オフシーズン開始前にヤンキースの現状をおさらい:2023年版


2022-23年オフシーズンの開始前にヤンキースの現状をおさらいします。

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史上最低の視聴者数を叩き出し興行として大失敗に終わったワールドシリーズが終了したタイミングで、今年もヤンキースのチーム編成や選手年俸等の現状について記します。

数多くの8ケタ年俸選手がFA権を取得するに併せ、久々の大盤振る舞いが行われた昨オフと比べ、今オフはFA&契約満了選手も少なく、BALやTBR、TORへ追い付くような補強は期待薄。



40人ロースター(現37人)

※青字は年保調停対象選手の予想年俸

投手(21人)

選手名 来季年俸
(万ドル)
FA予定
ゲリット・コール 3600 2028
カルロス・ロドン 2783 2028
クレイ・ホームズ 600 2024
トミー・ケインリー 575 2024
ルー・トリビーノ*(1) 410 2024
ネスター・コルテス 390 2025
マイケル・キング 260 2026
クレーク・シュミット 260 2027
ジョナサン・ロアイシガ 250 2024
アルバート・アブレイユ 90 2027
スコット・エフロス Min 2027
ニック・ラミレス Min 2028
イアン・ハミルトン Min 2028
ロン・マリナチオ Min 2028
ルイス・ヒル Min 2028
ジョニー・ブリート Min
グレッグ・ワイサート Min
ランディ・バスケス Min
アンソニー・ミセビッチ Min
マット・クルック Min
ヨエンドリス・ゴメス Min

*(1) トミー・ジョン手術により2024年シーズン大半を欠場予定

捕手(4人)

選手名 来季年俸
(万ドル)
FA予定
ホセ・トレビーノ 270 2025
カイル・ヒガシオカ 230 2024
ベン・ルートベット Min 2027
オースティン・ウェルズ Min

内野手(5人)

選手名 来季年俸
(万ドル)
FA予定
アンソニー・リゾー 1700 2024
グレイバー・トーレス 1530 2024
DJ・ラメイヒュー 1500 2026
アンソニー・ボルピー Min 2028
オズワルド・ペラザ Min

外野手(7人)

選手名 来季年俸
(万ドル)
FA予定
アーロン・ジャッジ 4000 2031
ジャンカルロ・スタントン*(2) 2900 2026
ジェイク・バウアーズ 170 2026
オズワルド・カブレラ Min 2028
エステバン・フロリアル Min
エバーソン・ペレイラ Min
ジェイソン・ドミンゲス*(3) Min

*(2) 実年俸3200万ドルのうち300万ドルを前所属マーリンズが負担。

*(3) トミー・ジョン手術により2024年夏に実戦復帰予定

アーロン・ヒックス

シーズン途中にクビを切るも、残り2年約1850万ドルはヤンキースが負担。


今オフFA(契約満了)選手

選手名 今季年俸
(万ドル)
ジョシュ・ドナルドソン*(4) 2175
ルイス・セベリーノ 1500
ランキー・モンタス 750
アイザイア・カイナー=ファレファ 600
ワンディ・ペラルタ 335
キーナン・ミドルトン 80
ルーク・ウィーバー
ザック・マカリスター

*(4) 2023年シーズン途中にリリース済み。2024年球団オプションのバイアウト600万ドルはヤンキースが負担。

アウトライト・ウェーバー選手

今オフは既に6人のプレーヤーがアウトライトを受け退団予定。

選手名 来季年俸
(万ドル)
FA予定
ドミンゴ・ハーマン 440 2024
マット・ボウマン 100 2025
ライアン・ウェバー 90 2026
ジミー・コーデロ 90 2027
フランチー・コルデロ 170 2025
ビリー・マッキニー 120 2026

ノン・テンダー候補選手

今年のノン・テンダー期限は11月17日。

今年の5月にトミー・ジョン手術を受けたばかりのトリビーノ、リプレイスメントレベル未満のパフォーマンスに終わったバウアーズが今後の有力な放出候補。

ウェルズのロースター入りにより捕手が4人となっていることから、保有期間を残り1年残すヒガシオカも放出を噂されていますが、彼自身の高いコスパを考えるとトレードならまだしもノン・テンダーによって放出されることはないでしょう。

