マイケル・キングの右肘骨折によりクレイ・ホームズと並ぶリリーフエースを失ったヤンキース。
兼ねてからトレード流出が確実的だったカブスのデビッド・ロバートソンが最有力ターゲットと捉えられていましたが、実際にヤンキースがカブスから獲得したのはヤンキース職員から嫌われている屑のロバートソンでなく同チームのセットアッパーを務めるスコット・エフロスでした。
対価としてヤンキースが差し出したのは傘下AAA球団のエースピッチャーであるヘイデン・ウェズネスキ。一部のエバリュエイターからは傘下No.1投手プロスペクトとの評価も受けるMLB昇格目前のハイフロアーな先発右腕です。
ヤンキース | 🔁 | カブス |
スコット・エフロス | ヘイデン・ウェズネスキ |
エフロスは既に28歳ながらも今シーズンが初のフルシーズンとなるルーキーですが、リリーフエースとしての地位を早くも確立。
Statcastスタッツ信者もニッコリの数字が並ぶ球界屈指のウィークコンタクト・プロデューサーであり、これまで奪三振能力が高いハードボーラータイプのリリーバーを好んできたヤンキースにとって一流の軟球派リリーバーは晩年のマリアーノ・リベラ以来。
その変則的な投球スタイルのおかげかセンター方向への被打球が非常に多く、GG級のセンター守備を誇るハリソン・ベイダー獲得によってセンターラインが強化された守備陣や両翼が狭い本拠地にマッチするのではないでしょうか。
ただ、イレギュラーなアームアングルとナスティなピッチは審判の目も狂わせているのか有利なストライク/ボール判定を受けることが多いピッチャーでもあり、数年後の機械審判導入によってハンデを失うことになるかも。
登板数 | 投球回 | 防御率 | K/9 | BB/9 |
47 | 44.0 | 2.66 | 10.2 | 2.3 |
WHIP | wOBA | xwOBA | FIP | cFIP |
1.07 | .245 | .234 | 3.18 | 80 |
DRA | SIERA | rWAR | fWAR | WARP |
3.49 | 2.79 | 0.9 | 1.2 | 0.9 |
雑感
保有期間を5年以上も残しているだけにロバートソンやマイケル・ギブンズ、クリス・マーティンのように放出せず次のコンテンド期まで残しておくことも出来たはずですが、流石に28歳オールドルーキーの売り時を逃すようなマネはやりませんでしたね。
実力的にはマイケル・キングの穴を埋めるのに十分なリリーバーで、28歳とは言え投球スタイルが長持ちしそうなタイプなだけに残り5年以上の保有期間は非常に魅力的。2015年のプロデビューから故障者リスト入りは2019年シーズンの1度だけと非常にタフなプレーヤーでもあり、タイプこそ違えどチャド・グリーンのようなキャリアを歩んでくれれば🥰🥰🥰
もちろんウェズネスキも上位のコンテンダー以外では先発4~5番手を務められるであろうハイバリューなプロスペクトですが、彼1人との交換でこのクラスの新人リリーバーを獲得できるんですから、30代のチャップマンやらブリットンやらに大金を叩いたのはホント馬鹿らしいよな~。もう2度とあんな愚行やるなよ。
ヘイデン・ウェズネスキについて
ヘイデン・ウェズネスキ
24歳8か月:右投先発:AAA
選手ページ:MiLB公式・Baseball Reference・FanGraphs
2022年夏ランキング:第12位
FB | SL | CH | CT | Cmd |
55 | 55 | 40 | 40 | 40 |
FB/be | FB/vel | SL/vel | CH/vel | CT/vel |
98.7 | 93~94 | 80~82 | 86 | 84~86 |
コロナ休止中にトレーニング施設にて大きな成長を遂げ、プロ入り後初のフルシーズンとなった昨シーズンはとんとん拍子でHigh-A → AA → AAAとクラスアップ。
AAAで開幕を迎えた今シーズンもその勢いは止まらず、所属チームのエースピッチャーとして開幕から好投を続けるも、選手層の厚いヤンキースではMLB昇格のチャンスを与えられることはありませんでした。もちろん、カブス移籍によってこの後半戦中にMLBデビューを果たすはず。
変則的なスリークォーターからフォーシーム、ツーシーム、カットボール、2種類のスライダー、チェンジアップの6球種を投げ分ける本格派で、今シーズンは昨シーズンと比べ変化球のコマンドにおいて一定の成長を披露。
個人的には6球種の中からクオリティが高くコマンドの優れた球種だけに絞らないとMLBでやっていけないと思いますが、豊富なスタミナと高い耐久性は彼のフロアーを大きく引き上げています。