史上最低の視聴者数を叩き出し興行として大失敗に終わったワールドシリーズが終了したタイミングで、今年もヤンキースのチーム編成や選手年俸等の現状について記します。
数多くの8ケタ年俸選手がFA権を取得するに併せ、久々の大盤振る舞いが行われた昨オフと比べ、今オフはFA&契約満了選手も少なく、BALやTBR、TORへ追い付くような補強は期待薄。
目次
40人ロースター(現37人)
※青字は年保調停対象選手の予想年俸
投手(21人)
選手名 | 来季年俸 (万ドル) |
FA予定 |
ゲリット・コール | 3600 | 2028 |
カルロス・ロドン | 2783 | 2028 |
クレイ・ホームズ | 600 | 2024 |
トミー・ケインリー | 575 | 2024 |
ルー・トリビーノ*(1) | 410 | 2024 |
ネスター・コルテス | 390 | 2025 |
マイケル・キング | 260 | 2026 |
クレーク・シュミット | 260 | 2027 |
ジョナサン・ロアイシガ | 250 | 2024 |
アルバート・アブレイユ | 90 | 2027 |
スコット・エフロス | Min | 2027 |
ニック・ラミレス | Min | 2028 |
イアン・ハミルトン | Min | 2028 |
ロン・マリナチオ | Min | 2028 |
ルイス・ヒル | Min | 2028 |
ジョニー・ブリート | Min | - |
グレッグ・ワイサート | Min | - |
ランディ・バスケス | Min | - |
アンソニー・ミセビッチ | Min | - |
マット・クルック | Min | - |
ヨエンドリス・ゴメス | Min | - |
*(1) トミー・ジョン手術により2024年シーズン大半を欠場予定
捕手(4人)
選手名 | 来季年俸 (万ドル) |
FA予定 |
ホセ・トレビーノ | 270 | 2025 |
カイル・ヒガシオカ | 230 | 2024 |
ベン・ルートベット | Min | 2027 |
オースティン・ウェルズ | Min | - |
内野手(5人)
選手名 | 来季年俸 (万ドル) |
FA予定 |
アンソニー・リゾー | 1700 | 2024 |
グレイバー・トーレス | 1530 | 2024 |
DJ・ラメイヒュー | 1500 | 2026 |
アンソニー・ボルピー | Min | 2028 |
オズワルド・ペラザ | Min | - |
外野手(7人)
選手名 | 来季年俸 (万ドル) |
FA予定 |
アーロン・ジャッジ | 4000 | 2031 |
ジャンカルロ・スタントン*(2) | 2900 | 2026 |
ジェイク・バウアーズ | 170 | 2026 |
オズワルド・カブレラ | Min | 2028 |
エステバン・フロリアル | Min | - |
エバーソン・ペレイラ | Min | - |
ジェイソン・ドミンゲス*(3) | Min | - |
*(2) 実年俸3200万ドルのうち300万ドルを前所属マーリンズが負担。
*(3) トミー・ジョン手術により2024年夏に実戦復帰予定
アーロン・ヒックス
シーズン途中にクビを切るも、残り2年約1850万ドルはヤンキースが負担。
今オフFA(契約満了)選手
選手名 | 今季年俸 (万ドル) |
ジョシュ・ドナルドソン*(4) | 2175 |
ルイス・セベリーノ | 1500 |
フランキー・モンタス | 750 |
アイザイア・カイナー=ファレファ | 600 |
ワンディ・ペラルタ | 335 |
キーナン・ミドルトン | 80 |
ルーク・ウィーバー | - |
ザック・マカリスター | - |
*(4) 2023年シーズン途中にリリース済み。2024年球団オプションのバイアウト600万ドルはヤンキースが負担。
アウトライト・ウェーバー選手
今オフは既に6人のプレーヤーがアウトライトを受け退団予定。
選手名 | 来季年俸 (万ドル) |
FA予定 |
ドミンゴ・ハーマン | 440 | 2024 |
マット・ボウマン | 100 | 2025 |
ライアン・ウェバー | 90 | 2026 |
ジミー・コーデロ | 90 | 2027 |
フランチー・コルデロ | 170 | 2025 |
