今年も1年後(2024年シーズン終了後)にFAとなるプレーヤーを先取り。
見込まれる契約総額を順に並べたランキング形式とし、今回は第1弾として野手の10人取り上げます。
- 年齢は2025年4月1日時点のもの
- 2024年シーズンにおいて過去2年シーズン(2022~2023年)の平均値程度の成績を残すと仮定した上で予想契約を決定
- 考慮するのが面倒なためオプションやらオプトアウト権は省略
(今オフの補強戦線がひと段落したタイミングで、FA市場の傾向を踏まえて追記・修正予定。)
目次
10位:アントニー・サンタンデル
Anthony Santander:BAL:30歳5ヶ月:RF
予想契約:5年 7000万ドル
[年平均 1400万ドル]
年度 | rWAR | fWAR |
2022 | 2.1 | 2.6 |
2023 | 3.0 | 2.6 |
平均 | 2.6 WAR |
Avisail Garcia以上、Nick Castellanos未満といった感じで、典型的なミドルクラス契約に落ち着きそう。
実際は1.5歳若いAlex Verdugoの方が上位契約を手にする可能性が高いはずですけど、Verdugoの場合は2022年成績が酷いため、ミドルクラス契約を到底見込めるような平均成績ではありません。
9位:ポール・ゴールドシュミット
Paul Goldschmidt:ARI:37歳5ヶ月:1B
予想契約:2年 7500万ドル
[年平均 3750万ドル]
年度 | rWAR | fWAR |
2022 | 7.5 | 7.0 |
2023 | 3.4 | 3.7 |
平均 | 5.4 WAR |
過去2年シーズンの平均成績となると彼の場合はフルシーズン出場&150 wRC+。それだけの数字を残せば野手版Verlander、ScherzerとしてAAV$40M前後の複数年契約を手にするはずです。
ただ実際の話、150 wRC+は彼の約85パーセンタイル予測成績であり、50パーセンタイルは125~130 wRC+。そもそもxwOBAは過去2シーズンとも全く同じ数字(.367)。
今オフ中にエクステンションを話し合う予定との報道もありましたが、第一報以降は具体的な続報がありません。
8位:クリスチャン・ウォーカー
Christian Walker:ARI:34歳0ヶ月:1B
予想契約:4年 8800万ドル
[年平均 2200万ドル]
年度 | rWAR | fWAR |
2022 | 5.1 | 4.2 |
2023 | 3.8 | 3.8 |
平均 | 4.2 WAR |
1B/DHとして打撃力が特段優れているわけではないものの、レギュラー格No.1の守備力によって貢献度◎。
2022年オフに2歳上の年齢で3年$58.5Mを手にしたJose Abreuと比較すると、$100Mでも安いぐらいに感じますが、あれはHOUが狂っていただけなんで…。
7位:ホセ・アルトゥーベ
Jose Altuve:HOU:34歳10ヶ月:2B
予想契約:4年 1億2400万ドル
[年平均 3100万ドル]
年度 | rWAR | fWAR |
2022 | 5.1 | 6.6 |
2023 | 2.8 | 4.0 |
平均 | 4.6 WAR |
xwOBAやDRC+を踏まえると、現実的に過去2シーズンの打撃成績(164 wRC+⇒154 wRC+)の再現は難しいと思いますが、再現成功となれば2019年オフのJosh Donaldsonが比較対象に。
ちなみに、過去2シーズンの平均値は2024年シーズンの80パーセンタイル予測成績。つまり、Goldschmidtよりは再現性が僅かに上です。
また、同じく来オフFAとなるBregmanよりAltuveとのエクステンションを優先しているとの噂で、2023年シーズン開幕前には「このチームで現役を終えたい」と発言。
今回トップ10にランクインした選手の中では最もFA前にエクステンション契約を締結する可能性が高いのではないでしょうか。
6位:グレイバー・トーレス
Gleyber Torres:NYY:28歳3ヶ月:2B
予想契約:8年 1億6800万ドル
[年平均 2100万ドル]
年度 | rWAR | fWAR |
2022 | 4.1 | 2.9 |
2023 | 2.9 | 3.2 |
平均 | 3.3 WAR |
コロナ禍前はJeff Kent級への成長が期待されるも、伸び悩み70パーセンタイル程度の成績に収まっていますが、成績云々以前に何と言っても若い!
