公式球の仕様変更による打撃成績の低下、三振の増加によるインプレーの減少、アストロズ騒動による不正行為へ対するファンの意識改革など様々な要因が重なりMLB機構が不正投球の規制強化に本腰を上げた今季2021年シーズン。
6月21日という中途半端な時期に規制強化の新ルールを導入したことにより大きな混乱が生まれたわけですが、今回の記事ではこの混乱の中で何故か唐突に各球種のスピンレイトが急落した大物ピッチャーを何人か取り上げます。
※本記事はシーズン途中にスピンレイトが低下したピッチャーを取り上げただけであり、スピンレイト低下の要因を不正投球規制強化によるものと断定しているわけではありません。
クレイトン・カーショウ
2020年 | 2021年 | ||
4~5月 | 6月~ | ||
フォーシーム | 2,484 | 2,545 | 2,454 |
スライダー | 2,676 | 2,685 | 2,605 |
カーブ | 2,536 | 2,588 | 2,424 |
※数値の単位はrpm(1分間当たりの回転数)
Statcastによるスピンレイトの計測開始以降フォーシームの値が上昇を続けてきましたが、6月に入ると突然下落。さらに、スライダーとカーブも大きく下落しています。
7月3日の登板後から左腕の炎症により故障者リスト入りしていますが、唐突なスピンレイトの低下は果たして左腕の不調によるものだったのでしょうか?
ゲリット・コール
2020年 | 2021年 | ||
4~5月 | 6月~ | ||
フォーシーム | 2,505 | 2,652 | 2,368 |
スライダー | 2,580 | 2,711 | 2,531 |
カーブ | 2,803 | 2,840 | 2,751 |
6月に入ってから球界で最も大きくスピンレイトが低下した投手の一人ですが、投球内容にその悪影響が如実に表れているのも特徴的。残念ながら今後の急速な不良債権化は免れないでしょう。
かつてアストロズ時代に「スピンレイトの上昇は異物使用のおかげ」だとトレバー・バウアーから遠回しにディスられたことがあり、アストロズのサイン盗み騒動に関係して何度もコールやバーランダーの不正投球の噂が流れていましたが、今シーズンもジョシュ・ドナルドソンから名指しで非難を受けたものの真っ向からは否定をせず。
ダルビッシュ 有
2020年 | 2021年 | ||
4~5月 | 6月~ | ||
フォーシーム | 2,595 | 2,565 | 2,449 |
カッター | 2,779 | 2,814 | 2,728 |
スライダー | 2,797 | 2,802 | 2,709 |
カーブ | 2,730 | 2,762 | 2,617 |
昨シーズン及び今シーズンのマウンドにて不正投球を思わせるような仕草を見せ疑惑をかけられるも、本人はTwitter上にて真っ向と否定しているだけでなくMLB機構や他の選手を非難。
ただ、6月15日のロッキーズ戦から各球種のスピンレイトが200~300程度も下落し、サイ・ヤング賞級だった投球成績も一気に悪化。前回のパドレス戦では4~5月と変わらぬスピンレイトを計測していましたが、この1ヶ月半の間のスピンレイト低下の要因は果たしてピッチングスタイルの変更か、それとも故障か、あるいは一時的なスランプか無能ニワカの私には全く見当が付きません。
何回も言っていますが松ヤニは使ったことないです。
自分の過去数年の回転数はほぼ変わっていません。
問題とされているのは急に回転数が数百も上がっている人たちです。
調べれば誰が対象かよくわかるはずです。— ダルビッシュ有(Yu Darvish) (@faridyu) June 4, 2021
日本製の公式球や軟式球は質がよくグリップ力が元々あるので松ヤニだけで回転数が結構上がりますが、乾燥しているアメリカで使うMLB公式球は松ヤニだけだとほとんど変わらないと思います。
【違反】松ヤニを塗って投げたら…脅威の回転数が出てしまった。 https://t.co/LXUaRv7Ywo @YouTubeより— ダルビッシュ有(Yu Darvish) (@faridyu) June 14, 2021
勘違いされている人が多いのですが、ただ松ヤニをつけるだけでは回転数とかに変化はほとんど出ません。
最近使っている人が増えているのは色々な物質を混ぜているもので、それならすぐに回転数を増やすことができるみたいです。短期間で急に何百回転も増えている人はアウトと考えてもいいと思います。— ダルビッシュ有(Yu Darvish) (@faridyu) May 29, 2021
トレバー・バウアー
2020年 | 2021年 | ||
4~5月 | 6月~ | ||
フォーシーム | 2,779 | 2,840 | 2,576 |
カッター | 2,908 | 2,920 | 2,778 |
スライダー | 2,951 | 3,013 | 2,857 |
カーブ | 2,926 | 3,024 | 2,988 |
2020年シーズンに異常なまでのスピンレイト上昇を成し遂げサイ・ヤング賞と大型契約を手にしたものの、今シーズン途中から唐突にスピンレイトが低下。
その後はダルビッシュと同様にMLB機構の非難を続けていましたが、不正投球疑惑とは別にセフレに対する性的暴行疑惑により休職中。場合によっては2度とMLBでピッチングを見る機会はないかも。
↑バウアーが交換球(新球)を受け取る際、右手をグローブの中に滑り込ませる頻度が高いという実証動画。
ウォーカー・ビューラー
2020年 | 2021年 | ||
4~5月 | 6月~ | ||
フォーシーム | 2,546 | 2,630 | 2,432 |
カッター | 2,828 | 2,805 | 2,592 |
スライダー | 2,949 | 2,947 | 2,779 |
カーブ | 3,042 | 3,060 | 2,790 |
偶然ながらまたもやドジャースのピッチャー。
しかしながら、上記の4人とは対照的に投球内容が大幅に向上している点は印象的。
Split | ERA | G | IP | H | HR | BB | SO | WHIP | SO9 | SO/W |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
April/March | 3.16 | 5 | 31.1 | 28 | 4 | 2 | 31 | 0.957 | 8.9 | 15.50 |
May | 2.18 | 5 | 33.0 | 19 | 5 | 9 | 31 | 0.848 | 8.5 | 3.44 |
June | 1.85 | 6 | 39.0 | 24 | 4 | 11 | 39 | 0.897 | 9.0 | 3.55 |
July | 1.67 | 5 | 32.1 | 20 | 0 | 9 | 38 | 0.897 | 10.6 | 4.22 |
August | 1.50 | 2 | 12.0 | 9 | 0 | 7 | 13 | 1.333 | 9.8 | 1.86 |
コメント
スピンレートってどこのサイトで見れるんですか?
ググれカス