ビリー・マッキニー | 120 | 2026 |
ノン・テンダー候補選手
今年のノン・テンダー期限は11月17日。
今年の5月にトミー・ジョン手術を受けたばかりのトリビーノ、リプレイスメントレベル未満のパフォーマンスに終わったバウアーズが今後の有力な放出候補。
ウェルズのロースター入りにより捕手が4人となっていることから、保有期間を残り1年残すヒガシオカも放出を噂されていますが、彼自身の高いコスパを考えるとトレードならまだしもノン・テンダーによって放出されることはないでしょう。
そもそもロースター枠の確保に困ったらミセビッチやワイサート/クルックを切ればいいだけですからね。
選手名 | 来季年俸 (万ドル) |
FA予定 |
ルー・トリビーノ | 410 | 2024 |
カイル・ヒガシオカ | 230 | 2024 |
ジェイク・バウアーズ | 170 | 2026 |
ルール5ドラフト対象プロスペクト
プロテクトが確実なプロスペクトはビーターとラミレスの2人のみ。
MiLB全体最多の163イニングを投げシーズン終盤に好投を続けたスペンスが興味深い存在。
選手名 | クラス |
クレイトン・ビーター | AAA |
アグスティン・ラミレス | AA |
イライジャ・ダナム | AAA |
エドガー・バークレー | AAA |
カルロス・ナバエス | AAA |
マット・サウアー | AA |
ミッチ・スペンス | AAA |
ブランドン・ロックリッジ | AAA |
ヘスス・バスティダス | AAA |
チーム総年俸
人数 | 総額(ドル) | |
来季年俸確定 (贅沢税対象分) |
7 | 1億7060万 (1億6580万) |
年俸調停(予想) | 11 | 4460万 |
最低年俸 | ? | 780万 |
マイナーリーガー | ? | 250万 |
契約負担 (贅沢税対象分) |
2 (1) |
1480万 (930万) |
年俸合計 | — | 2億4000万 |
その他(福利厚生費) | — | 1700万 |
贅沢税対象 (AAV総年俸) |
— | 2億4700万 |
年俸制限 | — | 2億3700万 |
超過額 | — | ▲1000万 |
ピタゴラス勝率.483という本来ならGMを始めフロントを一掃すべき成績を残したにも拘わらず、サヨナラとなる高年俸選手がドナルドソンとセベリーノしかおらず、残念ながら今オフは確保できる予算が少なく補強の制限大。
状況としては2021-22年オフが近しい存在であり、当時は補強予算やロックダウンなど制限が多い中でドナルドソン、IKF、トレビーノなどトレード主体の補強を行い、2023年頓死の遠因を生みました。
ジャッジやリゾー、タイオンなど主力級が数多くFAとなった昨オフとは対照的に、FA権取得プレーヤーのほとんどが戦力として機能しなかったゴミばかりなのはせめてもの救いか。
年度 | 総年俸 | 総年俸 (贅沢税対象分) |
2019 | 2億1300万 | 2億3400万 |
2020 | 2億5100万 | 2億6400万 |
2021 | 2億200万 | 2億800万 |
2022 | 2億4900万 | 2憶6700万 |
2023 | 2億7900万 | 2億9400万 |
2024 (現時点) |
2億4000万 | 2億4700万 |
次に補強予算について。
2023年の贅沢税ライン4段階は$233M/253M/273M/293M(税率30%/42%/72.5%/80%)に設定されており、ヤンキースはAAV総年俸を最終ライン前後に。
2024年の贅沢税ラインは+$4Mの$237M/257M/277M/297M(税率50%/62%/95%/110%)となりますが、贅沢税率(CB TAX)とインフレ率(年間4%を想定)の上昇を考慮すると、2024年シーズン総年俸2億8500万ドル(AAV総年俸2億9200万ドル)の場合に、2024年におけるヤンキースの実質支払額が2023年とほぼ同額となります。
贅沢税率の上昇がインフレに相殺されるイメージですね。
これまで2018年、2021年に贅沢税リセットを行っているわけですが、今オフにリセットを目指すのであればトーレスやホームズなど主力級のサラリーダンプは必要不可欠で、過去2回のようにPSにコンテンドする戦力を維持したままのリセットはまず不可能。