その若さによって2025年からキャリアエンドまでに約17WARが見込まれており、(大型契約の本来のベネフィットである)契約期間序盤における戦力の大幅な底上げこそ期待できないものの、$150M超の大型契約が相応しい存在。
ポジションは違えど今オフのCody Bellingerが比較対象になってくるのかなと。もっと遡れば悪名高きEric Hosmerも。
そもそも契約期間を10年程度まで伸ばし、AAVを引き下げた契約に落ち着く可能性が高いのかもしれません。
5位:キム・ハソン
Ha-Seong Kim:SDP:29歳5ヶ月:SS/2B/3B
予想契約:8年 1億8400万ドル
[年平均 2300万ドル]
年度 | rWAR | fWAR |
2022 | 5.0 | 3.7 |
2023 | 5.8 | 4.4 |
平均 | 4.8 WAR |
DRSが極端に高いためrWARがハネ上がり、それに吊られて2024年の仮想成績も高水準に。
MLB&NPBと比べてKBOのプレーヤーは衰えが早いとのリサーチもありますが、2024年シーズンに4.8WARを残した場合、2025年からキャリアエンドまでに19~22WARが見込まれます。(特殊なプレーヤーのため振れ幅大きめ)
これを金額に換算すると$230M程度。2024年オフFA市場においJuan Sotoに次ぐ数字です。
ただ、打撃成績より守備成績の方が衰えが急であることは様々なAging Curve研究で証明されており、FA市場で大型契約を手にした守備型プレーヤーはCarl Crawfordが最後。
Shin-Soo Chooの韓国人レコード(総額$140M)更新こそ確実とはいえ、現行契約期間に残したWARに見合う契約を手にする可能性は…。
4位:ピート・アロンソ
Pete Alonso:NYM:30歳3ヶ月:1B
予想契約:8年 1億9200万ドル
[年平均 2400万ドル]
年度 | rWAR | fWAR |
2022 | 4.4 | 3.8 |
2023 | 3.2 | 2.8 |
平均 | 3.6 WAR |
今オフから新たにScott Borasと代理人契約を結び、ディスカント無しの大型契約を狙う気満々。
2025年からキャリアエンドまでに12~13WARが見込まれており、金額に単純換算すると$150M未満ですが、1B/DHは他のポジションと比べWAR単価が高額となる傾向にあり、世間的にも$200M超を予想する声が多数。
RHB不利のシティ・フィールドを大の苦手としているため、移籍によって通常のPF比を上回る成績向上が期待でき、耐久性も申し分ありません。
3位:アレックス・ブレグマン
Alex Bregman:HOU:31歳0ヶ月:3B
予想契約:8年 2億2000万ドル
[年平均 2750万ドル]
年度 | rWAR | fWAR |
2022 | 4.5 | 5.5 |
2023 | 4.9 | 4.3 |
平均 | 4.8 WAR |
Kyle Tuckerより1年早く、そしてAltuveと同じタイミングでFAとなりますが、2人と同様に今オフに入ってからエクステンション交渉を行ったとの報道無し。Scott Borasが代理人ということでディスカウントも期待できないためか、反対にHOUはエクステンションを諦めているとの報道も。
SDPの低脳フロントを相手に馬鹿げたエクステンション契約を手に入れたManny Machadoは論外として、Bregmanより約13ヶ月年上のMatt Chapanが直接的な比較対象に。
2024年シーズンに4.8WARを残した場合、2025年からキャリアエンドまでに約16WARが見込まれ、これはChapmanより2~3WAR上位の数字ですから、Chapanの契約規模がフロアーとなることは間違いありません。
2位:ウィリー・アダメス
Willy Adames:MIL:29歳5ヶ月:SS
予想契約:9年 2億2500万ドル
[年平均 2500万ドル]
年度 | rWAR | fWAR |
2022 | 4.4 | 4.6 |
2023 | 3.0 | 3.4 |
平均 | 3.9 WAR |
2シーズン連続BABIPが下振れしたことで打撃成績は下降線をたどっているかのように見えますが、実際は平均超のxwOBAと球界最高級のSS守備を兼ね備える好選手。
打撃成績およびSS守備の水準、年齢、耐久性はDansby Swanson(7年$177M)に似通っており、他にも28歳シーズン終了後にFAとなったTrevor Story(6年$140M)やJabier Baez(6年$140M)が比較対象となり得ます。
また、2024年シーズンに4WAR弱を残した場合、2025年からキャリアエンドまでに約19WARが見込まれ、これはBaez以上、Swanson未満、そしてStoryと同等の数字。
だからといって、相場が総額$150M程度と取違えてはいけません。FA不景気時代のBaezとStoryには市場高騰を見据えたオプトアウト権が与えられており、Swansonも成績推移を理由に懐疑的な目を向けられ総額が抑え気味に。
