニング施設に通いバッティングフォームを改造するだけでなく体重も約7kg増加。
そして、2021年シーズンはコロナ休止中のトレーニング成果を思う存分に発揮。4月に20歳となったばかりにも関わらずA~A+クラスの年長ピッチャー達を圧倒し、終わってみればマイナリーグ全体でもNo.1の打撃成績を記録。このセンセーショナルな活躍によりジェイソン・ドミンゲスやオズワルド・ペラザらを抑えヤンキースNo.1プロスペクトの座を手に入れただけでなく、MLB公式の年間最優秀打撃プロスペクトに選出されるなど球界全体でも上位の存在と見なされています。
ヒッティング : 30/60
パワー : 35/55
高校時代から今シーズン開幕までにかけて、パワーに欠けるもののアプローチの完成度が高くハイフロアーかつローシーリングなバッターと考えられていましたが、先述のトレーニングによりバットコントロール・選球眼・パワーの全てを兼ね備えたコンプリート・バッターに。
クラウチングスタンスのコンパクトなアッパースイングはコロナ休止以前の非力なスイングとは全く異なったもので、フィールド全体へ器用にライナー~フライ性の打球を放つだけでなくボールを可能な限り体に引き付け球種・コースの判別時間を確保。空振りストライク率は8.8%と低水準で、全打球の70%強をライナー&フライが占めるなど細かなスタッツも申し分なし。
また、コロナ休止中のトレーニングではスイングのスピードや強度よりも一貫性や安定感の向上を重視したと語っており、109試合中97試合で出塁を果たすなどシーズンを通して長期的なスランプに陥ることなく活躍したことを踏まえると、トレーニングの方向性は間違っていなかったようです。
加えて、バットコントロールと高い野球IQにより選球眼もバツグン。良くも悪くもスコアリングポジションやハイレバレッジな場面で積極的にスイングする傾向がありますが、正直なところマイナーリーグでチーム優先のプレーを行う必要はないわけで、どんな場面でも待球重視で挑んでほしいところ。
平均未満と評されていたパワー面において長打率.604・ISO.311・27本塁打を記録したことはもちろん見事ですが、Statcastが導入されているAクラスのサウスイースタンリーグでプレーした際には打球初速度109マイルや飛距離445フィート(136m)を計測し平均打球初速度で同リーグのトップに立つなど、放った打球自体のクオリティがハイレベルであったことも押さえておきたい。
ラン : 45/55
アーム : 40/50
フィールディング: 30/55
高校時代に60ヤード走で6.62秒を記録するなどスピードは平均以上で、今シーズンは33盗塁を奪っていますが盗塁技術よりもベースランニングが優れている印象。まあどっちみち走塁で手を抜くような選手では絶対にありません。
肩の強さ自体はショートとして並みですがグラブ捌き・フットワーク・リアクションなどショートとしての各フィールディング・スキルは👍。実際に守備率は2019年の.934から.962まで向上し、ダベンポートの簡易FRAAでは+10の高水準を残しています。ただ、送球精度に難がありエラーとして記録に残らないような送球ミスも度々見受けられましたのも確か。
個人的にショート守備のポテンシャルはオズワルド・ペラザの方が上だと考えていて、2人を両立させるのであればSS:ペラザ、2B:ボルピが最適かと。
総合 : 35/60
ヤンキースのプロスペクトとしてはグレイバー・トーレス以来の逸材。今年のトレード・デッドラインにて交渉相手のほとんどがボルピを要求しましたが、キャッシュマンはアンタッチャブルな存在として突っぱねたようで、今後も放出されることはないでしょうね。
また、当ブログで何度も述べていますが野球に対する真摯な態度や姿勢、リーダーシップ、練習熱心さ、献身性は最上級の評価を受け、メイクアップ面に関してはデレク・ジーターと比較されることもありますが、ボルピの試合を見る限り常に冷静沈着だったジーターと対照的に熱血漢寄りな印象。
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映像集
コメント
ボルペだと思ってましたが、ボルピなんですね(笑)
トーレス君は来期後半或いは再来期はサードかトレード要員ですか
ところでロックリッジ君は残れますか、
トーレスは来シーズンで構想外になると思います。
ガードナーが選手オプションを行使すると思いますし、ペレイラもルール5ドラフトの対象となるので厳しそうですね、
来シーズン野手でメジャーデビューしそうなプロスペクトいますか、
オズワルド・ペラザ、アンソニー・ボルピ、オズワルド・カブレラ、ドニー・サンズ、ブランドン・ロックリッジ