オフシーズン開始前にヤンキースの現状をおさらい:2022年版


ヤンキースを初めに地区優勝を目指す強豪チームにとって標準的かつ理想的なチーム構成を考察

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ワールドシリーズも佳境を迎えシーズン終了が目前まで迫ってきたこのタイミングで、今年もヤンキースのチーム編成や選手年俸等の現状について記しました。



40人ロースター(現34人)

※青字は年保調停対象選手の予想年俸

投手(19人)

選手名 来季年俸
(万ドル)
FA予定
ゲリット・コール 3600 2028
フランキー・モンタス 770 2023
ルー・トリビーノ 420 2023
ネスター・コルテス 370 2025
クレイ・ホームズ 320 2024
ワンディ・ペラルタ 320 2023
ドミンゴ・ハーマン 280 2024
ジョナサン・ロアイシガ 210 2024
ルーカス・リットキー 180 2024
マイケル・キング 150 2025
クレーク・シュミット Min 2026
スコット・エフロス*(1) Min 2027
アルバート・アブレイユ Min 2027
ロン・マリナチオ Min
グレッグ・ワイサート Min
デイビー・ガルシア Min
ルイス・ヒル Min
スティーブン・ライディングス Min
ヨエンドリス・ゴメス

*(1) トミー・ジョン手術により来シーズン全休

捕手(3人)

選手名 来季年俸
(万ドル)
FA予定
ホセ・トレビーノ 200 2025
カイル・ヒガシオカ 180 2024
ベン・ルートベット Min 2027

内野手(6人)

選手名 来季年俸
(万ドル)
FA予定
ジョシュ・ドナルドソン 2175 2023
DJ・ラメイヒュー 1500 2026
グレイバー・トーレス 970 2024
アイザイア・カイナー=ファレファ 630 2023
オズワルド・カブレラ Min - 
オズワルド・ペラザ Min

外野手(6人)

選手名 来季年俸
(万ドル)
FA予定
ジャンカルロ・スタントン*(1) 2900 2026
アーロン・ヒックス 1080 2024
ハリソン・ベイダー 520 2022
ティム・ロカストロ 130 2024
エステバン・フロリアル Min 2027
エバーソン・ペレイラ Min - 

*(2) 実年俸3200万ドルのうち300万ドルを前所属マーリンズが負担。


今オフFA予定選手

選手名 今季年俸
(万ドル)
アーロン・ジャッジ 1900
アンソニー・リゾー* 1600
アロルディス・チャップマン 1600
ザック・ブリットン 1400
ルイス・セベリーノ* 1000
アンドリュー・ベニンテンディ 850
ジェイムソン・タイオン 580
チャド・グリーン 400
ミゲル・カストロ 260
マーウィン・ゴンザレス 110
マット・カーペンター 100

アンソニー・リゾー

来シーズン1年1600万ドルの選手オプションが有りますが、今シーズンの成績を踏まえるとオプションを破棄→FA市場へ流出の可能性が大。

ルイス・セベリーノ

1500万ドルの球団オプション有り。

来シーズンはWAR1.5~2.0を見込まれる選手ですが、昨オフにノア・シンダーガードが2100万ドル、ザック・グレインキーが1300万ドル、コーリー・クルーバーが800万ドルの単年契約を手にしたことを考えると、上記の球団オプションはギャンブル(行使)に値する条件かと。


ルール5ドラフト対象プロスペクト

選手名 階級
ランディ・バスケス AA
フアン・カレラ A+
マット・サウアー AA
ジョニー・ブリート AAA
アンソニー・シーグラー A+
アンドレス・シャパーロ AA
エドガー・バークレー A+
ジョシュ・ブロー AAA
アントニオ・ゴメス A
マット・クルック AAA
ブランドン・ロックリッジ AA
ジェイソン・ロザリオ AA
シェーン・ボイル AAA
ヘスス・バスティダス AA
ミッチ・スペンス AAA
アルフレッド・ベガ A

良くも悪くもトレードデッドラインにてルール5ドラフト対象直前だったトッププロスペクトたちを軒並み整理してしまったため、プロテクトがマストのプロスペクトは数えるほどしかいません。

また、ルール5ドラフトは基本的に投手指名が中心となるため野手を取捨選択するハードルは低めですが、ラッキーなことにプロテクト当落線上のプロスペクトは大半が野手となっていますね。

あれだけ投手プロスペクトを放出すりゃ、こうなることは当たり前だけど...。


チーム総年俸

  人数 総額(ドル)
来季年俸確定
(贅沢税対象分)
6 1億1800万
(1億1300万)
年俸調停(予想) 14 5130万
最低年俸 ? 720万
マイナーリーガー ? 250万
年俸合計 1億7900万
その他(福利厚生費) 1650万
贅沢税対象
(AAV総年俸)
1億9000万
年俸制限 2億3300万
超過額 ▲4300万