MLB定着から一貫としてレギュラー選手の80パーセンタイル成績を残しているAdamesの場合は、総額$200M超えの契約規模を期待するのが自然ではないでしょうか。
1位:フアン・ソト
Juan Soto:NYY:26歳5ヶ月:LF/RF
予想契約:15年 5億4000万ドル
[年平均 3600万ドル]
年度 | rWAR | fWAR |
2022 | 5.6 | 3.9 |
2023 | 5.5 | 5.5 |
平均 | 5.1 WAR |
2024年オフ最大の目玉となるであろうJuan Sotoについては、よりロジカルなアプローチを。
まず、昨オフ以降に大型長期契約を結んだプレーヤーの契約総額と契約期間(年数)、そしてFanGraphs(Dan Szymborski他)が記事の中で公開した各プレーヤーのZiPS長期予測からWAR単価($million/WAR)を設定(年増加率は4%を採用)。
さらに、Dan Szymborskiが2022年トレード移籍の際に公開した2023年以降におけるSotoの長期予測をベースに、2023年シーズン成績と2024年シーズン仮想成績(過去2シーズンの平均値)を組み込み、2025年からキャリアエンド(40歳)までシーズン毎のWARを推算。
その結果が下表の通りです。
Year | Age | $million/WAR | WAR | $million |
2025 | 26 | 10.4 | 5.4 | 56.2 |
2026 | 27 | 10.8 | 5.4 | 58.4 |
2027 | 28 | 11.2 | 5.2 | 58.5 |
2028 | 29 | 11.7 | 4.9 | 57.3 |
2029 | 30 | 12.2 | 4.5 | 54.7 |
2030 | 31 | 12.7 | 3.9 | 49.3 |
2031 | 32 | 13.2 | 3.1 | 40.8 |
2032 | 33 | 13.7 | 2.4 | 32.8 |
2033 | 34 | 14.2 | 1.8 | 25.6 |
2034 | 35 | 14.8 | 1.3 | 19.2 |
2035 | 36 | 15.4 | 0.9 | 13.9 |
2036 | 37 | 16.0 | 0.6 | 9.6 |
2037 | 38 | 16.7 | 0.4 | 6.7 |
2038 | 39 | 17.3 | 0.0 | 0.0 |
2039 | 40 | 18.0 | 0.0 | 0.0 |
Total | 39.8 | 483.1 |
Aging Curveの頂点に接近し過ぎ去る20代後半の間は5WAR前後を残し、30代に入ると急激に衰えが進み、39歳でリプレイスメントレベルに達するイメージ。
結果として2025年からキャリアエンドまで約40WARが見込まれ、金額に換算すると$500M弱。
ただ、大幅な戦力の底上げへ繋がるだけでなく、通常の大型FA契約と異なりプライムタイムをカバーするものとなるため、実際の契約総額は換算額から割り増しした値を見積もるべきでしょう。
実際にSotoの最も適切な比較対象であるBryce Harperも、2018年オフに当時の相場から1割増しの大型契約を手にしています。
というわけで、上記の見積りをベースに、契約年数を引き延すことでAAVを抑える生涯契約を想定し、MLB史上最長契約(かつ実質的に史上最高額)となる15年・$540M(AAV$36M)と予想。
そして、バイアウト込みの球団オプションやオプトアウト権、契約金、後払い、出来高払いなどが組み込まれ契約年数と総額が前後するイメージ。
(本来なら後払いについて検討すべきでしょうが、ニワカのオモチャとなった同契約形態には触れたくありません。)
ただ、この場合に問題となるのは守備成績。今回設定した仮定の上では、3シーズン連続でワースト級のRF/LF守備成績を残すことになるわけで、そうなると1BへのコンバートやDH専へのリスクが取り沙汰されるはず。
選球眼が優れたバッターは統計的に衰えが緩やかである点、大きな故障を経験していない抜群の耐久性などポジ要素によって、ポジショナルバリューの低下リスクはある程度相殺されるかもしれませんが、やはりStantonやHarperの現状を見せつけられると…。
まあ、そもそもSavantのFielding Runが極端に悪いだけで、DRSやDRPは平均を少し下回る程度の水準ですけど。
また、あくまでも上記は来シーズンにおいて過去2シーズンの平均成績(5.1WAR・150 wRC+)を残すと仮定した上での話。
20代後半のプライムタイムを迎えるため、実際はより上位の数字が見込まれており、Steamerでは”6.6WAR・170 OPS+”、ZiPSでは”5.8WAR・162 OPS+”、PECOTAでは”6.3WARP・162 DRC+”の予測
5.1WAR・150 wRC+のAS級ナンバーですらSotoにとっては25パーセンタイル予測成績にしか過ぎません。
よって、よりノーマルな50パーセンタイル予測成績についても追加検討を行ってみましょう。
とは言っても、行うことは単純。
