ブレーブスのワールドシリーズ優勝により2021年シーズンが終了を迎えましたが、今年もオフシーズン開始前にヤンキースのチーム編成や選手年俸等の現状について記しておきます。
今オフは12月1日に現行CBAが失効となり、MLBの各制度が大きく様変わりすることは間違いなく、オフシーズンの動向を予想するのは困難ですが、取り敢えず現行CBAをベースに話を進めましょう。
40人ロースター
※青字は年保調停対象選手の予想年俸
投手(23人)
選手名 | 来季年俸 (万ドル) |
FA予定 |
ゲリット・コール | 3600 | 2028 |
アロルディス・チャップマン | 1600 | 2022 |
ザック・ブリットン | 1400 | 2022 |
ルイス・セベリーノ | 1150 | 2022 |
ジョーダン・モンゴメリー | 480 | 2023 |
ジェイムソン・タイロン | 470 | 2022 |
チャド・グリーン | 410 | 2022 |
ジョエリー・ロドリゲス*(1) | 300 | 2022 |
ドミンゴ・ハーマン | 210 | 2024 |
ジョナサン・ロアイシガ | 170 | 2024 |
ワンディ・ペラルタ | 170 | 2023 |
ダレン・オデイ*(2) | 140 | 2022 |
ルーカス・リットキー | 110 | 2024 |
クレイ・ホームズ | 100 | 2024 |
ネスター・コルテス Jr. | Min | 2025 |
マイケル・キング | Min | 2025 |
アルバート・アブレイユ | Min | 2026 |
ニック・ネルソン | Min | 2026 |
クレーク・シュミット | Min | 2026 |
デイビー・ガルシア | Min | 2026 |
ルイス・ヒル | Min | - |
ルイス・メディーナ | - | - |
ヨエンドリス・ゴメス | - | - |
*(1)300万ドルの球団オプションが有り、行使すると想定。
*(2)140万ドルの選手オプションが有り、行使すると想定。
捕手(3人)
選手名 | 来季年俸 (万ドル) |
FA予定 |
ゲーリー・サンチェス | 790 | 2022 |
カイル・ヒガシオカ | 125 | 2024 |
ロブ・ブラントリー | Min | 2024 |
内野手(10人)
選手名 | 来季年俸 (万ドル) |
FA予定 |
DJ・ライメイヒュー | 1500 | 2026 |
ジオ・アーシェラ | 620 | 2023 |
グレイバー・トーレス | 590 | 2024 |
ルーク・ボイト | 540 | 2025 |
ミゲル・アンドゥハー | 170 | 2024 |
タイラー・ウェイド | 70 | 2024 |
ルーグネッド・オドーア | - | 2022 |
アンドリュー・ヴェラスケス | Min | 2025 |
クリス・ギッテンズ | Min | - |
オズワルド・ペラザ | - | - |
外野手(9人)
選手名 | 来季年俸 (万ドル) |
FA予定 |
ジャンカルロ・スタントン | 2900 | 2026 |
アーロン・ジャッジ | 1710 | 2023 |
アーロン・ヒックス | 1080 | 2024 |
ジョーイ・ギャロ | 1020 | 2022 |
クリント・フレイジャー | 240 | 2025 |
ブレット・ガードナー*(3) | 230 | 2022 |
