兼ねてからジョーイ・ギャロのスランプにより外野手補強が予想されていたヤンキースですが、クソみたいな成績のくせに無駄に健康体なギャロを尻目にジャンカルロ・スタントンが今年2度目の故障者リスト入り。
後半戦に入り大きくパフォーマンスを落としているチームにとってティム・ロカストやらエステバン・フロリアルやらでお茶を濁す暇はなく、あっさりとアンドリュー・ベニンテンディのトレードをまとめてしまいました。
ヤンキース | 🔁 | ツインズ |
アンドリュー・ベニンテンディ | T.J・シッケマ | |
ベック・ウェイ | ||
チャンドラー・チャンプレイン |
ヤンキースは対価として3人のミドルクラス投手プロスペクト(T.J・シッケマ、ベック・ウェイ、チャンドラー・チャンプレイン)を放出。
3人の詳細なプロフィールについては本記事後半で取り上げて(プロスペクトランキング記事からコピペして)います。
今回獲得したアンドリュー・ベニンテンディは、レッドソックスから厄介払いされ行き着いたロイヤルズにてフォーム改造を行い、FA前最終年となる今シーズンにタイミング良く復活。
バビって首位打者争い(打率リーグ3位の.320)に加わっている点は知ったこっちゃありませんが、全体的な打撃成績はグレイバー・トーレス以上DJ・ラメイヒュー未満と上々の数字で、ヤンキース打線に置いてもリードオフや中軸を担うことができるバッター。
ただ、コンタクト志向のスプレーヒッティングと平均超のスピードによりシングルと二塁打を量産するアへ単気味の彼がヤンキー・スタジアムに適したタイプとは思えず、昨シーズン中に獲得したアンソニー・リゾーやジョーイ・ギャロと正反対のタイプであることは興味深い。
キャリアを通して左投手を苦にしていますが、恐らく左投手をカモにしているDJ・ラメイヒューと共にリードオフのプラトーン起用を受けるのではないでしょうか。
試合 | 打席 | 本塁打 | wRC+ | xwOBA | rWAR | fWAR |
93 | 390 | 3 | 126 | .337 | 2.0 | 2.4 |
トレードの良否について
シーズン残り約60試合でベニテンディが残すであろうWARは1.0前後。トレードデッドラインにおいてこの数字を金額に換算すると1000万~1200万ドル。
今季年俸850万ドルのうちヤンキースが負担する額は約320万ドル。
つまり、今回のトレードデッドラインにおけるベニテンディのトレードバリュー(市場価値)は700万~900万ドル程度ということになります。
そして、対価として差し出したプロスペクト3人は全てFV40程度であり、金額に換算すると1人当たり200~300万ドル、3人合計で600~900万ドル程度。
単純な損益計算上では「ベニンテンディのトレードバリュー」≒「プロスペクト3人のトレードバリュー」となる対価なトレードと言わざるを得ません。
また、ホアン・ソトの存在により忘れられがちですが、今回のトレードデッドラインは野手が不足気味。その中でローリスキーかつ低コストなため多くのチームが興味を示していたベニテンディを先手必勝により囲い込んだ点はポジティブに捉えるべきですし、今後の外野手市場はソトの存在によってカオス化するだろうねと。
さらに、今シーズンのヤンキースは投手プロスペクトの育成に顕著な成功を収めており、保有期間を長く残す投手がロースターの大半を占めるヤンキースにとって今回放出した投手プロスペクト達は余剰気味となっていたメンバー。
ただ、来年以降にルール5ドラフト対象となるベック・ウェイやチャンドラー・チャンプレインではなく、ジョニー・ブリートやマット・サウアー、エドガー・バークレーなどT.J・シッケマのように今シーズン終了後にルール5ドラフト対象となる投手プロスペクトを出来るだけ駒にして欲しかったなと。
シーズン終了後にはアーロン・ジャッジが流出するであろうということ、今オフのFA市場が外野手不作であること、ジェイソン・ドミンゲスやスペンサー・ジョーンズ、エバーソン・ペレイラなど外野手のトッププロスペクトがMLB定着まであと何年も必要な選手ばかりであることを考えると、レンタル補強ではなく保有期間複数年の選手を獲得する方が理想的だったとも思いますが、ロースター枠拡大に伴う売り手の減少により選択肢が限られていたのでこの点は致し方ないのかな?