そもそもロースター枠の確保に困ったらミセビッチワイサートクルックを切ればいいだけですからね。

選手名 来季年俸
(万ドル)
FA予定
ルー・トリビーノ 410 2024
カイル・ヒガシオカ 230 2024
ジェイク・バウアーズ 170 2026


ルール5ドラフト対象プロスペクト

プロテクトが確実なプロスペクトはビーターラミレスの2人のみ。

MiLB全体最多の163イニングを投げシーズン終盤に好投を続けたスペンスが興味深い存在。

選手名 クラス
クレイトン・ビーター AAA
アグスティン・ラミレス AA
イライジャ・ダナム AAA
エドガー・バークレー AAA
カルロス・ナバエス AAA
マット・サウアー AA
ミッチ・スペンス AAA
ブランドン・ロックリッジ AAA
ヘスス・バスティダス AAA


チーム総年俸

  人数 総額(ドル)
来季年俸確定
(贅沢税対象分)
7 1億7060万
(1億6580万)
年俸調停(予想) 11 4460万
最低年俸 ? 780万
マイナーリーガー ? 250万
契約負担
(贅沢税対象分)
2
(1)
1480万
(930万)
年俸合計 2億4000万
その他(福利厚生費) 1700万
贅沢税対象
(AAV総年俸)
2億4700万
年俸制限 2億3700万
超過額 ▲1000万

ピタゴラス勝率.483という本来ならGMを始めフロントを一掃すべき成績を残したにも拘わらず、サヨナラとなる高年俸選手がドナルドソンセベリーノしかおらず、残念ながら今オフは確保できる予算が少なく補強の制限大。

状況としては2021-22年オフが近しい存在であり、当時は補強予算やロックダウンなど制限が多い中でドナルドソンIKFトレビーノなどトレード主体の補強を行い、2023年頓死の遠因を生みました。

ジャッジリゾータイオンなど主力級が数多くFAとなった昨オフとは対照的に、FA権取得プレーヤーのほとんどが戦力として機能しなかったゴミばかりなのはせめてもの救いか。

年度 総年俸 総年俸
(贅沢税対象分)
2019  2億1300万 2億3400万
2020  2億5100万 2億6400万
2021 2億200万 2億800万
2022  2億4900万 2憶6700万
2023  2億7900万 2億9400万
2024
(現時点)
2億4000万 2億4700万

次に補強予算について。

2023年の贅沢税ライン4段階は$233M/253M/273M/293M(税率30%/42%/72.5%/80%)に設定されており、ヤンキースはAAV総年俸を最終ライン前後に。

2024年の贅沢税ラインは+$4Mの$237M/257M/277M/297M(税率50%/62%/95%/110%)となりますが、贅沢税率(CB TAX)とインフレ率(年間4%を想定)の上昇を考慮すると、2024年シーズン総年俸2億8500万ドル(AAV総年俸2億9200万ドル)の場合に、2024年におけるヤンキースの実質支払額が2023年とほぼ同額となります。

贅沢税率の上昇がインフレに相殺されるイメージですね。

これまで2018年、2021年に贅沢税リセットを行っているわけですが、今オフにリセットを目指すのであればトーレスホームズなど主力級のサラリーダンプは必要不可欠で、過去2回のようにPSにコンテンドする戦力を維持したままのリセットはまず不可能。

シーズン途中ならまだしも開幕前にヤンキースが白旗を挙げたのは30年以上も前が最後のため、やはりペイロールカットは非現実的と考えるのが自然。

だた、シーズン終了後にFAとなる8ケタ年俸選手が2024年はトーレスリゾー、2025年はラメイヒューしかいない中で、来オフ以降にリセットのチャンスが再び回ってくるとは考えづらく、PS収益を逃している点も踏まえ、嫌な予感がしないこともない。