ティム・ロカストロ | 70 | 2024 |
グレッグ・アレン | Min | 2024 |
エステバン・フロリアル | Min | 2026 |
*(3)230万ドルの選手オプションが有り、行使すると想定。
今オフFA選手
選手名 | 今季年俸 (万ドル) |
コーリー・クルーバー | 1100 |
アンソニー・リゾー | 1650 |
ルール5ドラフト対象プロスペクト
選手名 | 階級 |
エバーソン・ペレイラ | A+ |
オズワルド・カブレラ | AAA |
スティーブン・ライディングス | MLB |
ブランドン・ロックリッジ | AA |
ジョシュ・ブロー | AA |
ドニー・サンズ | AAA |
アンソニー・ガルシア | A |
マット・クルック | AAA |
JP・シアーズ | AAA |
シェーン・ボイル | AAA |
ロン・マリナチオ | AAA |
チーム年俸表
人数 | 総額(ドル) | |
来季年俸確定 (贅沢税対象分) |
11 | 1億3600万 (1億3090万) |
年俸調停(予想) | 19 | 8060万 |
最低年俸 | ? | 600万 |
マイナーリーガー | ? | 225万 |
年俸合計 | — | 2億2500万 |
その他(福利厚生費) | — | 1600万 |
贅沢税対象 | — | 2億3600万 |
年俸制限 | — | 2億1000万? |
超過額 | — | 2600万? |
2021年シーズンは節制により年俸制限ラインを下回ることに成功しましたが、ゲリット・コール以外の高年俸の長期契約選手が全員不良債権化しているだけでなく、年俸調停対象選手が19人と非常に多く、残念ながら年俸総額は大幅に増加予定。上記の40人ロースターだけで今シーズンの総年俸を2000万ドル以上も上回る算段となっています。
また、導入部分でも書いたようにCBA更新によって贅沢税やロースター、FA、サービスタイムなどの各制度に変更が加えられるはずで、現時点ではオフシーズンの動向を予想するのは非常に困難であり、実際に補強戦線が停滞することは間違いなし。
今オフのFA市場はカルロス・コレア、コーリー・シーガー、マーカス・セミエン、ハビア―・バイエズ、トレバー・ストーリ―などショートが非常に豪華なため、”グレイバー・トーレスを放出→大物ショート獲得”がファンの間で期待されていますが、上述のチーム総年俸やプロスペクトも含めた組織全体のデプスを考えると現実的ではないかと。もし大物ショートの獲得に動くとしても高年俸選手などの放出が必要なわけで、CBA更新によって混乱・停滞するはずの今オフでは一筋縄でいかないでしょうね。
ちなみに、スタインブレナーやキャッシュマンGMの発言を聞く限り補強予算を例年以上に増やす気はないようです。
アクティブ・ロースター
野手
C :ゲーリー・サンチェス
1B:ルーク・ボイト
2B:DJ・ライメイヒュー
3B:ジオ・アーシェラ
SS:グレイバー・トレース
LF:ジョーイ・ギャロ
CF:ブレット・ガードナー
RF:アーロン・ジャッジ
DH:ジャンカルロ・スタントン
ベンチ
C :カイル・ヒガシオカ
UT:ルーグネッド・オドーア
UT:タイラー・ウェイド
OF:クリント・フレイジャー
投手
先発
1:ゲリット・コール
2:ジョーダン・モンゴメリー
3:ジェイムソン・タイロン
4:ドミンゴ・ハーマン
5:ネスター・コルテス Jr.
