アンドリュー・ベニテンディ、フランキー・モンタス、スコット・エフロスの獲得はサプライズ感に欠ける置きに行った補強でしたが、ジョーダン・モンゴメリーとハリソン・ベイダーの1:1交換をブっ込んでくるとは流石に思いませんでした。しかもトレードデッドラインの約10分前ギリギリのタイミングで。(正確にはヤンキースはベイダーに加えて後日指名選手 or キャッシュを獲得)
個人的に兼ねてからベイダーのファンであるため損得抜きで今回のトレードには好印象を抱いているのですが、こんなクレイジームーブかます暇があるならアンドゥハーとフロリアルを捌けよと。なしてこのトレードデッドラインでも生き残ってんねや。
ヤンキース | 🔁 | カージナルス |
ハリソン・ベイダー | ジョーダン・モンゴメリー | |
後日指名選手 or キャッシュ |
MLBでも1・2位を争うセンター守備を誇るスピードスターのハリソン・ベイダーは、健康体であればシーズンWAR 3~4を稼ぎ出すブレット・ガードナーライクなプレーヤーですが、如何せん故障が多く今シーズンも6月終盤から右足の足底筋膜症により離脱中。
復帰は早くとも今月の下旬となるものの、度重なる故障によって武器であるスピードは緩やかな劣化を見せており、生命線である足を痛めた(ましてや厄介な足底筋膜症を患った)今後は劣化スピードがアップする可能性も。まあ、2019年にも足はケガしてるけどもさ・・・。
バッティング面では、三振も厭わない豪快な大振りのスイングが魅力のバッターのはずでしたが、今シーズンはよりコンタクト志向を強め、それがパワーナンバーの低下につながっているよう。
「Hit Strikes Hard」をスローガンとするヤンキースにて、それに反し現在の路線を貫くのか、それともスローガンに沿って昨シーズン以前のスタイルに舞い戻るのか注目です。
ちなみに、今シーズン開幕直前にFA前最後の2シーズン(2022~23)をカバーする総額1040万ドルの2年契約を結んでおり、今シーズンと来シーズンのベース年俸は共に470万ドル(契約金が100万ドル)。さらに、来シーズンはベース年俸470万ドルに加え出場試合数または打席数に従う出来高払い最大450万ドルが設定されているとのことで、単にリーズナブルなだけでなくスぺ体質に対するリスクヘッジもバッチリ。
試合数 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
72 | .256 | .303 | .370 | .673 |
wOBA | wRC+ | xwOBA | DRS | UZR+OAA |
.296 | 131 | .286 | +11 | +5 |
BsR | SS | rWAR | fWAR | WARP |
+4.6 | 29.2 | 1.2 | 1.5 | 1.3 |
ジョーダン・モンゴメリーは今シーズンからピッチングスタイルを大きく変更。シーズン序盤はそれがハマり好投を続け、来シーズン終了後にFAとなることからエクステンションを望む声もありましたが、シーズン中盤に入ると風向きが変わり投球成績が緩やかながらも悪化。
ただ、それでもジェイムソン・タイロンと比べれば不調の波は小さく、ルイス・セベリーノのポストシーズン出場が???となった今では、コール→モンタス→コルテズに続くラストピーすとしてポストシーズン中の先発ローテ入りが期待されていた存在。
ただ、今シーズン年俸が600万ドル、来シーズンの予測年俸が約1000万ドルとベイダーよりは高値であり、来シーズンの成績期待値はほぼ互角。ベイダー復帰までの1ヶ月間を差し引いてもバリューはモンゴメリーの方が僅かに下ではないでしょうか。
雑感
開幕ローテの5人以外にはクラーク・シュミットやドミンゴ・ハーマンなどフリンジレベルの先発投手しか残っておらず、ケン・ワルディチャクやヘイデン・ウェズネスキなど上位階級の先発投手プロスペクトを整理し尽くしたヤンキースにとって、良くも悪くも堅実なモンゴメリー放出は大きなギャンブル。
そもそも、トレード締結がデッドライン直前だったということもあり、ベイダーの症状の現状を十分に把握できているのか疑問です。
しかしながら、来シーズンまで目を向けると、先発投手と比べ補強が難しいセンターにコスパ〇のベイダーを確保した点は👍。別に今シーズン中に復帰できなくたってジャッジをセンターに留めておけばいいだけの話ですからね。
まあ、打撃成績にしか興味がない大半のヤンカスにとってはベイダーの魅力など理解できないでしょうし、またモンタスが故障 → シュミット辺りがポストシーズンで先発を務めることになって、数か月後にはクソほど今回のトレードが叩かれてそうだけど。
今回のトレードデッドラインを総括すると、スタントンの急な故障者リスト入りにより仕方が無かったベニテンディ獲得は別として来シーズンも年俸がリーズナブルなプレーヤー(モンタス、エフロス、ベイダー)確保を重視した自分好みの補強が行われており、リソース(プロスペクト)の割き方が気に喰わなかった昨シーズンより数段も満足感アリ。
もちろんアンソニー・ボルピやオズワルド・ペラザ、ジェイソン・ドミンゲスなどトッププロスペクトを温存した点もプロスペクト好きとしてはポジ要素。
アンドゥハーやフロリアルの売り時を逃した点は全く許容できないけどさ。
これで来シーズンの確定済み贅沢税対象総年俸(年俸調停選手含む)は約1億9500万ドル、贅沢税ライン2億3200万ドルまでは約5000万ドル弱となりますが、補強が必要なポジションはファースト、両翼、先発4~5番手の5つ。
何れも補強のハードルが低いポジションであり、ジャッジに超大型契約でも与えない限り丸く収まりそう。