まあね、この程度の選手を獲ったところでヤンキースなんてアストロズに捻り潰される運命なんだから一喜一憂するだけ無駄よ無駄!
結論:ブレット・ガードーナーとの再契約が最適解💮
放出した3人のプロスペクトについて
T.J・シッケマ
24歳0か月:左投先発:High-A
選手ページ:MiLB公式・Baseball Reference・FanGraphs
2022年夏ランキング:第26位
FB | SL | CB | CH | Cmd |
50 | 50 | ー | 40 | 45 |
FB/be | FB/vel | SL/vel | CB/vel | CH/vel |
96 | 93~95 | 81~83 | ー | 85~86 |
この5月に2019年夏以来3年ぶりとなる実戦復帰を果たした2019年ドラフト全体38位指名。
この3年間の故障を経て球速が数マイル上昇し、通常のスリークォーターだけでなくサイドスローもミックスするなど技巧派投手として投球スタイルの幅も拡大。
決め球のスライダーとコマンド&コントロールの完成度も高く、今シーズンは復帰明けということもあり球数制限を掛けられているものの、このままシーズンを終え耐久性を証明することができれば、来シーズンは一気にマイナーの階段を駆け上っていくことでしょう。
ピッチングのクオリティだけを考慮すれはFV45評価を与えるべきでしょうが、耐久性への懸念から第26位・FV40としています。
28位:ベック・ウェイ
23歳0か月:右投先発:High-A
選手ページ:MiLB公式・Baseball Reference・FanGraphs
2022年夏ランキング:第28位
FB | SL | CT | CH | Cmd |
60 | 55 | 35 | 45 | 40 |
FB/be | FB/vel | SL/vel | CT/vel | CH/vel |
101 | 95 | 82~84 | 86~87 | 86~87 |
2020年ドラフト4巡目指名選手。
高速シンカーはプロ入り後に球速が大きく伸び現在は最速101マイル・常時95マイル前後を計測していますが、スピンと変化量に欠けるためクオリティはさほど。空振りを奪えるようなピッチではないにもかかわらず高めへ投じられてしまうことが多く、High-A昇格後に発症している一発病の原因はコレ。
プラスピッチに近いスイーパー、成長を見せているチェンジアップのコンビネーションも魅力的ではあるものの、将来、先発投手としてMLBでプレーする可能性は低いでしょう。
32位:チャンドラー・チャンプレイン
23歳0か月:右投先発:Low-A
選手ページ:MiLB公式・Baseball Reference・FanGraphs
2022年夏ランキング:第32位
FB | SL | CB | CT | Cmd |
45 | 50 | 55 | 35 | 40 |
FB/be | FB/vel | SL/vel | CB/vel | CT/vel |
98 | 94 | 84 | 78 | 87 |
昨年のドラフト9巡目にて指名した大卒投手ですが、プロ入り後に大きく球速が伸び評価も急上昇。
角度のあるオーバースローから投げ込まれる最速98マイル・平均94マイルのフォーシームは回転効率が高く、試行錯誤を続けているジャイロ・スライダーも伸び代をまだ残している印象。
また、回転方向がトップスピンに近く縦変化量の大きなカーブは打者の左右関係なく機能するプラスピッチ候補で、3ピッチの完成度とポテンシャルは9巡目指名のものと思えません。
習得したばかりのカットボールやプロ入り後に投球を止めたチェンジアップの行方によっては、先発ローテ4・5番手級まで成長する可能性も。