3つのプロジェクション・システムの平均値6.2WAR(165 wRC+程度)を2024年シーズン成績と仮定し、再び2025年からキャリアエンド(40歳)までシーズン毎のWARを推算するだけで、その結果が下表となります。
(プロジェクション・システムごとにWARのフレームワークが異なる点については容赦ください。)
Year | Age | $million/WAR | WAR | $million |
2025 | 26 | 10.4 | 6.0 | 62.4 |
2026 | 27 | 10.8 | 5.9 | 63.8 |
2027 | 28 | 11.2 | 5.7 | 64.1 |
2028 | 29 | 11.7 | 5.4 | 63.2 |
2029 | 30 | 12.2 | 4.9 | 59.6 |
2030 | 31 | 12.7 | 4.3 | 54.4 |
2031 | 32 | 13.2 | 3.4 | 44.7 |
2032 | 33 | 13.7 | 2.6 | 35.6 |
2033 | 34 | 14.2 | 2.0 | 28.5 |
2034 | 35 | 14.8 | 1.4 | 20.7 |
2035 | 36 | 15.4 | 1.0 | 15.4 |
2036 | 37 | 16.0 | 0.6 | 9.6 |
2037 | 38 | 16.7 | 0.4 | 6.7 |
2038 | 39 | 17.3 | 0.0 | 0.0 |
2039 | 40 | 18.0 | 0.0 | 0.0 |
Total | 43.6 | 528.7 |
2025年からキャリアエンドまでについて、前回から+3.8となる43.6WARが見込まれ、換算金額は$500Mを軽くオーバー。
これほどの水準に達すれば、いよいよ15年・$600M(AAV$40M)が現実となり得るのではないでしょうか。
ちなみに、21世紀において26歳シーズン以降に40WAR前後を記録した外野手にはMatt Holliday(41.3 rWAR)、Curtis Granderson(41.8 rWAR)、Brett Gardner(40.8 rWAR)、Vladimir Guerrero Sr.(40.0 rWAR)、Jose Bautista(39.0)らがいます。
ちなみに、The AthleticのTim Brittonも異なるメソッドを用いて14年・$540M(AAV$38.6M)と推定していますね。
コメント
とはいえ金も人気もある割にFAになった大物選手との再契約の実績がほぼないHOUは、例えアルトゥーベであっても話がもつれたらあっさり再契約を見送りそうですけどね。Dubonもいることですし。ValdezやB.Abreu、Pena、Y.Diazにお金を使いそう。
前文は分かりますけど、後文は同意しかねます。
素晴らしい分析だと思います。正直難しくてついていけないというか、ある数字に基づくアプローチなので、そのまま理解できないところも心情的に入ってしまうのでしょうが、こうした分析自体は素晴らしいですし、面白いです。
個人的には、ソトは安定してある程度いい結果を出している打者ではあるが、お金への執着が強く、現エンジェルスのレンドンのように、大型契約したらあとはのらりくらり的な選手生活・安全なプレーをするような選手である気がしています。球団側はそうした性格的な要素は考慮するところと、そうでないところあるのでしょうが、個人的には長期契約はリスクが特に大きい選手かなと思います。
選手のピークはいつかわかりませんし、さらに良くなる可能性もあれば、よくならないこともありますが、ソトはジャッジや大谷翔平、ベッツ、といったベンチ内でもチームの中心メンバーになる感じはしないので、短めの契約で、レンドン程度、長期であれば、スタントンくらいが本来目安かと思います。
今期のヤンキース内での活躍で評価はさらにインフレする気もしますが、そもそも過大評価の選手かと思います。おそらく多くの球団は、いい選手でほしいけど、長期で高額の契約をしてまでほしいと思うようなチームはおそらく2~3球団かと。そうすると、本来そこまで高騰しなくてよさそうだが、代理人もまたがめついので、そこが厄介ですね。
ボラスが代理した選手は吉田選手も含め、金額以上の活躍をしている選手はほとんどいないのではないでしょうか。
ボラスのお抱えで、昨年のFAは大型契約を逃した選手が複数名いたと思いますが、球団側もさすがに気づいてきているのでしょうか。
統計を見てみたいものですが、彼のお抱え選手は実力以上の値段になって、球団側は損をしていると思うし、それに気づいて、ソトの契約も法外なものはやめてほしい。
大谷翔平の契約金を現在価値であっても抜くような契約は、おかしいし、もっと言えば、ジャッジ以上にいい条件を出すのはヤンキースも避けると思う。それは山本由伸の入札でもコールの年俸が基準に合ったように。
スタントン以上なら過大評価されてるかなとおもうし、パドレスのタティスJrはソトよりいいんじゃないかと思うくらいなので、タティスJrも一つの基準だが、スタントンもタティスJrも同じくらいなので、そのあたりを超えたら単純に過大評価されすぎだと思う。
なんJのコピペか何か!?