ヤンキース:プロスペクト・リポート:第2回(2023/5/27)


2023年シーズン開幕時点におけるニューヨーク・ヤンキースのプロスペクト(有望株)ランキングTOP50を作成
2023年「ヤンキース:プロスペクト・リポート」の第1弾

チケット価格が安い外野席で観戦するのってある意味恥ですよね。



AAA

ウィル・ウォーレン

Year Lev ERA G IP H HR BB SO WHIP H9 HR9 BB9 SO9 SO/W
2023 AA 2.45 6 29.1 26 0 12 39 1.295 8.0 0.0 3.7 12.0 3.25
2023 AAA 7.04 2 7.2 7 5 2 7 1.174 8.2 5.9 2.3 8.2 3.50

AAにて昨シーズン20.6%に低迷したK%を32.2%まで引き上げ、被本塁打ゼロ&1.79 FIPを記録。プロデビューからたった1年1ヶ月でAAAへ到達することとなりました。

AAAでは球速が伸びない上にコマンドにも苦しみ2登板で5被本塁打を許すなど残念なパフォーマンス。シンカーがウィークコンタクトを生み出す一方でフォーシームが強打を受けており、速球コンビのアプローチを改良する必要がありそう。

ちなみに、Statcast上にて5球種の扱いとなっていますが、スイーパー(ST)とカーブがスイーパーへ一緒くたに集計されてしまっており、実際は6球種を操っています。

球種 球速 スピン IVB HB
FF 93.4 2550 16.2 -6.6
SI 93.2 2351 4.4 -16.1
SL 86.7 2843 1.1 6.9
ST 82.1 3000 -1.6 17.8
CH 87.8 1594 0.4 -14.3

ロドルフォ・デュラン

2021~22年は故障と低BABIPに苦しみAAで足踏みを続けていましたが、今シーズンはAAAで開幕を迎え30試合で7本塁打。EV、HH%、Barrel%でもAAAプロスペクトでNo.1の数字を残し、守備力も含め第4の捕手としては申し分ない活躍です。

ヤンキースが第4の捕手を必要としたのは2017年シーズンが最後ですが、トレビーノが離脱(近々復帰するだろうけど)しスぺ体質2人がマスクを被っている中で彼の動向を抑えておいても損はありません。


AA

ケイレブ・ダービン

A+で開幕を迎えるとキャリアで初めてバビって早々にAA昇格。

AAではBABIPが落ち着きLW系指標が戻りつつあるものの56打席でたった1度しか三振を喫しておらず、90th~95thパーセンタイルのアップサイドがロナルド・トレイエズの楽しみな存在に。

チーム状況から2B/3B起用を受けていますが、3Bはあまり彼に適していないように感じます。

反対に彼とセットでブレーブスから獲得したインディゴ・ディアスは17.1回15与四球と酷い制球難に陥っており、ブレーブスならまだしも粗末なヤンキース指導陣の手に負えるような存在ではないようです。

外野陣

選手名 wRC+ K% BB%
ジェイソン・ドミンゲス 107 24.8 20.0
エバーソン・ペレイラ 130 29.5 9.6
ジェイソン・ロサリオ 77 34.9 19.0
ブランドン・ロックリッジ 143 19.0 13.3

優れたアプローチを披露するも低BABIPの魔力により成績が伸びないドミンゲス、アプローチに改善が見られないものの高BABIPを維持するペレイラ、昨シーズンから三振が約倍増しているロサリオ、3年目でやっとAAに適応したロックリッジと各人各様の数字を残す外野陣。

どうせロックリッジは一足先にAAAへ昇格して再び壁にぶち当たるだろうし、別にペレイラも成長曲線が上向きに傾いたとは考えにくく、とうとうロサリオはセンターをクビに。

ドミンゲスのBABIPがまともになるまで大したポジ要素は見つからなさそう。

リチャード・フィッツ

昨シーズン後半戦の一時期に平均94マイルを計測した12:30タイプのフォーシームは結局93マイル程度に落ち着き、左打者に対して無事一発病を発症。

優れたコントロールにより被弾からピッチングが大きく崩れることはありませんが、やはりAAクラスになると平均超の変化球を持ち合わせない先発ピッチャーは苦労しますね。

2023 Player Pitching Game Log
Rk Date IP H R ER BB SO HR Pit
1 2023-04-07 4.0 4 2 2 0 8 1 72
2 2023-04-12 4.2 6 6 6 2 10 0 82
3 2023-04-19 6.0 7 4 4 1 4 2 88
4 2023-04-26 6.0 3 0 0 2 4 0 85
5 2023-05-03 7.0 7 4 4 1 7 1 92
6 2023-05-10 2.0 5 4 4 2 1 2 60
7 2023-05-18 3.2 6 3 3 2 2 1 90
8 2023-05-24 6.0 5 0 0 1 5 0 92


