スティーブン・ライディングス
25歳/203cm・99㎏/右投リリーフ/ニューヨーク州出身/AA
2016年ドラフト8巡目(カブス:全体254位:契約金12万ドル)
フォーシーム : 65/70 (平均97~98マイル、最速101マイル)
スライダー : 35/45 (平均86~88マイル)
チェンジアッップ: 25/30 (平均86~87マイル)
コマンド : 40/45
総合 : 30/35
高校時代は198㎝の巨漢(現在は203㎝)を誇りながらも最速86マイル程度と球威に欠け、各大学から野球選手としての奨学金オファーはゼロ。結果として、NCAA3部に属するペンシルベニア州の弱小大学ハバフォードに入学。高校時代は高身長を活かしてバスケットボール部にも所属していて、ハバフォード大のバスケットボール部コーチからも勧誘を受けたとのことですが野球に専念するため断ったとのこと。
すると、ハバフォード大に入学後は順調に球速が伸びドラフト対象となる3年生時(2016年シーズン)には最速96マイル(一度だけ98マイルを計測)、平均90マイル台前半を計測するピッチャーへと変貌を遂げました。
とは言え、制球が悪くレベルの低いNCAA3部においても投球成績が抜けていたわけではありませんが、ポテンシャルを評価されたのかカブスから8巡目と予想以上の高い評価を受けてプロ入り。
Year ▲ |
Age | Tm | Lg | Lev | Aff | ERA | G | GS | IP | H | HR | BB | SO | WHIP | BB9 | SO9 | SO/W |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017 | 21 | Cubs | ARIZ | Rk | CHC | 4.09 | 12 | 8 | 22.0 | 17 | 1 | 20 | 26 | 1.682 | 8.2 | 10.6 | 1.30 |
2018 | 22 | Eugene | NORW | A- | CHC | 4.15 | 22 | 0 | 34.2 | 29 | 4 | 15 | 44 | 1.269 | 3.9 | 11.4 | 2.93 |
2019 | 23 | Idaho Falls | PION | Rk | KCR | 5.91 | 13 | 11 | 56.1 | 48 | 6 | 29 | 88 | 1.367 | 4.6 | 14.1 | 3.03 |
2021 | 25 | Somerset | AANE | AA | NYY | 0.00 | 5 | 0 | 6.2 | 2 | 0 | 1 | 12 | 0.450 | 1.4 | 16.2 | 12.00 |
All | All | All | 4.74 | 52 | 19 | 119.2 | 96 | 11 | 65 | 170 | 1.345 | 4.9 | 12.8 | 2.62 |
しかしながら、6月のドラフト契約直後に右肘を痛め即刻でトミー・ジョン手術を受けるハメとなりプロ生活のスタートは最悪なものに。2017年シーズン終盤の復帰後もイニング数に近い四球を許すなど結果を残すことはできず。
それでも2018年からはリリーフに転向したたことで投球内容が向上し常時90マイル台中盤を計測。それに目を付けたロイヤルズが2018年オフにドニー・デウィースとのトレードで獲得し先発に復帰することとなりますが、2019年シーズンはルーキーリーグですら結果を残せず、2020年11月にはロイヤルズ傘下からリリースされマイナーリーグFAに。普通であればルーキーリーグですら通用しなかった25歳がマイナリーグからおさらばとなるのは既定路線だったはずで、本人も独立リーグ移籍を覚悟したとインタビューで語っています。
ただ、ライディングスはコロナ休止中の間にマックス・シャーザーやコーリー・クルーバーを顧客に持つ著名トレーニング施設クラッシー・スポーツ・パフォーマンス(CSP)にてトレーニングを行っていて、CSPの指導により2020年中(恐らく終盤)には最速100.3マイルを計測するなど実戦から離れた場所で大きく成長。そして、CSPがヤンキースのスカウトに100マイル近くを連発するライディングスの投球映像を提供すると、正月明け早々にライディングズのヤンキース傘下入りが決定。リリースからたった1ヶ月ちょっとでプロの世界に舞い戻ることとなりました。
さらに、マイナリーグの春季キャンプでは100~101マイルを連発しAAの開幕ロースター入りを果たすと、本記事の執筆時点までで5試合・6.2回を投げ被安打2・奪三振12・与死四球2とAAの打者を圧倒中。
ちなみに、CSPの創設者であるエリック・クラッシーはライディングスのヤンキース傘下入りが決定する数日前にヤンキースにスタッフとして雇われていたり、投手コーチのマット・ブレイクはCSPで7年間トレーナーを務めた過去を持っていたりとCSPとヤンキースはズブズブの関係。ライディングスの獲得に関してもヤンキースがCSPから依怙贔屓を受けていたのではと勘繰ってしまいましたよ。
A big congrats to #cspfamily athlete @ridings17 on signing as a minor league free agent with the Yankees! Steve put in tons of hard work in 2020 to turn himself into a triple digit arm with some electric secondary offerings. Big things ahead! 🔥👏 pic.twitter.com/zKregnZxfp
— Cressey Sports Perf (@CresseySP) January 22, 2021
フォーシーム :65/70(平均97~98マイル、最速101マイル)
スライダー :35/45(平均86~88マイル)
チェンジアッップ:25/30(平均86~87マイル)
今季のAAでの登板ではコンスタントに100~101マイルを計測。2回を無失点に抑えた5登板目のみ試合中継にて球速表示があったので球速集計を行いましたが、フォーシームを19球投げ平均98.3マイル・最速101マイル(100マイル以上を3度)を叩き出していました。また、AA公式戦ではStatcastが導入されていない若しくは導入されていてもデータが公表されていないためスピンレイトは不明ですが、CSPにおけるトレーニングではラプソードにて2500rpm前後を計測し回転軸角度も理想的なものでした。
また、203㎝と高身長&オーバースローのおかげで角度があるだけでなく投球フォームのストライドが広くリリースポイントが打者に近いため体感速度も相当なはず。
変化球はスライダーとチェンジアップの2種類。80マイル台後半を計測するスライダーはカーブと見間違えるほど変化が大きいものの打者が見切りやすい球である印象。チェンジアップはスライダーと球速帯が同じですが変化はイマイチで空振りを奪うような球には見えませんでした。
コマンド : 40/45
故障リスクが高いとされる逆W字型のテイクバックで投げる点は不安要素で実際にトミー・ジョン手術を受けた過去がありますが、CSPにてフォームの改造を行ったとのこと。
大学時代から制球難に苦しんできたはずのピッチャーですが、そのフォーム改造が功を奏したのか今シーズンはまるで別人のようにコマンドが安定。2018~2019年は63.5%程度だったストライク率は今季72.8%まで10%近く向上。
私はここまでライディングスの全登板を視聴しているのですが、確かにフォーシームがすっぽ抜けることこそ時折あったものの、ほとんどの場合はコーナーのミートボールゾーン外に決まっていて、とてもではありませんが制球に難のあるピッチャーには見えませんでした。
強いて言えば、スライダーをよりストライクゾーンからボールゾーンへ逃げるようなコースへコマンドできれば・・・。
あと、試合映像を見る限りでは対戦打者に対しケンカ腰の態度を取ることが多く、チームメイトのインタビューを踏まえると性格に難がある選手だと思われます。
Stephen Ridingsの1イニング目のピッチング(三者三振) https://t.co/tP93PJa0oY pic.twitter.com/6daGvmXRXx
— Fordy Ballgame (@ironhorse0619) May 20, 2021