まあ、そうなると逆に2008-09年オフのようなPS逸からの大補強が頭に過りますし、(別に毎年のことですけど)ファンベースもそれを期待していますが、スタインブレナーは先日の記者会見にて断固として大型補強を匂わせることはなく、散財を示唆するような球団内外のインサイダー情報も米メディアでは皆無。

そもそも、ルー・トリビーノジェイク・バウアーズへノン・テンダーをかまし600万ドル弱を浮かせるべきですし、恐らくそうするでしょう。

というわけで、取り敢えず昨オフからペイロール実質額は変更なしと見做し、今オフ中の補強予算として2億9200万-2億4700万-600万≒5000万ドルを見込みむこととします。

リセットまで行かないにしても、税率が大幅に上がるうえにドラフト1巡目指名順位が10ランクダウンする贅沢税第3ラインの2億7700万ドルを上限とするのがチーム運営上では最も効率的かもしれませんけど…。


アクティブ・ロースター

野手

C  :カイル・ヒガシオカ
1B:アンソニー・リゾー
2B:グレイバー・トーレス
3B:DJ・ラメイヒュー
SS:アンソニー・ボルピー
LF:エバーソン・ペレイラ
CF:エステバン・フロリアル
RF:アーロン・ジャッジ
DH:ジャンカルロ・スタントン

ベンチ
C  :セ・トレビーノ
UT:オズワルド・ペラザ
UT:オズワルド・カブレラ
OF: - - - -   

投手

先発

1:ゲリット・コール
2:カルロス・ロドン
3:クラーク・シュミット
4:ネスター・コルテス
5:マイケル・キング

リリーフ

1:クレイ・ホームズ
2:イアン・ハミルトン
3:トミー・ケインリー
4:ジョナサン・ロアイシガ
5:スコット・エフロス
6:ニック・ラミレス
7:ロン・マリナチオ
8:アルバート・アブレイユ


現時点で残留が見込まれるロースターメンバーでヤンキースのラインナップを組めば上記の通り。

本来なら開幕スタメンを務めるべきだったジェイソン・ドミンゲスがトミー・ジョン手術となり、数年前は最大の強みだったはずの外野デプスが完全に崩壊。リプレイスメントレベルを上回る選手はジャッジしかいません。

ガードナーがいた時代は良かったなぁ~。

内野は2.0 WARクラスの面子を揃えるも、大幅な成績向上の可能性があるのはボルピ―のみで、コンテンダーの平均水準を超えるのは困難。

投手陣ではキングを先発ローテに回すことで、相対的にブルペンの弱体化が進行。ヒガシオカとのトレードでリリーフを補強できれば…

チェイス・ハンプトンドリュー・ソープなどトップ100クラスの先発プロスペクトがMLBへ到達することになるでしょうが、どっちみち先発ローテの可否はロドンの出来次第です


82勝80敗と連続シーズン勝ち越し記録を30に伸ばしたとはいえ、MLB全体18位のピタゴラス勝率.481、MLB全体20位の28.9 rWARを残したヤンキースの実質戦力はMLB平均(中央値)未満。

BALやTBR、TORはおろかBOSすら上回るのは容易じゃないなと。

ただ、先にも述べたようにFA流出する面々の大部分を低成績プレーヤーが占めている点はポジ要素。

ファンベースでは山本 由伸で盛り上がっていますが、チーム全体で長期大型契約を5件、先発ローテだけで2件抱えているヤンキースにとって、年俸$25~30M×6~7年契約(+ポスティング料$30M前後)を見込まれる山本獲得は非効率かつ非現実的。

同じくファンベースが渇望しているコディ・ベリンジャーにも同じ事が言えますし、そもそも奴は地雷としか思えません。

それなら1年後FAとなるフアン・ソトに手を出す方がマシです。

ザック・ブリットンJ.A・ハップアダム・オッタビーノラメイヒューなどを確保した2018-19年オフのように、ミドルクラスのFA契約を主体に頭数が揃っているプロスペクトを用いたトレードを組み合わせる中堅球団のような補強を個人的にはかましてほしい所ですが…

コメント

  1. ちんかすまん より:

    フロリアルとペレイラがスタメンってうんこすぎ