High-A

チェイス・ハンプトン

現在ヤンキース傘下で最もホットなプロスペクトは彼で間違いないでしょう。

春季キャンプで印象的なトラッキングデータを残し、A+クラスにてプロデビューを果たすと全登板でイニング数を超える奪三振を奪い、プロスペクトとしての評価も急上昇中。

この勢いは2021年のケン・ワルディチャクや昨年のウィル・ウォーレンを彷彿させます。

2023 Player Pitching Game Log
Rk Date IP H R ER BB SO HR Pit
1 2023-04-11 4.1 3 0 0 3 8 0 73
2 2023-04-18 4.2 3 2 2 1 6 1 84
3 2023-04-25 4.2 6 5 5 3 10 1 86
4 2023-05-06 5.0 4 1 1 1 9 0 71
5 2023-05-13 5.0 3 2 0 1 9 0 81
6 2023-05-21 5.1 5 4 2 2 7 1 85

右打者相手にはアーリーカウントから積極的にカッターを外角へ投げ込みカウントを整え、ピッチャーカウントになるとスライダーをチラつかせながらフォーシームを高低に投げ込み三振を奪うレアなアプローチ。

対照的に左打者相手には高めのフォーシーム、内角へのカッター、レイトカウントにおけるカーブ重視のシンプルなアプローチ。

ドラフト時の評判以上にコマンドも安定しておりアーリーエントリーの6巡目指名選手として十分すぎるパフォーマンスですが、序盤に打ち込まれる機会が多く、許した長打の大半以上はファーストイニングにおけるもの。

ダニー・ワトソン

この2年間、球威を犠牲にしてアームスロットを下げ続けてきた身長201㎝の変則ピッチャーが、とうとうサイドスローワーとして着地点を見つけた模様。

ここまで14登板全てで奪三振を奪い、BB%やGB%も大きく改善。

また、昨シーズンは左打者84人相手に被OPS1.019 、13奪三振、20与四球とボロボロだったものの、今シーズンは45人相手に被OPS.250 、23奪三振、与四球ゼロと見違えるような数字を残しています。

各球種(シンカー、スライダー、チェンジアップ)のピッチクオリティは依然として悪く、上位階級でも活躍するビジョンはあまり浮かびませんが、ジミー・ハーゲットが活躍するなら彼も…と思っちゃうよね。

もちろんワトソン程度のプロスペクトがハーゲット級に達する可能性は数%未満です。

マルコス・カブレラ

昨シーズンはAクラスで91 wRC+、37.9 K%に終わっていましたが、今シーズンはA+クラスへ昇格する60 wRC+、35.1 K%と引き続き✖。

さらに稚拙なサード守備(何故か守備成績は昨シーズンまでプラス)においてはルーティーンプレーですらままならない有様で25試合・13エラー(守備率.803)。

身体能力とローパワーは魅力的つったって技術が伴わないとねぇ。

ベン・ライス

バッティング絶好調なまま性懲りもなくIL入ってるんですけど、それまでに7試合でマスクを被って盗塁阻止率4%(1/24)。

チームメイトのアントニオ・ゴメスが30%、ラファエル・フローレスが25%を残す中でこの数字なわけだから、キャッチャーへのステイは厳しいわな。


Low-A

ジャレッド・セルナ

投手で最もホットなプロスペクトがチェイス・ハンプトンであれば野手はこのセルナ

.328/.399/.569と見栄えの良いスラッシュラインを残しているだけでなくHH%やBarrel%も優秀で、20歳の168cmプレーヤーとは信じられないような打球を放っています。

ファストボールヒッターのためブレーキングボール相手に褒められるような数字を残していないものの、これだけ速球を打ち崩していればそりゃ三振しないよねと。

所属リーグが機械判定を使用している現所属リーグから従来通り主審判定のHigh-Aに上がれば、彼のような低身長ははゾーンが大きく異なってくるはずで、豪快なプルヒッティングが今後も通用するかはまた別の話。

ヘイデン・メルダ💩

NCAAディビジョンⅡにてリリーバーとしてプレーしていた2022年ドラフト17巡目指名選手。

より上位で指名を受けた同じ大卒リリーバーらを押しのけ開幕から先発ローテ入りを果たし、とりあえず平均を下回るERAを残してます。

フォーシーム、シンカー、カッター、スライダー、チェンジアップの各球種は全て一貫性に欠けるものの、基本的にフォーシームが打ち込まれており、他球種は空振り率・コンタクトクオリティ共に悪くありません。

そもそもFIPはERAを1点以上下回っていますし、フォーシームの活用法を見出せれば35 FVに到達するのではないでしょうか。

ちなみに、ファーストネームの”Merda”はラテン語で”💩ウンコ💩”を意味するらしい。

(ライムフェル・サリーナス)

前回の記事投稿前に突如リリースされていましたが、その直後、PED使用によって80試合の出場停止に。

昨シーズンは終盤に好成績を記録していたのですが…