シーズン途中ならまだしも開幕前にヤンキースが白旗を挙げたのは30年以上も前が最後のため、やはりペイロールカットは非現実的と考えるのが自然。
だた、シーズン終了後にFAとなる8ケタ年俸選手が2024年はトーレスとリゾー、2025年はラメイヒューしかいない中で、来オフ以降にリセットのチャンスが再び回ってくるとは考えづらく、PS収益を逃している点も踏まえ、嫌な予感がしないこともない。
まあ、そうなると逆に2008-09年オフのようなPS逸からの大補強が頭に過りますし、(別に毎年のことですけど)ファンベースもそれを期待していますが、スタインブレナーは先日の記者会見にて断固として大型補強を匂わせることはなく、散財を示唆するような球団内外のインサイダー情報も米メディアでは皆無。
そもそも、ルー・トリビーノとジェイク・バウアーズへノン・テンダーをかまし600万ドル弱を浮かせるべきですし、恐らくそうするでしょう。
というわけで、取り敢えず昨オフからペイロール実質額は変更なしと見做し、今オフ中の補強予算として2億9200万-2億4700万-600万≒5000万ドルを見込みむこととします。
リセットまで行かないにしても、税率が大幅に上がるうえにドラフト1巡目指名順位が10ランクダウンする贅沢税第3ラインの2億7700万ドルを上限とするのがチーム運営上では最も効率的かもしれませんけど…。
アクティブ・ロースター
野手
C :カイル・ヒガシオカ
1B:アンソニー・リゾー
2B:グレイバー・トーレス
3B:DJ・ラメイヒュー
SS:アンソニー・ボルピー
LF:エバーソン・ペレイラ
CF:エステバン・フロリアル
RF:アーロン・ジャッジ
DH:ジャンカルロ・スタントン
ベンチ
C :ホセ・トレビーノ
UT:オズワルド・ペラザ
UT:オズワルド・カブレラ
OF: - - - -
投手
先発
1:ゲリット・コール
2:カルロス・ロドン
3:クラーク・シュミット
4:ネスター・コルテス
5:マイケル・キング
リリーフ
1:クレイ・ホームズ
2:イアン・ハミルトン
3:トミー・ケインリー
4:ジョナサン・ロアイシガ
5:スコット・エフロス
6:ニック・ラミレス
7:ロン・マリナチオ
8:アルバート・アブレイユ
現時点で残留が見込まれるロースターメンバーでヤンキースのラインナップを組めば上記の通り。
本来なら開幕スタメンを務めるべきだったジェイソン・ドミンゲスがトミー・ジョン手術となり、数年前は最大の強みだったはずの外野デプスが完全に崩壊。リプレイスメントレベルを上回る選手はジャッジしかいません。
ガードナーがいた時代は良かったなぁ~。
内野は2.0 WARクラスの面子を揃えるも、大幅な成績向上の可能性があるのはボルピ―のみで、コンテンダーの平均水準を超えるのは困難。
投手陣ではキングを先発ローテに回すことで、相対的にブルペンの弱体化が進行。ヒガシオカとのトレードでリリーフを補強できれば…
チェイス・ハンプトンやドリュー・ソープなどトップ100クラスの先発プロスペクトがMLBへ到達することになるでしょうが、どっちみち先発ローテの可否はロドンの出来次第です。
82勝80敗と連続シーズン勝ち越し記録を30に伸ばしたとはいえ、MLB全体18位のピタゴラス勝率.481、MLB全体20位の28.9 rWARを残したヤンキースの実質戦力はMLB平均(中央値)未満。
BALやTBR、TORはおろかBOSすら上回るのは容易じゃないなと。
ただ、先にも述べたようにFA流出する面々の大部分を低成績プレーヤーが占めている点はポジ要素。
ファンベースでは山本 由伸で盛り上がっていますが、チーム全体で長期大型契約を5件、先発ローテだけで2件抱えているヤンキースにとって、年俸$25~30M×6~7年契約(+ポスティング料$30M前後)を見込まれる山本獲得は非効率かつ非現実的。
同じくファンベースが渇望しているコディ・ベリンジャーにも同じ事が言えますし、そもそも奴は地雷としか思えません。
それなら1年後FAとなるフアン・ソトに手を出す方がマシです。
ザック・ブリットン、J.A・ハップ、アダム・オッタビーノ、ラメイヒューなどを確保した2018-19年オフのように、ミドルクラスのFA契約を主体に頭数が揃っているプロスペクトを用いたトレードを組み合わせる中堅球団のような補強を個人的にはかましてほしい所ですが…
コメント
フロリアルとペレイラがスタメンってうんこすぎ