リリーフ
1:アロルディス・チャップマン
2:ジョナサン・ロアイシガ
3:チャド・グリーン
4:クレイ・ホームズ
5:ルーカス・リットキー
6:ルイス・セベリーノ
7:マイケル・キング
8:ジョエリー・ロドリゲス
補強(放出)ポイント
今オフは予算がカツカツなだけでなくFAとなる選手も少なくMLBロースターが一杯一杯なので、選手獲得より放出(ロースター整理)がメインとなってくるはず。
ヤンキースにとってここまで先行きが暗いオフシーズンも久しぶりではないでしょうか。
リリーフ陣
本来ならリリーフ陣の二枚看板として8~9回を任せられるはずのチャップマンとブリットンが不良債権となりましたが、ロアイシガやリットキーのブレイクに加えトレードデッドラインで獲得したホームズやロドリゲスの魔改造に成功。さらに、マイケル・キングが故障復帰後に別人のような剛速球を披露し、コルテスやペラルタなど技巧派も予想外の好投。
結果としリリーフ陣はMLBトップクラスの好成績を残したわけで、贅沢な悩みですが現状として人材がダブついている印象。
ここはチャップマンとブリットンを年俸の一部負担や負担やプロスペクトとのセットによって放出すべきでしょうね。チャップマンならまだしもブリットンをあっさり受け入れてくれるチームなんて存在しないだろうけど。
あとは、ニック・ネルソンやアルバート・アブレイユらAAAA選手もルール5ドラフト対策のため放出されるでしょう。
年俸調停対象の野手
ロクな成績を残せていないにもかかわらず年俸調停制度よって来季年俸が数百万ドル前後まで上がるミゲル・アンドゥハー、クリント・フレイジャー、ティム・ロカストロらは全員不要。また、フロリアルやアレンなどに割くロースター枠が来シーズン開幕までに残っているとも思えません。
場合によってはゲーリー・サンチェス、グレイバー・トーレス、ジオ・アーシェラ、ジョーイ・ギャロなどレギュラー陣の放出すらありえますが、放出したところで代わりを市場で探す必要がありメリット小。
ハッキリ言って野手の補強は八方塞がりの印象で、今オフ中の抜本的な戦力アップなど不可能かと。今年不調に終わった選手たちの復活とプロスペクトのMLB昇格に賭けるしかないのでは?
結果論ですが、ダブついたプロスペクトを不良債権の放出ではなくアンソニー・リゾーやジョーイ・ギャロの獲得に用いたのは愚策でした。
ジャッジとの契約延長
これまで契約延長交渉の可能性を幾度となく取り沙汰されるも実際には交渉に至らず、とうとうFAまで残り1年を切ってしまったアーロン・ジャッジ。
他のベイビー・ボンバーズが軒並み失敗に終わっているヤンキースにとって唯一のトップ野手であるジャッジとの契約延長は必須事項に思えますが、取り敢えずCBA交渉が締結に至るまで具体的な動きはないはず。もし契約延長に合意したとしても贅沢税対策のため契約締結はシーズン開幕後となるでしょう。
終わりに
シーズン後半戦の追い上げによって92勝を挙げ辛うじてワイルドカードを獲得したヤンキースですが、ピタゴラス勝率は86勝76敗と実勝率より悪くチームWARもレイズはもちろんレッドソックスやブルージェイズより下の数字でした。
どうにかロースターを整理し予算を確保して最大の補強ポイントである強打の内野手の獲得に成功したとしても、上記の3チームに太刀打ちできるとは思えません。
コメント
スタントン+コールで2027年まで毎年$60M以上取られることが確定してるわけですし、外野が充実してる以上、ヤンキースじゃなかったらジャッジは不良債権誰か(ヒックスやブリットン)と合わせて放出なんでしょうけどね。
そもそもギャロを獲得して外野を”充実”させたことが間違いです。
まあ獲得時に既に外野手だけで$60M近く費やしてましたからね。とはいえ$200M以上の契約になりそうなジャッジと比べたらギャロの方が安価ですし、選手としての能力は落ちるにせよ第2の選択肢としてはアリなのでは?チーム人気は落ちそうですが…。
別にギャロとエクステンションしてジャッジは放出でも構いませんよ。それ以前に今年のTDLであれだけのプロスペクトをギャロ獲得に投じたのが間違いだったって話です。
・契約年数を長くする代わりに単年の年俸を下げた契約
・スタントンのトレード獲得
・フレイジャー、アンドゥハー、アダムス、フロリアルの放出渋り
・ステファン、ウィットロックの流出
・トーレスのSSコンバート
・ミドルプロスペクトの安売り
すべて失敗してるわけですが、キャッシュマンは無能ですか?
ステファンは投球内容イマイチ、ウィットロックもSNS上で彼の覚醒に気付いたレッドソックスのファインプレーみたいなところがあるので擁護の余地はありますけど、その他はキャッシュマン(とスタインブレナー)の責任ですし彼が無能なのはチーム成績が物語っています。即刻クビにすべきです。