先日、プロスペクト4人との交換でレンジャースからジョーイ・ギャロを獲得したヤンキースですが、今度はシカゴ・カブスとのトレードによりアンソニー・リゾーを獲得し、対価としてプロスペクトのケビン・アルカンタラとアレクサンダー・ビスカイーノを放出。
また、ジョーイ・ギャロと同様にアンソニー・リゾーの今シーズン残り年俸約590万ドルは前所属のカブスが全額負担することとなります。
ブレイク前に結んだ格安9年契約(ベース7年+オプション2年)がとうとう今シーズン限りで終了するリゾーですが、30歳を超え加齢による衰えが進み今シーズンはOPS.792・wRC+115・xwOBA.353とファーストとしては並みの成績。ネームバリューに踊らされてはいけません。
とは言え、左打者有利のヤンキー・スタジアムをホームにしながらもチーム左打者OPSがたったの.630(MLBワースト3位、右打者はOPS.742)に終わっているヤンキースにとって、右投手と得意とする左打者のアンソニー・リゾー(とジョーイ・ギャロ)は打線最大のウィークポイントを解消する存在。
さらにチーム守備が低迷しているヤンキースにとってそれぞれのポジションでMLB屈指の守備力を有するリゾーとギャロの加入は、打たせて取るタイプが多い先発ローテの間接的な底上げにも繋がります。
まあ所詮シーズンWAR2.0程度の平均的なエブリデイ・プレーヤーだけど。
ヤンキースが放出したプロスペクト2人んについてですが、今月の12日に19歳となったばかりのケビン・アルカンタラはFCLでプレー中。ふくらはぎの故障によりまだ8試合にしか出場していませんが、限られた出場機会の中で1~2年前とから大きく成熟した姿を披露しており、各オブサーバーからの評価も向上を続けていた印象。
ヤンキース傘下で最もギャンブル性の高いローフロアー・ハイシーリングなプロスペクトとして個人的には大のお気に入りで、契約当時から追っかけてきた存在だったため放出は非常にショックですが、同世代で同じセンターを守るジェイソン・ドミンゲスとエバーソン・ペレイラと重複していたことは確か。
もう1人のアレクサンダー・ビスカイーノは2019年頃に名を上げ、今シーズン開幕前こそアルカンタラ以上の評価を受けていたものの右腕の故障により実戦復帰は今月まで遅延。復帰後は98~99マイルを連発するなど球威はコロナ休止前から更に向上を果たした印象でしたが、ストライクが入らず投球内容は悲惨。
そもそも2019年シーズン以前にも好成績を残したことがない素材型のプロスペクトですが、2019年シーズン終了後にルール5ドラフトの対象となるためすでにMLBロースターへ追加されており、24歳にもなって低調なパフォーマンスを残し評価が急落を続けているビスカイーノは非常に厄介な存在となっていました。
当ブログで口が酸っぱくなるほど書いてきたように今回のトレードデッドラインにて買い手に回ることには反対ですし、それ以前に今回のようなレンタル形式の補強は大嫌い。
ジョーイ・ギャロやクレイ・ホームズのトレードでは来シーズン以降も見据えた補強に合わせてルール5ドラフトの対象間近又はMLBロースター上のプロスペクトの整理を進めた点をもちろん評価することができ、今回のトレードパッケージに(悪く言えばロースター上で邪魔な存在であった)ビスカイーノが含まれることには何の不満もありませんが、リゾーのレンタルに更なるアップサイドが見込まれる若きアルカンタラを差し出すのは悪印象。
ちなみに、アルカンタラは移籍後にカブス組織内プロスペクトランキングにおいてFanGraphsで第2位、MLB公式で第11位、ビスカイーノはFanGraphsで第12位、MLB公式で第8位にランクイン。
まあ、普通にオーバーペイだと思いますよ。
また、ヤンキースはリゾーの獲得により故障者リスト上にいるルーク・ボイトの放出を模索しているとのことでしたが、複数のチームが興味を示したものの納得できるようなオファーを得ることができず、時間切れとなってしまったよう。本来ボイトが健康であれば今シーズンも含めあと数年はファーストのポジションは安泰だったわけで、ここら辺のグダ付きっぷりはジェイソン・ジアンビやマーク・テシェイラが不良債権化した時代を思い起させます。