アーロン・ジャッジのFAに注目が集まっていますが、FA予定選手の一覧を見てもらっても分かるように良くも悪くも主力級から不良債権までシーズン途中補強選手も含め10人以上の選手がFA市場に流出予定

そのためオフシーズン開始時点の残留確定組の年俸合計は2019-20年オフ以降において最低の約1億8000万ドル(AAV総年俸は約1億9000万ドル)。

ちなみに、昨年は既にこのタイミングで2億2500万ドル(AAV総年俸は約2億3600万ドル)とカツカツの状態でした。

年度 総年俸 総年俸
(贅沢税対象分)
2019  2億1300万 2億3400万
2020  2億5100万 2億6400万
2021 2億200万 2億800万
2022  2億4900万 2憶6700万
平均  2億2900万 2億4300万

次に補強予算について。

昨オフの大豊作ショート市場をスルーしたがためにシーズンを通し守銭奴と非難を受けたヤンキースですが、実は2022年シーズンにおいて実総年俸とAAV総年俸の両方でチーム歴代最高額を記録。(2020年シーズンは短縮シーズンのため参考記録扱い)

となると2023年シーズンも引き続き大盤振る舞いを期待したい所ではあるものの、2022年シーズンの総年俸大幅アップは今回のチャップマンやブリットンら不良債権との契約期間終了も見え据えた先取的なものだったと個人的には考えていて、贅沢税の第2ラインである2億5300万ドルがAAV総年俸の上限額となるのではないでしょうか。

また、トレードデッドラインにおいて過去2年間は700~800万ドル程度分の補強を行っていることを踏まえ、開幕時点のAAV総年俸の上限額は約2億4500万ドル、つまり今オフ中の補強予算は2億4500万-1億9000万=5500万ドルと予想します。

ただ、現在の労使協定では贅沢税の第3ラインである2億7300万ドルを超えると課税率がハネ上がる仕組みとなっていますし、最近はアメリカ国内もインフレが酷いので、第3ラインの方が上限となる可能性も否めません。

もちろん、またケチって贅沢税をリセットする可能性も頭を過りましたが、そんな💩ムーブかましたらBLMばりの暴動発生してヤンキー・スタジアム燃やされるわ。


アクティブ・ロースター

野手

C  :ホセ・トレビーノ
1B:DJ・ラメイヒュー
2B:グレイバー・トーレス
3B:ジョシュ・ドナルドソン
SS:アイザイア・カイナー=ファレファ
LF:アーロン・ヒックス
CF:ハリソン・ベイダー
RF:オズワルド・カブレラ
DH:ジャンカルロ・スタントン

ベンチ
C  :カイル・ヒガシオカ
UT:オズワルド・ペラザ
UT:アンソニー・ボルピ
OF:ティム・カストロ

投手

先発

1:ゲリット・コール
2:ネスター・コルテス
3:フランキー・モンタス
4:ドミンゴ・ハーマン
5:クラーク・シュミット

リリーフ

1:クレイ・ホームズ
2:マイケル・キング
3:ジョナサン・ロアイシガ
4:ワンディ・ペラルタ
5:ロン・マリナチオ
6:ルー・トリビーノ
7:ルーカス・リットキー
8:グレッグ・ワイサート


というわけで、残留確定組でヤンキースの26人アクティブロースターを組めば上記の通り。

1億8000万ドルもの大金が掛かっているとは到底考えられないような不良債権とB級プレーヤーばかりの短小メンバーですね。上から書き連ねるにあたって、先発裏ローテの辺りで死にたくなりました。

まあ何にせよ、このちんけなロースターをスタート地点に推定5500万ドルの補強予算選手層MLB平均レベルの傘下プロスペクトを用いてハイレベルなAL東地区を勝ち抜くチームを築き上げなければならないわけ。

客観的に見てポストシーズン出場ならまだしも地区優勝はちと無理があるような気もしますが、前回投稿した「MLB地区優勝を目指すに最も標準的かつ理想的なチーム構成を考える」も踏まえ、次回の投稿では上記メンバーの戦力分析と今オフの補強予想を行います。

同時に「ヤンキースの経営状況について」の今年度版も書きたかったのですが、ヤンキースがコロナ禍による混乱に合わせて情報統制を行っているのか、ここ1~2年はチームのファイナンス面に関する情報がほとんど入ってこないので諦めました。ニューヨーク・タイムズさん仕事してください。